「舞台はベイルート、妊娠中の妻シリーニと暮らす自動車修理工のトニーが...」判決、ふたつの希望 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
舞台はベイルート、妊娠中の妻シリーニと暮らす自動車修理工のトニーが...
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舞台はベイルート、妊娠中の妻シリーニと暮らす自動車修理工のトニーがベランダで水撒きをしていると外に突き出した排水管から水が滴り、路上で作業中だった現場監督のヤセールにかかってしまう。ヤセールは配管を修理させて欲しいとトニーに告げるが工事の騒音が気に入らないトニーは拒絶、ヤセールは勝手に修理してしまう。それに気づいて配管をすぐさま叩き壊したトニーを見てヤセールはつい侮辱の言葉を口にしてしまう。近所で揉め事を起こしたくないヤセールの上司はなんとかヤセールを説得して謝罪させようとするが、今度はトニーがパレスチナ難民であるヤセールを侮辱する言葉を口走ったことからヤセールをトニーに殴ってしまい、怒りの収まらないトニーはヤセールを告訴。この裁判をきっかけに二人の些細な諍いがレバノン中を揺るがせる大問題へと発展していく。
互いに譲らないトニーとヤセールの心情を丁寧に描写し、宗教間の対立や内戦の歴史がレバノン国民の胸に深い傷を刻んだことをつぶさに見せつける実に力強いドラマ。裁判を通じて次々に露わになっていく事実とトニーとヤセールが胸の内に秘めた思いが引き寄せる意外な結末に胸を打たれました。
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