「カウリスマキみたいと思ったら」希望の灯り chibirockさんの映画レビュー(感想・評価)
カウリスマキみたいと思ったら
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やっぱりカウリスマキが好きらしいこの監督。
激情的人間ドラマが起こることもなく、労働者階級にスポットを当て、舞台となるスーパーマーケットの制服の青色だとか、真正面から大きく人物を捉えたシーン、カウリスマキ色がちょいちょい垣間見えます。
偶然か邦題もカウリスマキの最新作に似ている。
しかし単なる模倣ではありません。
一見無機質に見えるスーパーマーケットの中で、それぞれの想いを抱えながらフォークリフトを縦横無尽に操る人々はダンスをしているようにも見える…のはG線上のアリアをはじめとする、スーパーマーケットではかかりそうもない音楽に彩られているからなのかも。
とにかく音楽の使い方がいい。
労働者階級の職場という舞台で、静かな人たちが演じる話を殺伐とさせずかつ無駄にドラマチックにするでもなく、心にしみさせてくれるのは多分に音楽の効果なのだと思います。
俳優たちの抑えた演技もいいです。
特にクリスティアンを、マリオンを見守り続け、2人の行く末に安心したかのように去ってしまったブルーノ。
仲間たちが、長い付き合いだったのに何も知らなかったと呆然とするくらい、彼の中には誰にも知られず積もり積もったものがあったのでしょう。
初っ端からなにか深い想いをにじませているような顔だと思ったけれども、ああやっぱり、と納得。
最後の波音。
どこかに行きたいのにどこにも行けない、あの頃に戻りたいけど戻れない、鬱屈した彼らの心が求めるものが、この波音の聞こえる海だったり、大型トラックの列だったり、広く広がる大地だったりするのでしょう。
フォークリフトの教則ビデオは嘘でしょ〜と笑えますw
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