ウトヤ島、7月22日のレビュー・感想・評価
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悲劇的で恐ろしい。が、極めて誠実で底知れぬ意志を秘めた作品でもある
このところ映画ファンのみならず、ごく一般的な人にも「長回し」はお馴染みの手法となった。が、それにしても、本作で貫かれる72分間の絶えざる視点は、歴史的な惨劇を決して風化させまいとする強靭なまでの意志が突き刺さってくるかのようで、芯から恐怖し、同時に大きな感銘を受けた。
実際の事件を題材としつつも、作り手たちはこの一部始終を紡ぎ上げるのに入念なリサーチを行い、あの日、あの場所で何が起こったのかについて様々な証言を集め、その上で、尊厳を守るためにあえてフィクションとしたそうだ。これによって本作の主人公は「誰でもない」と同時に、「あらゆる人々の集約でもある」という解釈も可能となるのだろう。
音楽や編集を加えることなく、カメラを回しっぱなしで「そのまま見せる」という選択も、筆者の目には極めて誠実に感じられた。本作が今後どう評価されていくのか、10年、20年といった長いスパンで見守っていきたい。
テロリストの敵
公開当時からこの作品のことは知っていたが劇場鑑賞を逃しており今回やっと配信にて鑑賞できた。
手持ちカメラによる長回し撮影で、臨場感、緊張感、没入感がものすごい作品。これは真っ暗な劇場のスクリーンで見るべきだった。そうすればより没入出来て鑑賞後の疲労度もかなりのものであったはず。
主人公カヤにずっと手持ちカメラがついてくる。テロが起きてから皆が逃げまどい恐怖に包まれる現場をまさに追体験させることによりテロというものがいかに恐ろしいものかを観客に訴える効果は絶大であった。
いわゆるPOV方式のような手法がこういった作品で最も効果的だとあらためて感じた。現に鑑賞中私は間違いなくカヤと共にあの時のあの場所にいた。
テロの脅威におびえながらも必死ではぐれた妹を探し出そうとしたカヤもついには凶弾に倒れてしまう。カヤを追い続けたカメラはそのままカヤから離れて逃げる友人を追う。ここでカヤが死んだことを観客は知る。その友人が逃げ込んだボートにはカヤの妹が乗っていた。カヤがあれほど心配していた妹は無事だった。姉が自分の身を顧みず妹を探し続けたことを彼女は後ほど周りの人たちから聞かされて知るのだろう。口うるさかった姉がどれほど自分のことを思っていてくれたかを。
登場人物は全て架空の人物だが、あの時あの場所にはカヤのような若者たちが大勢いて必死に互いを助け合いながら生き延びようとしていた。しかし凶弾は容赦なく彼らの命を奪っていった。国の未来を担うはずであろう志の高き若者たちであった。
2011年に起きたこのテロ事件は単独犯ブレイビクによるものだった。当時のノルウェーは福祉国家としてほかのヨーロッパ諸国よりも多くの移民を受け入れており、その数は人口の十割を移民が占めていたほど多様性に寛容な社会だった。
当時からヨーロッパ諸国では移民問題が悩みの種だった。多くの移民は移住先の国になじむよう努力し、また受け入れる国も語学教育や職業訓練など移民がなじむためのプログラムは充実していた。
しかし中には移住先の国で生まれた移民二世などによるホームグロウンテロが脅威となりつつあった。
この政府庁舎とウトヤ島を襲った犯人のブレイビクはそんなテロを起こすイスラム系移民を憎悪し、移民に寛容な政府労働党に不満を募らせての犯行であった。
もちろん移民の大半はその国になじんで暮らしておりテロを起こすのは一握りの人間だ。だが、危機意識を抱き憎悪感情を募らせ、ノルウェー人の彼自身がホームグロウンテロリストになってしまったというまさに皮肉な結果によるものだった。
計80人近くの死者を出したテロ事件を単独で起こしたブレイビクに対してノルウェーは最高二十年の禁固刑を言い渡す。この国には死刑制度や終身刑はない。
応報刑から教育刑に舵を切り、治安を改善してきた経緯がこの国にはあった。実際、そうすることで再犯率は大きく下がっていた。
