「明太子なので辛口ご容赦」映画めんたいぴりり odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
明太子なので辛口ご容赦
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人生は悲喜こもごも、笑いと涙、コメディに涙の隠し味が必要なのはわかりますが江口監督とは味覚が違い過ぎて合いません。出演者の大熱演がもったいない。
実話に基づく話なので善意の限界は理解できますが英子ちゃんが不憫で泣けます。
食べるにもことかき万引きまでさせ、戦時中に死んだ少女の回想シーンを何度もかぶせて感情移入を高める演出であの別れから希望に繋げようとするデリカシーのなさに腹が立ちます。
足長おじさん登場に振る前に担任の先生からもっと内情を探って貰うとか、山笠の顔役なら立ち退き猶予を役所にかけあうとか、せめて一度くらい英子のおじさんと腹を割った話をするとかあるでしょう、大人の、まして博多っ子ならではの男気は描けなかったのでしょうか、「遠い国に行く・・」というセリフがありましたがひょっとして英子は朝鮮系で地元では深堀りが禁忌なのでしょうか。
劇中で次男が「淋しい味」がするというセリフがありましたが郷土愛や明太子愛を強調すればするほど、演出を明るく笑いに振れば振るほど虚しい空騒ぎに思えて味を損ねます。人情喜劇を創るのであれば喜劇という様式から入るのではなく人情の機微を先に練りあげてから演出にあたるべきです、日本映画には先人の多くの手本があるのですから。
辛口ついでに愚痴を申せば・・、監督がコカコーラのCMクリエータからでしょうかコークのスカッと爽やかシーンは何のためだったのでしょうか。大吉さんは相棒ですし博多の顔なので狂言回しで出るのは分かりますが学芸会のような衣装で笑いを取るのは安直過ぎませんか。もっと真摯に喜劇と向き合って欲しいと願います。
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