「法廷で争う弁護士父娘が新鮮なアクセント」判決、ふたつの希望 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
法廷で争う弁護士父娘が新鮮なアクセント
ジアド・ドゥエイリ監督は、西側や東洋の私たちがなかなかうかがい知れないレバノンやアラブ文化圏の事情を、ごく普通の人々の暮らしや体験にからめてわかりやすく伝える才人だ。フランスのアラブ人ゲットーで暮らす若者を描く2作目「Lila Says」、妻に自爆テロの嫌疑がかかるイスラエル在住の医師の苦悩を描く第3作「The Attack」は小説の映画化だが、それでもアラブの人々が決してイージーではない環境の中で、どんな風に世の中を見て、どう感じているかをいきいきと伝えている点は変わらない。
主演2人の名演は見応え十分。多くは語らず、深い怒りや憎しみを表情で伝える。2人の対立が周囲を巻き込みどんどんおおごとになっていく展開も興味をそそる。原告側と被告側それぞれにつく初老の父とその娘、弁護士親子の対決もちょっぴりユーモアがあって楽しませる。暗く重い歴史を扱っているが、後味はさわやかだ。
コメントする