それだけに今回起きたテロ事件に国民の衝撃は大きかった。厳罰化を叫ぶ声ももちろん上がったが国はそうはしなかった。今まで通り犯罪者の社会復帰に重きを置いた政策、移民政策を続けた。
日本ではオウム真理教によるテロ事件を契機に厳罰化が進んだ。同じ国を揺るがすテロを経験しながらノルウェーと日本は対極にあった。
ノルウェーでは修復的司法制度なども採り入れ犯罪被害者へのケアが充実している。このブレイビクへの刑罰に異議を唱えた被害者も多くいたが数年後の取材で彼らの憎しみの心が緩和されていたことがわかった。これも国によるケアのおかげなのだろう。
かたや日本では長年犯罪被害者は置き去りにされてきた。それこそ昨今の凶悪事件による世論の盛り上がりを受けて刑事裁判における被害者参加制度なども取り入れつつあるが修復的司法制度などは小さな活動はみられるもののいまだ根付いてはいない。
犯罪被害者へのケアが充実した国ほど厳罰化が緩和されている。実際、被害者ケアがなされている国の多くが死刑廃止国である。
テロの犯人は己の中の憎悪感情を増幅させて社会にその憎悪の種をまき散らす。テロの被害者がその種を受取り社会が厳罰化に向かえばそれは犯人の思うつぼである。憎しみには憎しみで、暴力には暴力で、社会はテロリストの思い描いたとおりになる。
ノルウェーのこのテロの被害者たちの言葉が印象的だった。自分たちはけして犯人のように憎しみに囚われることはない。ブレイビクの思うようにはならない。憎しみの連鎖を止めることが社会からテロをなくしていくことにつながるのだと。
人間は不安に駆られるとその不安の原因である敵を探し出そうとする。敵が見当たらなければその敵を作り出す。いま全世界で巻き起こる移民問題に端を発した排外主義は少数者の移民を標的になされているものだ。
日本でも少数民族の暮らす地方都市ではデモが盛んにおこなわれている。彼らは常に敵を探そうとする。いなければ作り出す。
本編最後のテロップでは「テロリストの敵」という言葉が語られる。テロリストの敵とは憎悪対象である。これは人間だれしもが持つ憎しみの感情をぶつける相手。憎しみの感情を癒すことなく増幅させるものとは何だろうか。
厳罰化や死刑制度を存置している国では被害者ケアが不十分だったり、明らかに不足している。その分被害者の憎悪は厳罰化や死刑制度に向けられる。
このように憎しみの心を増幅させるだけではやがて憎しみは常にその対象を探し求め続けるのではないだろうか。それがヘイトクライムやテロ、そして戦争へとつながるのではないだろうか。
周辺国への憎悪を煽り立てるマスコミや政府を見ていると死刑制度存置に固執することと無関係に思えなくなる。
移民排斥を声高々に叫ぶ排外的保守系団体が台頭する欧州諸国では日本を見習えという。移民をかたくなに受け入れず国を守っているからだという。これは言われて喜ばしいことなのだろうか。
最後にもう一人、日本は多様性を認めずイスラム系住民も少ないとして見習うべき国だとSNS上に書き込んでいた人物がいる。このテロ事件の犯人のブレイビクである。彼は一度会ってみたい人物の一人として元政権与党副総裁のA氏を上げていたという。
物凄くくどい。あえて共感します。冷静に鑑賞すべし。
『安全の為に人を撃つのか?』
『戦争は戦争だ』
『キャンプに参加したのもナンパが目的だった。』
色々な状況を、一人の少女の視点でデフォルメ表現しているのは理解出来る。しかし、テロから逃げ惑う群衆なのだから、それを一人の少女の体験として負わせるのは酷である。実に酷な話である。
寧ろ、道徳的に許されるのなら、テロリストの目でワンカットで撮ったほうが良かったと思う。
大衆迎合する事とテロから逃亡する事は別であり、逃げる人の群衆の最後者には、当該テロリストが追っている。従って、皆が逃げる方向に逃げる事がこの場合一番の解決策。
こんな状況では姉妹、肉親は関係ない。邪念になる。
具体的に言えば、テロリストが何人いるかを見極める事が大事。泳ぎをする妹だから、大概泳いで逃げているはず。
あと13分。くどい。
一緒にいた男を生かさせても、死んじまった少女の記憶は受け継がれるわけではない。
つまり、カイヤは生きているって事?男は何で逃げる様にボートに乗り、そこにいたのは!!!嘘だろ!
