劇場公開日 2019年4月5日

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「語らないからって感情がないわけではない、語らないからこそ心に秘めているものが大きい。」希望の灯り ku-chanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0語らないからって感情がないわけではない、語らないからこそ心に秘めているものが大きい。

2019年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ブルーノ(ピーターカース)のような存在の人がいれば、クリスチャン(フランツ ロゴスキー)のような社会に受け入れにくい存在(例えば、この映画の場合、内向性、少年犯歴、刺青、貧困など)の人が生きにくく道に迷っていても、なんとかやっていけるんだよなあと思った。
上に立つものの理解と寛容さが社会の中で生きにくく迷っている人のために、(この場合はスーパーの通路という狭い場所だが、心を寄せ合い生きて行ってる場所である)大事なんだよなあ。なんでもやれて優秀と言われ、自分の進む道を知っている人ばかりが、世の中に住んでいるわけじゃないからね。この映画をみて、是枝監督の「万引き家族」を思い出した。社会的立場の弱いもの、この人たちが家族という仲間を作って生活をしている。

弱いもの、道に迷ったものに寛大になれて、理解し、それを消化できて共感できる社会を作るべきだと。自分の時間を人のためにあげられる、人の話を聞いてあげられる時間を持つこと、それに、問題がある同士がいたわりあえる社会が必要なんだけど、今の社会は、一般論だが、人の問題を聞いてあげていない社会になり、自分の気持ちを吐き出す場所もなく一人こもって孤独になってしまう。レッッテルを貼らない、そして、十人十色のコンセプで人一人一人をみたいと思う。

主人公クリスチャンがトラブルを抱えるとそれに対面して行くのでなく、自分に自信がないから、そのトラブルを避けて通ろうとする本能が働き、それが、酒、ゲーム、にのめり込む結果になったり、悪い習慣に戻ったりしてします。はっきり断ち切ることが難しいし、自分の気持ちも酒の力を借りないと吐き出せない時もあるようだ、そうでない時もあったが、クリスチャンは自分、そのままで居られる場所を(自分の場所)を暗黙に探しているようだ。

観たいとずっと思っていてやっと観られた映画だ(インタビューから察するとロゴスキーはものすごく多弁で、冗談ぽく話す男で、彼の、言葉やバックグラウンドを聞くと、私の好みの思想を持っている魅力的な人))が、なんでだが知らないが私は恋愛の映画と誤解していたようだ。なぜ、私自身が誤解していたかわからないが、この映画は「量販店の通路で生きている人の生活」であり、その一部が恋愛であったり、悲しみであったり、力のある量販店の労働者の雇用賃金労働条件問題であったり、苦悩だったり、小さな幸せなどであったりする。それに、クリスチャンの乗って帰るバスのから察すると(N3 Miltitz) ベルリンの壁崩壊後の旧東ドイツで、その社会変化についていけないブルーノーの気持ち(トラックの運転手に戻りたい。)が彼を死に追いやったのかもしれないし、フォークリフトとしてクリスチャンを育ててから(後継者)、自分の命をたったのかもしれない。私にとっては想像するしかない。

ブルーノの言葉は私の心に突き刺さる。例えば、自分のところでビールを飲めとクリスチャンに声をかけて家の連れてくる。これは明らかにクリスチャンにたいして家で泥酔してもいいといういたわりの行動で、クリスチャンが外に出て悪い道に戻っていかないようにしてくれているのだと思った。それに、クリスチャンが好きになったマリオンについても、ブルーノは次のように言っている。

クリスチャンはそこにいなければならない、マリオンのためにも。クリスチャンはいい男だ。それは、みんなが知っている。

この意味は、そして、エスキモーの挨拶は、クリスチャンはマリオンに一線を置いていることだと思った。

クリスチャンの寡黙で、口数が少なく、いや、自分の感情を口に出すととが得意でないようだ。また、それをブルーノーが、認めているというか、クリスチャンそのままを受け入れている。他にも、クリスチャンは未成年の時、犯罪を犯しているし、仕事場に遅刻をしてきたりしている。でも、ここで、 ブルーノは絶対批判していない。(日本でよく言われる、今の若者は??じゃない)そして、批判の代わり、「一緒に働いているから、何も言わなくてもわかる』と。すごくない!!!!感激したよ!!!
 (このレビューは徒然なるままに書いたものである。ここでやめとかないと延々とかけるんで。)

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