「ノーマルポジションのカセットテープが告げる残酷な決意に号泣しました」詩季織々 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
ノーマルポジションのカセットテープが告げる残酷な決意に号泣しました
北京で暮らす青年シャオミンが遠い故郷で祖母と二人で食べた三鮮ビーフンを思い出す『陽だまりの朝食』、両親を亡くし二人きりで暮らすモデルの姉イリンとデザイナー志望の妹ルルが織りなす『小さなファッションショー』、秀才の女の子シャオユ、バカ男子リモとパンの幼馴染トリオ。彼らの思春期と10年後が古いカセットテープを通じて交錯する『上海恋』、中国を舞台にしたオムニバス。
構成が『秒速5センチメートル』と似ているし、ビッケブランカによる主題歌『WALK』も新海誠作品に合いそうな切ないナンバーだし、ある意味鉄板コンテンツ。それぞれの作品は作画タッチは異なるものの、そこに生きる人々の日常を柔らかい色彩で描いていて、結果的に3回泣かされました。日本と中国双方の精鋭が腕を競った作品とのこと、こういう短編アニメは毎日でも観ていたいです。
映像が十二分に語っているのでもうちょっとモノローグを控えて余韻を残して欲しかったなと個人的には思いますが、特に最後の『上海恋』にはヤラれました。ノーマルポジションのカセットテープから流れる声が取り返しのつかない行き違いを残酷に告げる様に滅入りました。
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