少女邂逅のレビュー・感想・評価
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『死んで楽になる』と言うが、もし違ったらどうする?
女性の監督だと思って見たが『二十歳の原点』の様に感じた。
『二十歳の原点』の著者である彼女が生きていれば、74歳で団塊の世代真っ只中。残り一年の寿命だよー。
そう言えば、この主人公の女優サンが原作者に似ていると感じた。
いつも死生観を考えて思うのだが。『死んで楽になる』と言うが、もしそれが違っていたらどうするんだろう?体を焼かれて、骨壺に入れられ、真っ暗な世界から一歩も動けない。
『死ねば天国に行ける』って言うのはむしろ『反語』であると思ってしまう。しかも、その正解は誰も知らない。
『こんな狭い所からおさらば出来て羨ましいね』って、言うまでもなく、その閉塞感は自己の問題じゃないかなあ。
お嬢様が、自分の生まれ育った場所や国に嫌悪感を覚え『外の世界には絶対に夢が存在する』と誤解する。そして、結論は脱亜入欧に見出してしまう。しかし、現実の世界は寧ろ地獄みたいな所が多くて、生きる事は大変。リストカットする前にドローンに殺される。または、路上で寝ている間に逆走してきた輪タクに惹かれて即死♥。ならば良いが、その事故で重症を追ってお金が無いので、医者にも行けず自分の万年床でのたれてしまう。そんな世界だよー。
映画を見慣れている人ほど辛口のコメントをすると思います
女子高生ゆえの未熟さであったり、学生という身分での行動範囲の制約などそれらに抗おうとする若さゆえの行動がいたいけであり懐かしくもあり楽しめました。正直大学生になればそれくらいのこと普通に出来るよと思うようなことをなんとか頑張ってやろうとしている感じが何とも懐かしくてよかったです。
アングルであったり演出の仕方に関しては映画をよく見ている人からすれば酷いという評価になるのかもしれませんが、私は逆にこのような今どきの若者がiPhoneで撮るような自然な描写を意図的に用いるのは面白いと感じました。
アラサーではありますが、私たちが子供のころにはクリームソーダというのは当たり前の存在でしたが今の若い人からすれば逆に新しい、バズるという感覚ということにジェネレーションギャップを感じています。
青春と言えば若い男女の恋愛という印象がありますが、私は思春期ゆえの葛藤であったり、同性の友情の方が青春だと思ってきているためこの作品に対して高評価をしてます。ある程度年を取ってくると男女の云々は正直どうでもいいなという感じがしてきました。
ネタバレになりますが、主人公が沖縄に行くのを直前ですっぽかしたというレビューを見かけましたが、すっぽかしたのではなく、主人公がツムギの糸を抜ききってしまったためにツムギは蛹になってしまったの方が正しいのではないかと思います、ツムギの作中のセリフから察せられるように最終的には何も食べれなくなって部屋の隅で餓死したという方が私は合点がいきました。蛹になっても蛾になってもいずれも死という表現をツムギが敢えてしているのは、蚕の幼虫であるうちに沖縄に行かなければ意味がないという暗喩なのではないかと思いました。わざわざ夏休み前のテスト期間にサボらせて沖縄に行こうとしたのも自分が蛹に近づいているのを察していたのではないかと推察できます。
庵野監督のラブ&ポップを楽しめた方はこの作品も楽しめるのではないかと思います。ある程度人生経験をして「その気持ち分からなくもない」という感覚になれば楽しめると思います。現役女子高生が見て楽しめるものではないのだろうなと思います。一周回ってそんな時期もあるよなというある程度大人になった人が若さゆえの葛藤を楽しむ作品かなと思います。
美しい
映像全てが生々しくも儚く美しい。
どのシーンも心に刺さり感情が揺さぶられた..
富田紬のミステリアスな感じと、弱さを隠しながらも気丈に振る舞う姿は物凄く魅力的で好き。
君だけでよかった。君だけがよかった。のキャッチコピーは映画全体を象徴し、シンプルながらも心震えた。
【総合評価】
観る人によっては考え方が違うので多くの考察や解釈が出来る。
個人的には少し難解なところもありますがとても深く心に残る青春映画だと思いました。
好みは分かれるかもしれないが一生に一度は観るべき
ずっと観たかった映画をやっと観れた。
登場人物と年齢が近いのもあって自分にはかなり刺さった。もっと早く観ればよかった。誰かに感想を言いたいがあまりにアカウントをつくってしまった。
まず、女優さん二人がとっても美しい。すごく儚くてみとれてしまった。ずっとみていたかった。
ポスターに書かれている「君だけでよかった 君だけがよかった」というキャッチコピーが好き。鑑賞前はミユリ目線だと思っていたがそうではなくて実は紬目線なんじゃないかな、と思った。
ラストシーンが最高に切なくて悲しくて好き。紬の写真がたくさん出てくるところ。本当に好き。
最初は良くも悪くも雰囲気映画だと思っていたがそんなことはなかった。ただ、刺さる人刺さらない人両方いるだろうな、とは思う。とりあえず中高生には刺さると思うし本当にみてほしい。
素晴らしい
観てるあいだ始終ずっと痛くて苦しかった。終わっても心が痛いです。
紬(つむぎ)の方がずっと大きな痛みを抱えていてそれと戦っていたのに、(第三者的に言えば)甘えて逃げているだけのミユリは、最後近くの肝心なところでまたしても逃げてしまった。紬を助けられたかも知れないのに。悔しい。最後の場面でもミユリは逃げていく。
役者さんは二人とも全然上手ではないけど、もし上手だったらさらに良い映画になっていたか、というとそうは思えません。これは、この二人からこういうものを引き出してしまった監督の勝利なのでは。
繊細で緻密な映画でした。他にも『リズと青い鳥』を引き合いに出した人が何人かいらっしゃいますが、賛成。
[追記] 最初は配信で観たのですが、すぐ後に池袋で一回だけの特別上映があり、行ってきました。二回目だと紬(つむぎ)の微妙な表情の裏がよくわかり、ますます痛かった。ますます、紬の神々しさが分かった。
上の文章では、紬を助けられたかもなんて言いましたが、17歳に何ができたか、と考えると. . . . でも悔しいことには変わりありません。
あと、最後の場面は「逃げた」のだと思ったのですが、よく分からなくなってきました。そうではなくて、最後に初めて逃げるのをやめたのか . . .
