「老兵はただ消え去るのみ」希望の灯り よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
老兵はただ消え去るのみ
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ものすごく好きなタイプの映画だ。
勤務先はショッピングセンターである。私も。
開店前のまだ照明の点いていない店内は神々しく感じることがある。確かにバッハやシュトラウスの壮麗な音楽が似つかわしい。
動かないカメラ。無機質な屋内空間にもかかわらずドラマチックな照明演出。レンブラントの絵を思わせる、人物の深い陰影。
そして、ごくありきたりの人々に起きる、ごく当たり前の出来事。
それが続いたあと、この職場に衝撃が走る。
もしかして、ブルーノ、お前もだったのか。
新入りのクリスチャンに仕事を教えたブルーノも恋していたのだ。
彼の家には最初から女房などいなかったし、マリオンのことをどうりでよく知っている訳だ。
たった一つの生きる希望を、将来ある若手に譲り、自ら命を絶つ。
失恋くらいで死ぬなよ。いい歳をして。そう言いたくもなるが、彼には他に何があるというのか。老兵はただ消え去るのみ。
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