「映画を見慣れている人ほど辛口のコメントをすると思います」少女邂逅 you takaさんの映画レビュー(感想・評価)
映画を見慣れている人ほど辛口のコメントをすると思います
女子高生ゆえの未熟さであったり、学生という身分での行動範囲の制約などそれらに抗おうとする若さゆえの行動がいたいけであり懐かしくもあり楽しめました。正直大学生になればそれくらいのこと普通に出来るよと思うようなことをなんとか頑張ってやろうとしている感じが何とも懐かしくてよかったです。
アングルであったり演出の仕方に関しては映画をよく見ている人からすれば酷いという評価になるのかもしれませんが、私は逆にこのような今どきの若者がiPhoneで撮るような自然な描写を意図的に用いるのは面白いと感じました。
アラサーではありますが、私たちが子供のころにはクリームソーダというのは当たり前の存在でしたが今の若い人からすれば逆に新しい、バズるという感覚ということにジェネレーションギャップを感じています。
青春と言えば若い男女の恋愛という印象がありますが、私は思春期ゆえの葛藤であったり、同性の友情の方が青春だと思ってきているためこの作品に対して高評価をしてます。ある程度年を取ってくると男女の云々は正直どうでもいいなという感じがしてきました。
ネタバレになりますが、主人公が沖縄に行くのを直前ですっぽかしたというレビューを見かけましたが、すっぽかしたのではなく、主人公がツムギの糸を抜ききってしまったためにツムギは蛹になってしまったの方が正しいのではないかと思います、ツムギの作中のセリフから察せられるように最終的には何も食べれなくなって部屋の隅で餓死したという方が私は合点がいきました。蛹になっても蛾になってもいずれも死という表現をツムギが敢えてしているのは、蚕の幼虫であるうちに沖縄に行かなければ意味がないという暗喩なのではないかと思いました。わざわざ夏休み前のテスト期間にサボらせて沖縄に行こうとしたのも自分が蛹に近づいているのを察していたのではないかと推察できます。
庵野監督のラブ&ポップを楽しめた方はこの作品も楽しめるのではないかと思います。ある程度人生経験をして「その気持ち分からなくもない」という感覚になれば楽しめると思います。現役女子高生が見て楽しめるものではないのだろうなと思います。一周回ってそんな時期もあるよなというある程度大人になった人が若さゆえの葛藤を楽しむ作品かなと思います。