現実的で無い。しかも、岸壁にいる残されし民を見捨てる様に島から離れる。善行には見えない。選民思想に対するアイロニーなのだろうか?
追記
フィンランドのタンペレの街て助けて貰った日本人の方が言ってました。
『ノルウェーって凄く物価が高い。何でその国へ移民したがるのかなぁ?』って。その話聞いて、ノルウェーに行くのは止めて、ウィーンへ行く事にした。実に正解だったのかなぁ。
『カメラを止めるな』37分『ウトヤ島、7月22日』72分
7月に因んで初鑑賞
政府の移民政策反対派でクリスチャン系極右テロリストのアンネシュ・ベーリング・ブレイビクが起こした銃乱射事件
ウトヤ島でキャンプをしていた青年労働党の若者たちがブレイビクに襲撃され多数の死傷者を出した
ノルウェーは死刑制度を廃止したため逮捕されたブレイビクは20年以上の禁固刑で済んでいる
2011年にノルウェーでこんなことがあったんだね
知らなかった
その年の7月22日といえば3月11日の震災から4ヶ月後で海外のことなんてそれどころではなく殆ど興味が持てなかった
一晩明けて見に行くと気仙沼では気仙沼線が横転し利用客などが外に放り出され死体となって転がっており電線には無数の遺体がぶら下がっていた
72分の長回しがこの作品の1番の売りだが長回しという演出そのものは取り立てて目新たしいものではない
R指定ではなく子供でも鑑賞できるので目を覆うような残酷なシーンはない
そうなると姿が見えない殺人鬼が逃げ惑う若者たちを演じる俳優陣の演技力が生命線といえる
たしかに意欲は感じる
社会的テーマの塊だ
だが星5や4の作品とは思えない
しかし星1や2のレビューにはあまり共感できなかったので自分的には星3が無難
ノルウェー人と日本人との温度差を感じる
そりゃそうだ
日本人にとってノルウェーは隣国ではないし馴染み深くはない
ノルウェーではかなりデリケートな問題で気軽に話題として触れてはいけないようだ
身近に日本語を話せるノルウェー人はいないのでそういう機会はないのだが
ちなみに僕は移民問題に反対も賛成でもない
海外の移民問題に詳しくないからだ
そもそも日本には移民問題はない
強いてあるとすれば移民ではなくそれは難民だろう
アジア系の出稼ぎ労働者は数年で帰るので移民じゃないし在日朝鮮人に関してはパヨクやネトウヨが自身の主義主張のために問題化にしたいだけ
レビューの中には自業自得という意見もあるがはじめはかなり抵抗感があった
放置しておくところをみるとカカクコムとはそういう企業なんだろう
だが自分は削除依頼などという自分が気に食わない意見を排除し無かったことにしようという自己中かつ乱暴な思想は待ち合わせていない
怒りとは原因の殆どが理解不足らしい
だとすれば移民問題に不安を持つ人々に対しネオナチというレッテルを貼り見下し敵視するよりその不安を解消するよう話し合い歩み寄る努力を怠ったリベラルは自業自得なのかもしれない
