「【カイコ】」少女邂逅 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【カイコ】
間違っていたら、申し訳ないのだけれど、もしかしたら、あのタイトルは、出会うの「邂逅」と「蚕(カイコ)」をかけたのだろうか。
重く、切ない物語だが、これは、僕たちの生きる世界の断面だと思う。
エンディングで明かされる事実の伝えられ方も、敢えて人を傷つけることを厭わない僕たちの世界に蔓延している悪意のようなものが感じらたり。
ミユリは、これから繭を作ろうとするカイコで、紬は、繭を作って、まさに死に行くカイコだ。
その出会い・邂逅、対比。
カイコは醜くても繭を作るために大切にされるが、蛾になっても、生きることができるのは数日で、動くことも飛ぶこともままならない役に立たない生き物。
であれば、美しい繭だけ残して、死んでくれた方が良い。
僕たちの世界では、こんな考え方が人に対しても向けられてはいないだろうか。
見た目や若さで判断したり。
カイコや虫には、痛点はなくても、人にはあるはずだ。
物理的な刺激だけではなく、心も苦しくなるのだ。
なぜ、気持ちや心を感じ取ろうとしないのか。
中身が役に立たないなんてことはないはずだ。
カイコと自分を重ねてみるなんて切なすぎる。
これは、見たいところだけ見て、他は目もくれようとしない僕たちの生きる社会の断面だ。
コメントする