スピンオフ作品『放課後ソーダ日和』も観ました。こちらはポップで微笑ましく、懐かしくしみじみした感じもあり、全然違う . . . とも思ったんですが、あの頃の自分が今の自分の中に住んでるという感じは共通かも。
3・2・1・ブーッ
比較的地元から近い処でのロケ地であるので、親しみを感じながら鑑賞できた作品である。監督は20代の女性監督であり、地元が高崎であるのも勝手に親近感がでるのかもしれない。とはいえ、若い内から映画作品を作れるということの才能と環境にはビックリする。かたや何年経っても映画を撮れない老年の監督もいるのもまた、世知辛い世の中である。
今作品に原作があるのかは不明だが、ストーリーは大変良く出来ていると感じている。では、実際の映像ということになると、荒削りの部分は否めない。映画というモノは、実際どれだけ監督が意図して制作されいるのか、そしてプロデューサーがどれだけ作品の出来映えを当初の予定との近似値に収めているのか、それとも完成形に納得しているのか、観客にはその情報は得ることは出来ない。勿論、まかり間違っても「失敗作」でしたとはアナウンスする筈もないだろうから、その出来の評価は観客それぞれである。よくアフタートークが催されるが、その場でもエクスキューズが語られることは殆ど皆無である。なので、ここが違うんじゃないかと感想を述べる程、見当違いも甚だしいと制作側が思うだろうから、レビューとは難しいモノだ・・・
自分的には少女時代特有の澄み切った瑞々しさ、そしてその裏に隠された女性特有の陰湿さ、そのなかで“百合映画”としてのプロットをきちんと織込んでいることは評価できると思う。冒頭の痛々しい“苛め”シーンにおける、いじめっ子達の酷さが無理なくしかし強調できているからこそ、主人公の絶望感としかし自殺への勇気が持てない情けなさが演出出来ている。
本作の難しいところは、果たしてファンタジーと現実がどこまで折り合いをつけるのかということだ。転校生は限りなく“日本昔話”的なイメージ。“蚕”という知ってそうで実はその生態に不勉強な自分としては、ネットでサイトを開けた途端に、幼虫の顔のアップに目眩がして直ぐにパソコンを閉じた程強烈なご尊顔である。そんな蚕の余りにも不可思議且つ不条理な生態(家畜化されていること 但しその家畜としての品種改良の過程は不明 都合良く成虫になると口がないので食物を摂取できず直ぐに死ぬこと なのであくまでも種の保存のみでの存在価値)が、正に女子高生達のその性質との近似に、上手くメタファーとして組み込まれていることは良いのだが、ただ、傷付けた体から糸がでていること、夢なのか現実なのか分らない夢想シーンなど、その境界線が曖昧な為、かなり混じり合ってしまって、表現が曖昧になってしまっているのは勿体ないと思う。もしかしたらこれもわざとで、狙っているのかもしれないのだが・・・
オチとして、往年のドラマ『高校教師』オマージュなのか、父親からのセクシャルDVでの餓死(これも蚕そのもの)と、その後追いでのリストカットのシーンは、何とも言えない哀しさと切なさが、50代のおじさんでも痛い位に伝わる印象的な演出である。
もう少し、主人公二人の演技力が付いてきたら、もう一度リメイクして欲しい、それ程の期待な内容であった。
『虫には痛覚がない』というトリビアもちりばめれていて、勉強になる要素も多分にある作品でもあるw
学校生活がぎゅっと詰まった、
いじめっ子のリーダー役と、いじめっ子の灰色のカーディガン役の方達の舞台挨拶付きで見ることが出来ました。いじめっ子リーダーの方が仰っていた、学校生活がぎゅっと詰まった作品というのが、言いえて妙だと思います。私にとって学校生活は、部活で皆んなと頑張ったとか、夢に向かって進んだだけではなく、友達とふざけてあったり、詰まらない授業を無為に過ごしたり、友達へ心無い言葉を吐いて傷つけ合ったりした所でした。暗黒時代でした。普段の生活ではそんな事思い出せないけど、そういえば、そうだったなと、思い出されました。Twitterで岩井俊二監督作品に似ているという感想を見ましたが、岩井俊二監督のは心の中の柔らかい所を摘まれる感じで、こちらはリストカットの生傷を撫でられる感じでした。
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