ワンカット的描写と先の見えない恐怖感が終始緊張を持続させる一作
2011年にノルウェーで起きた連続テロ事件の舞台の一つ、ウトヤ島での襲撃事件を、その被害者の視点で描いた作品です。
一人称視点に近い画角のカメラワークと、ワンカット(おそらく適宜カットごとをつないでいるので、「ワンカット”風”」という表現のほうが妥当なんだろうけど)の映像が、観る側の緊張感を否が応でも高めます。
さらに日本では、ウトヤ島の事件がどのような結末となったか、詳細を知る人は少数でしょうから、この事件の帰結がどうなるのか、先行きの見えない不安がさらに恐怖感を高めます。
作品本編でも状況説明はごくわずか。ウトヤ島に滞在している若い男女(政治団体の党員たちなんだけど、単なるキャンパーたちの集まりのようにも見える)が、冒頭からいきなり銃声を浴び、逃げ惑います。
作中では断続的に続く銃声と悲鳴が聞こえたり、目の前を襲撃者から逃れる人々が通りすぎる描写が大半で、主人公のカヤ(アンドレア・バーンツェン)と同様、何が起きているのか観客にはほとんど理解できません。襲撃犯の姿も、ごくわずかに影らしいものが見えるのみ。
このように本作は、テロの背景を掘り起こす、というよりも、明らかに突然テロに巻き込まれることの恐ろしさを仮想体験させることに主眼を置いています。本作を踏まえてノルウェーの連続テロ事件の概要、そしてウトヤ島で実際に何が起きたのかを知りたい場合は、『7月22日』(2018・ドキュメンタリー)などの作品の鑑賞をおすすめします。
飽きました
開始30分くらいでもう飽きちゃいました。
ひたすら鳴り響く銃声と逃げて隠れるだけの映像は単調でつまらなかったです。
ワンカットで撮った効果もあまりないような…。
とくに、何も心に残らなかったです。
ウトヤ島(ノルウェー)での銃乱射事件
2011年7月22日に極右思想の白人男性が、労働党のキャンプでノルウェーのウトヤ島に来ていた青年69人を殺害した事件が題材である。
1人の女の子を主人公にしており、犯人から逃げ惑うところを72分間ノーカットで演出している。
犯人の姿が1回も映されず、一緒に逃げている人から入る情報しかない。警察の服装した人が銃を乱射してると言われた時の絶望感はすごい。
この事件を全く知らずに映画を見たため、主人公たちと同じく何が起きているのか分からない状況だった。
前知識なく見るのは割とおすすめの映画
最後は色んな論があると思うが、私は主人公の子は殺されたと思う。
生きてた方がいいエンディングだったが、それほどおぞましい事件だったってことを伝えたかったのかな、、
もう1つのNetflix限定映画の7月22日という映画の方が私は好みだった。
自分もその現場にいたかのような 臨場感を出す為ワンカット風(地面に...
