劇場公開日 2018年8月31日

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「「お前の母ちゃんデベソ」的な。いや、それ以上の人間否定からはじまる諍い。」判決、ふたつの希望 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「お前の母ちゃんデベソ」的な。いや、それ以上の人間否定からはじまる諍い。

2018年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

キリスト教徒もイスラム教徒も住むレバノン。ささいなもめ事が雪だるま式に大騒動に発展していき、本人のあずかり知らぬほどの対立へと・・・。

やはり気になるのは、そこから先だ。
どう収束するのか、ということだ。
果ては紛争へと発展し、また泥沼のいがみ合いに転げ落ちるのか。
もしくは、あれほど世間を巻き込みながら、決着をつけることができるのか。

ラストは、思いのほかすがすがしかった。
意固地になることも、卑屈になることはない。我を通しすぎるのもよくないが、自己の存在を否定することもない。
ただ、相手が何者であり、相手という人間自身を知ることだ。相手の属するクラスタで紋切り型に決めつけるのではなく、どんな人間なのかを見つめることだ。すると、あんがいすんなりと物事はかたがつく。好きになれなくても認めることはできるかもしれない。この映画のように。

栗太郎