「奇跡的ともいえるある種の『達成』を目の当たりに出来る」判決、ふたつの希望 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
奇跡的ともいえるある種の『達成』を目の当たりに出来る
事件の背景を考えると、途轍もなく重苦しい現実を突きつけられた筈なのに、鑑賞後の印象は、ある種の『達成』とも言える「和解に至る道程」を見届けることが出来た安堵感に包まれた。
戦争、テロ、内戦、難民、その他にも平和な日本で暮らしている我々には想像もつかない『火薬庫』と呼ばれる地域の過酷な状況で育った人々の大半にとって、話せば分かる、理解し合うことが大事、という道徳的観念の教育を受ける機会は一部の知的エリート層を除いてかなり少ないと思います。
東アジアで平和なはずの一部の国ですら、隣国のことを理解し合うことよりも忌むべき旧敵国として教えているというのが部分的にせよ、本当のことならば、現在もあちこちで空爆に晒され、ロケット弾や銃弾の飛び交うこの地域での教育の現状が隣人愛に溢れたものだとは思えないのです。
そういった現状の中でこの映画が作られたことは、政治家や外部の有識者などがしたり顔で語る綺麗事や道徳的平和主義よりも遥かに現実的な力になり得る奇跡的なことではないでしょうか。
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グレシャムの法則さんのコメント
2018年9月9日
翻って、道徳的倫理的な教育の行き届いた筈の日本において、相手方の事情や背景についての想像力を全く働かせることなく、一方的に攻撃する言説が増えているのがとても不安で、気掛かりです。