自分もその現場にいたかのような
臨場感を出す為ワンカット風(地面にカメラが向いた時などに切り替えてそう)が特に印象的でドキュメンタリーを見ているような作品だった。
その為どうしても途中で中弛みや、
妹を探す女性の感情などの描写が少し弱く感じてしまった。
こちらの作品は本当にあった事件を元に制作しているので
この方法が良かったのかもしれない。
特にない
ほんとに特に言うことがない。
逃げ惑う人達声掛け合えよとか、ここは店員オーバー他所に行ってとか助け合えよって思った。
犯人の特徴とか何人いるとか、弾数多いなとか、死体少ないなとかいろいろあった。
あ、妹よかった、お前をずっと探してたぜ
いや、言うこといっぱいあったやん🤭ふふ
事件の生存者からの証言に基づいた作品でありながらフィクション。
史実としては単独犯の犯行のはずだが、映画内では森の中であちこちから発砲音がし、逃れてきた人も「何人かで撃っている」と言っている。
あちこちで走り回る人を何度も見る描写があり、犯人に背を向けて走っている背後から突然撃たれるのではないかとヒヤヒヤした。
海岸のシーンでは、何故集団で走っていたのかが謎。
主人公がカヤの視線で描かれているため、カヤは生き残ったのかと思いきや、最後には命を落としてしまって、「生存者の証言から作成している」とはいえ、どこからどこまでが本当なのか、実際はどれほどの状況だったのかが不明。
生存できた人を主人公にすれば信憑性が増すストーリーも、最後には死人に口なしなので、空想上の物語のように感じてしまうのがもったいないが、ドキュメンタリーに近いがドキュメンタリーではないので仕方がないところか……。
あっという間の72分間
世界一安全な島だよw とママに電話するところから、首都でのテロ報道を聞いて、ん?と思ったら急に銃声。
何発かは銃声だと気づかなかったけど、逃げてくる人々が建物の中に逃げて!!と扇動して建物の中にワラワラ避難するも、そこ狙い撃ちされたら一発で死ぬやん…と思いきや、森の中にさらに逃げてゆく青年会のメンバー。
この作品に、恐怖感とかスリルを求める人は合わないから見ない方がいいかも。
人間は未曾有の状況になると、自分が信じたいものしか目に入らず、他者から見てそれはやらないでしょ!ってことを平気でやる精神状態になる。
銃撃者が何人いるのかも、どこにいるのかも、なにもわからない状態で、丸腰で森の中にいて、よし、反撃しよう!なんて考えられないだろうよ。
ワンカット手法により、すごいリアルな追体験ができた。
息を潜めつつも、喋ったこともない女子だけど、どうにか助けようと必死になるも、ただ死んでいくのを隣で見るしかないなんて狂うでしょ…。これが77人、重症者は90人。次の瞬間は自分だ、って思ったら、防衛本能で普通の会話もしたくなるよね、至って普通の人間の行動よ。
このへんもリアルなんだよなー。
海沿いの岸壁の窪みに潜んでたのに、そこさえも見つけられて崖の上から撃たれまくる。
この時、カメラの向きが崖の泥濘に向かってるのが臨場感をさらに向上させて、もう、どこにいてもダメじゃん、、という絶望感を味合わせてくれる。
政治に興味のある若者達のキャンプだったから、わりと冷静な人達だったのかな。
無駄に騒いだり、煽ったりする描写がなく、そこにリアルさを感じた。
見えない銃撃者、見えない被害者、どこに隠れるのがいいのか、逃げるのがいいのか、電波も弱い島で何も情報がない中、口喧嘩したままの妹と離れたままでお姉ちゃんの本能で逃げる方向の森とは真逆の銃撃者がいる方へ妹を探しに行ってしまう。
これも、政治家を目指すような正義感あふれる女子の性格が表れてるよね。
テントのそばにいて、お兄ちゃんを頑なに待ってる黄色いジャケットを着た男の子を説得して森に逃げるように勧めたり、結果ラストに撃たれた姿を発見して、同じ黄色いセーターを着てた妹への希望がそれで崩壊して撃たれちゃったね。
でも助けに来た船に妹は乗ってた、で誰かの手当てをしていたからお姉さんを見つけて一緒に救助ボートに乗っていたと思いたい。
