「長回しが活かされてない駄作」ウトヤ島、7月22日 yukiさんの映画レビュー(感想・評価)
長回しが活かされてない駄作
映画の冒頭、主人公カヤがカメラに向かって話しかける。そこからワンカット撮影がスタートするのだが、カメラに向かい観客に話しかけたと思いきや母親との電話。
その後カヤを追いかける形でカメラマンも追従するのだが、この長時間の長回しの中で常に自分の中でモヤモヤがあった。
それは、どういう視点で自分達はこの場所に立たされているのかと言う事。
分かりやすい所で言うと、犯人が銃を乱射し始めて仲間と数人で木の陰に隠れるシーンがある。
様子を探ろうと少し顔を出しては銃声がするとビビってまた隠れる。
これを役者達がやってる分には良いのだが、カメラマンまで銃声にビビって咄嗟に隠れる。
自分なりに考えを巡らせて、
「これはカメラマンの視点かと思いきや実はある登場人物の視点であり、最後に何かトリックがあるのでは?」と思い我慢して観ていたがもちろんそんな訳もなく。
それでもって、1番最後にはこれはドキュメンタリーではなくフィクションである?
フィクションだと言い切るので有ればもっと振り切って違う脚色出来ただろ。と思ってしまった。
そしてこの主人公であろうカヤ。
この子にフォーカスを当てた意味が全くもって分からない。
何故、数多く居た中から彼女だったのか。
このカメラマンの視点は我々観客であり、
一緒に逃げ惑っていると考えればまだ幾らか救われるがそれにしてもあのラストじゃあ自分には刺激が足りなかった。
最後にカメラマンが撃たれて、這いずり回りながら生存者だけがボートで離れていくのを只々観てるみたいなラストならこの映画の評価は大きく変わったかもしれない。
この凄惨な事件を題材に選び世の中に広めようとした事には頭が上がらないが、結局多くの人に観て貰えなければ意味が無い。
最近はノンフィクション(多少は脚色してるが)物の映画は多く作られてるが、ここまで出来が悪い作品は久々に観た。
史実をテーマにした作品としても、また単純に映画としても全くもって面白味のない作品だと感じた。
(基本的に褒める事しかしないですが、長時間の長回しの野心作と言うこともあり期待し過ぎただけかも知れませんが...)