希望の灯りのレビュー・感想・評価
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スーパーマーケットというかりそめのユートピア
スーパーマーケットという閉ざされた空間をひとつの小宇宙に見立てるというアイデアは決して物珍しいものではないが、ルーティーンの繰り返しのような職場が、主人公に取っては自分を閉じ込めるのではなく、社会というものに繋がるための扉として機能していることに新鮮さを感じた。
一方で主人公に限らず、本作に登場する個人の「家」は一種の牢獄のように描かれている。「家」は孤独を色濃く感じる場所であり、彼らにとってスーパーマーケットは人と触れ合い、仲間意識を共有することができる場なのだ。
しかしやがてそのスーパーも、世の中の大きな流れの中にポツンと浮かんだ避難所のようなものであることが示唆されるのだが、だだっ広いところにポツンとある無機質なスーパーマーケットから豊かな人間ドラマを生み出し、オアシスのような温かみを感じさせてくれた監督の視点に、大きな魅力と希望を感じています。
なんとも難解。 ムードはよく伝わったけど、内容は脈絡もなく意味不明...
なんとも難解。
ムードはよく伝わったけど、内容は脈絡もなく意味不明。
つじつまの合わないことばかりで、静かなのにかき回される。
これが旧東ドイツの平和なのか?
これが希望なのか?
ささやかと言えばささやかすぎな。
そういう世界感がすんなりと通るんだな、旧東ドイツって。
ブルーノは
何故死を選んだか。健康で仕事があって気の合う仲間もいる。でも心の隙間は埋められず、夜はなかなか寝つけない。酒と煙草は手放せない。あートラック転がしてたあの頃に戻りてえなーって。う〜ん人生に絶望しちゃったかなあ。今日は昨日のコピペで明日は今日のコピペか。まあでも他の登場人物も似たりよったりよね。そんな大っきい出来事無いし。日常の些細なことに幸せ見つけて帰りのバスで今日はいい一日だったなあって。それで十分人生ハッピーなんだけど。そういう小さなことに喜び見つけるには練習もいるなあ。毎日に感謝して生きるって。ありがとうの反対は当たり前。当たり前になっちゃ逆に生きづらくなるんかな。あと孤独も超危険よな。やばいやばい。
少しの光
巨大スーパーでの品出しやフォークリフト作業、そこで交わされる従業員たちの会話や交流。きっとこの外や家庭よりもここは仲間と社会とつながる場になっているんだろうなと思った。主人公がバス運転手に「良い1日だった」と答えるシーンはとてもいいですね。彼にとってはこの日常がそう思える日々なんだなと。
ベルリンの壁崩壊から30年近く経っても、西側と東側ではインフラや賃金にも結構格差があるみたいですね。それは人の心にも禍根を残していると。
あと、ブルーノはマリオンの夫だったんではないかと思っている。やけにマリオンの旦那のこと詳しいし(暴力的だとか実は自分のことずっと話してたんでは)最後は主人公に託そうとしてたし。まぁ真相は分かりませんが。
ドイツ再統一後、28年の無念の日々をひっそり孤独に耐え続けた中年男の死
ベルリンの壁崩壊の翌1990年10月に東西ドイツは再統一するが、政治的な祝賀ムードとは正反対に経済的には大きな混乱を来して長い不況に突入する。
特に旧東側では国営企業が民営化されて次々に倒産し、失業者が増加。その煽りで移民排斥の動きやネオナチの復活が見られるなど、経済的な格差から社会不安が醸成されているという。
本作の舞台は再統一後28年を経た2018年のライプツィヒにある巨大スーパーである。ここも東ドイツ時代は運送トラック会社だったが、再統一後にスーパーに業態変更を迫られ、ドライバーたちはスーパー店員となった。
そこに新たに採用されたのが建設業をクビになった主人公。首や腕、背中に刺青があり、少年犯罪で2年刑務所暮らしをした経歴の持ち主だが、周囲と同調する能力はあるし、仕事も真面目なために、職員に好かれて信頼を得ていく。好意をもった女性職員から自分も好かれるのはいいが、彼女は既婚者で、すぐに何かが起こるとは考えられない。