主人公のお姉ちゃん(カヤ)役の俳優さんがあっぱれだった。撮影大変だっただろうな。
顔についた泥もなにもかも払うことなく、極限のリアルさを演出してくれた。
あと、蚊はCGだったのかな…
好き嫌いがハッキリ分かれる
最初に言っておくと俺は大好き。でもまぁ多くの人にとっては退屈に映るんじゃないかな〜とは思う。俺はこの退屈さがとてもリアルで、緊迫感との緩急が本当に素晴らしいと感じたし好み
退屈って言ってもアレだよ、ストーリーに劇的な変化が訪れないから似たようなシーンが続くという意味でね。でも映像としての緊迫感は本当にずっと続いてて、退屈とは真逆のスリリングな時間が大半を占める。本当にその場にいるんじゃないか、という気持ちになってハラハラドキドキ、胸がしめつけられてくる。
これは俳優陣の演技力や、実際にその場にいるメンバーかのようなカメラや1本撮りといった手法などによるものが大きい。なので、このカメラワークという点においては主人公が一人になったタイミングでその感覚が破綻してしまう。主人公にとっては見えないけど、実際そこにいるかのようなカメラワークになってしまうので没入感が削がれる部分がある。思い切ってそういったカメラワークは主人公以外が逃げる時にカメラも一緒に逃げて、その後の主人公のカメラとは違う演出をした方が没入感を切らさずに済んだかなというのが惜しい。
実話を元に作られているから、想像力がいやに働いて精神が削られていくのが分かる。
このリアルな緊迫感の演出、という一点のみにおいても一見の価値があると言える。映画として見て面白いか、と言われると確かに首を傾げちゃうけど、映像として面白いか、と言われると首がちぎれちゃうんじゃないかというほど縦に振りたい。そのくらい面白く悲しく重厚な映像だと言える。
最後はね、いわゆる胸糞エンドというか。ミスト的な感じで終わるんだけど、これは賛否両論あるかな。主人公補正なくて、メンタルS+の主人公でさえも取り乱して撃たれるというのはリアリティあっていいと思うし。まぁテロの悲劇を演出するという意味では主人公の死は分かりやすく伝えられる方法ではあるのかな、と。妹は助かった希望もあるにはあるしね。
俺はめちゃくちゃ好きだけど、映画として面白いかと言われると少し違うのと、万人受けはしないだろうという点からこの評価。いや、でも見る価値は必ずあるよ
72分撮るために間が長い
意欲作ではあるとは思いますが万人受けはしないですね
こういう事実があった
ということを知る為には良いと思うのですが
(混乱して情報が錯そう気味なのもリアル)
映画として楽しめるかは疑問
とろくさい枠の女の人の演技どうなの・・・
というのもあったり(主人公は良い感じだったので余計浮いてた)
間延びとかそうなの?!みたいな行動がイライラしちゃうので
映画を観たい方は避けた方が良
濃い恐怖と不安を描いた体験型の意欲作
映画と言うよりは、すごく大仕掛けの演劇に近い。そこにカメラを持ち込んでやり直しなしの一発勝負で撮り切ったような作品。類似のものとして『クローバーフィールド』『1917 命をかけた伝令』などが挙げられる。
この映画の魅力は何と言ってもライブ感。実際に起きていることをその場に居合わせたような緊張感で体感できる。映画の冒頭でも注意書きが出るが、カメラが動きまくるので酔ってしまう人は苦しいだろう。音楽はほぼゼロ。よそから聞こえてくる音楽と、女の子が気持ちを鼓舞するために囁くトゥルーカラーズ(シンディ・ローパーほか)が使われているのみ。それもやり直しがきかない状況で歌ったものだけに、母親に抱っこされて聴いた子守唄のような感覚に近い。
いずれにしても、何もかもがやり直しなしの一発勝負で、始まったら止められない無編集のフィルム。映ってはいけないものや、映さないといけないもの。その複雑な段取りにはかなりの入念なリハーサルが繰り返されたものと想像できる。最後にやや長めの映画についての趣旨が綴られるが、「フィクションであり、ドキュメントではない」と、ハッキリ明言している。だとすれば、もう少し稽古を積んで見せ方を工夫してもよかったんじゃないかと思う。何しろもう一度見たいとは絶対思わない。
