「☆☆☆★★ かなり観ていて苦痛が伴う映画。 一応エンドクレジット後...」ウトヤ島、7月22日 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★ かなり観ていて苦痛が伴う映画。 一応エンドクレジット後...
☆☆☆★★
かなり観ていて苦痛が伴う映画。
一応エンドクレジット後に、監督のメッセージで「これはドキュメンタリーではない」との字幕が入る。
…のだが、映画自体は《ドキュメンタリー風》を装って撮影されているのは明らか。
ゆえに。『カメラを止めるな!』での、冒頭37分間の様なワンシーンワンカットが延々と続く。
技術的な挑戦…として、映画全編をワンシーンワンカットで撮るのはアリだとは思う。
古くはヒッチコックが『ロープ』で試みた様に。挑戦する事での技術的な向上が生まれ、結果として分かって来る事も有るのだから。
フイルムの時代と違って、今ではデジタル撮影の時代。過去では困難な事も、現在なら直ぐに実行出来る。
…ただ!
あのヒッチコックでさえ、映画の全編をワンシーンワンカットで撮る事での意義と共に、その弊害を「映画術」の中で語っていた。
多くの観客は、どうしてもワンシーンワンカットに対して、集中しての鑑賞を余儀なくされる。勿論ワンシーンワンカットの撮影手法は、かなり昔から確立された撮影手法で在り。効果的な使用方法ならば、観客の心を鷲掴みにする事も多い。
ただ【映画全編で】となると、どうしてもハードルが上がる。アート系でマニア向けの作品でこそ…の感じになっている気がしないでもないが(u_u)
以前に公開された『PVCー1 余命85分』を観た時に。サスペンス系の作品での全編ワンシーンワンカットでは少し無理が有る…と思っていただけに、今回も観る前は懐疑的でした。
結果として、観客を当時のその場に引き摺り込むもうとする意図を強く感じた事から、『…余命85分』ほどの無理矢理感は無かったものの。本来、映画とゆうジャンルは。撮影したシーンを編集する事で、リズム感が生まれる芸術だと言うのを改めて実感できる。
↓ 参考映像
Dog Day Afternoon (6/10) Movie CLIP - They're Coming in the Back! (1975) HD https://youtu.be/W-OzWbkk5lE @YouTubeより。
『狼たちの午後』から
それまでののんびりムードが、1発の銃声で一気に緊迫感に溢れるポール・ハーシュの名編集。
肝心の映画本編ですが、予告編を観た限りだとかなりのパニック映画かと思われた。
多くの人がパニックに見舞われる…勿論そうなのですが。これは意外な程にこじんまりとした低予算の作品の様に見える。
一応は、ポスターに映る彼女の目線に寄り添うカメラ。彼女を通して、この惨事を追体験して行く。
それだけに、誰が?何故?何の為に?…が判らず。大勢の人が、終始画面上で右往左往しているだけ…と、言えなくもない。
そして、大勢のエキストラ…と思いきや。精々50人程度だったのじゃなかろうか。予算面での関係からか?その辺りの涙ぐましい努力は、かなり見て取れる。
映画を強引に3っに分解すると…。
1 彼女は仲間と共に行動し隠れるのだが、一体何が起こっているのか?判らず議論…となる。
2 彼女は(或る理由から)単独で行動を起こす。
3 事件が起こる前に出逢った男と出逢う。そしてエンディングへ。
…と、言ったところ。
観客にその時、その場に居た《当事者の眼》の感覚を味あわせる為…とは言え。いずれの際にも、延々と続くワンカット場面には緊張感よりも【助長感】が勝ってしまっているのが、観ていて辛い。エンディングの結末も、ある程度は予想出来てしまうのも…。
『カメラを止めるな!』にせよ、『ブレアウィッチ・プロジェクト』にしろ。普段どんなにカメラ酔いがする映画と言われても大丈夫なのですが、この作品での崖下を逃げる場面でのカメラ酔いはキツかった(。-_-。)
兎に角、作品全体が。観客に対してストレスを与える様な撮影を目指して撮られているのも在り。その積み重ねからか?観客側に段々とストレスの度合いが高まって行くのが、その原因の様な気がします。
体調の悪い時に観ると、かなりキツいでしょうから注意された方が良いかと思います。
2019年3月13日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1