ほぼ素人に近い無名の若い俳優しか出ていない。例えば、5時22分ごろにここで撃たれた状態で倒れているように。とか、46分ごろこっちから向こうに一列で走って逃げて。とか、60人ぐらいの集団を複雑に動かしている。クレジットされている俳優さんたちと、エキストラの人数を見たら、かなり大掛かりの撮影のようだ。とにかく恐怖に耐える子供たちの表情は最後まで目が離せない。
ストーリーは、ほとんど無いに等しいが、主人公の妹や、親しい友達がどうなるのかが語られる。(というか、映っている)それ以外、犯人の目的、事態の収束、子供たちの運命、などの顛末が語られないままなのが非常に残念でならない。実際に起きたことを再現しているようなので、最低限の説明は挿入してほしかった。事件については、Wikipediaなどで知ることができる。先に見てしまうとネタバレになるし、映画の中で最低限語られるべきことだろう。そこは不親切と言わざるを得ない。
体験型の、非常に濃い恐怖と不安を描いた意欲作だ。子供には刺激が強すぎるかもしれない。
2020.2.27
リアルな恐怖
「ジョーズ」を例に上げるまでもなく、
「見せない」ことで恐怖を表現する、恐怖を煽る演出は、ホラー映画では王道である。
で、本作。
本作の犯人は滅多に見えない。
実際、犯人はたった一人だった。
でも狭い島、逃げ道はない。銃声は聞こえる。姿は見えずとも「すぐそこにいる」と感じられる。恐怖を表現するのに犯人の姿を映す必要はない。逃げ惑う若者たちを描くだけで表現でき、しかもそれこそが本作のテーマだろう。
日本で良かった
凄いリアルでドキュメンタリーな映画でした
ずっと72分間逃げ惑うだけなんだけど目が離せなくてずっとハラハラして自分も今その場にいるかの様に怖かった
こういう映画を観るとつくづく思う.....日本に産まれてこれて良かったって....
終始主人公やら友達にはイライラした
携帯のバイブや泣き声、ヒステリックになったり....
怖くてあんまり人におすすめできないけど観て良かった
ちょっと違った目線から
昨日、姉から勧められて『どうせ姉妹の話の映画で感化されちゃったんだろう、単純脳なんだからなぁ〜』てな感じで今日観ました。
他の方のレビューをさらっと読んだのですがテロに関してのレビューばかりで姉妹の話は全く出てこないので、あえて妹の立場目線からのレビューしようかなと。
『ほっとけ』ですね。
妹は妹で賢いのでいつまでも姉の思うような[か弱くて何もできない女の子]ではありません。むしろ姉よりもずる賢く上手く立ち回れる、それが妹。各自で身を守りましょうです。
妹目線からのレビューはさておき、
この映画では犯人を倒そうとする正義感の強いキャラが1人も出てこないんですね。ただただみんな逃げ惑うのみ。
日本の3.11の年に実際にあった話だそうで、全く知らなかったです。この映画の人物はともかく、こんなテロに出くわしたらたまったもんじゃありませんね。
沖縄の離島あたりで例えて考えてみたら物凄く怖いですね…
犯人の映像が映るのは一度一瞬くらいでしたが、警官の格好をしていて、複数人とのことで(実際の事件はたった1人の犯行だったらしいけど映画では複数人って男の子が言ってなかったっけ?)
はたして我々日本人がこういう状況下に陥ったらどうなるんですかね
映画の見過ぎで感覚がおかしくなってるのか、どうしても戦いたくなってしまう。ランボーやジャッキーじゃないんだから到底無理なのでやめとけですね笑
まるでノンフィクション
「72分間ワンカット」は衝撃的。銃撃が続いた時間をリアルタイムで追体験できるので、迫り来る恐怖が尋常ではない。ラストはまったく予想外だった。情け容赦なし。フィクションだが、かぎりなくノンフィクションのようなテイストが圧倒的なリアリティを生んでいる。
全99件中、1~20件目を表示