その環境の中で、彼はフォークリフトの運転資格を苦労しながら取得したり、職場での貧しいクリスマスイブのパーティでさきの女性と寄り添ったり、暴力夫が原因で彼女が休職したり等々のささやかな出来事の後、ある夜、上司のベテラン職員宅に招かれ、暗く狭い部屋で2人で酒を酌み交わす。
酔ったベテラン職員は東ドイツ時代を懐旧して、「あの頃はトラックを飛ばして、いい時代だった。今やトラックの代わりにフォークリフトの運転だ」と、無念の気持ちを吐露する。
翌日、出勤した主人公は先輩から「あいつはもう来ない。今日からお前が責任者だ」と告げられる。理由を尋ねると、「昨夜、自殺した」というではないか。しかも本人は妻と一緒に暮らしていると話し、周囲もそう思っていたが、実際は再統一後の長い年月を、たったひとりで暗く狭い部屋で過ごしてきたのだ。恐らくは28年間、ずっと無念の気持ちを抱きながら。
葬儀の日、かつてのドライバー仲間だったスーパーの同僚たちや、主人公や件の女性は一緒に参列し、無言で死者を見送る。
ここにどのような希望の灯があるのか、小生にはわからない。ただ、再統一後の地方都市でひっそりと無念の28年を過ごした中年男性と、自らそれに終止符を打った心中に思いを馳せるだけである。
東ドイツ時代を懐かしむことをノスタルジーならぬ「オスタルギー」と呼ぶらしい。2007年にドイツで行われた世論調査によると、東西分断時代の頃の方が良かったという回答が19%に上った。
あの自殺したスーパー店員と同様の人々は、ドイツにどれほどいるのかと想像せざるを得ない。本作は何ら政治的主張も体制へのプロテストも、社会的な訴えかけもせず、ただ中年スーパー店員の自殺を投げ出しただけだ。しかし、そこに無言の政治的な訴えを読み取れるような気がする。メルケルにそれが読み取れたか、少々疑問だが。
丁寧に丁寧に作られた作品
日本だと是枝監督の様な、リアリティを感じつつ、端々に映像作品としての美しさをやセンスを感じる素敵な作品でした。
カンヌ系というか、文学系というか、そういった心象をテーマに描いた作品が苦手な方は合わないと思います。見終わって「で?」となるかもしれません。
家に忍び込むシーンだけは、違和感がありましたね。流石に。
自殺した方が、奥さんがいるという「見栄」、喫煙所があるのに、隠れて吸っていたこと。何気ないシーンも、後になって色々と考えさせられるのが良かったです。
深い映画、だと思いました。
終始、静かに流れる感じ…
です。
旧東ドイツの大きなスーパーマーケットで働く人々の人間ドラマです。
それぞれが余計なセリフが少なく、周囲の余計な音も少なくて終始静かなやりとりが続いていきます。
セリフが少なめなので、各登場人物の気持を感じ取ろうと引き込ませる意図を感じさせたかった作品なんですかね?
ヨーロッパの方はこんな雰囲気の作品が多い気がします。
嫌いじゃないです。
私はたまにこーゆー感じの観たくなります。
ただ、終始静かで単調な流れなので眠くなりましたが…
笑
オフ・ビート
ジム・ジャームッシュの様な映画だと思った。オフ・ビートってやつ。しかし、フランス映画の様に理屈をこねない。
物語の流れの後ろにあるもう一つの流れを想像させてくれると思った。そう言ったアイテムが映像の中に散りばめられている。
それでいて、立派なコメディ。
ネタバレさせたくないが、テーマが分かりさえすれば、凄く面白い。3つのオムニバスとして、フランス人なら作るだろうな。
東西統一後の負け組を描く
東西統一後の東ドイツ、スーパーの倉庫係として働く青年の試用期間の日々を淡々と描く。
ドイツ表現派の典型のような説明を省き、描写の中から何かを感じ取れれば由とする演出手法だから、ただ観ているだけでは真意が分からずもやもや感が絶ち切れない。
人妻でありながらちょっかいを出してくるマリオン、明らかに不道徳路線なのだが孤独な青年にしてみれば純愛路線の様、DV夫らしいが彼女の私生活は殆ど語られないので真意は不明・・。
親身に目を掛けてくれる上司のブルーノがなぜか首吊り、昔の長距離トラック運転手時代を懐かしむが、そうまで拘るのなら何故復帰しなかったのか、東西統一の被害者のようだが自由を手に出来たことは彼には意味をなさなかったようだ。妻と同居と嘘までついていたのは逃げられたのか、寂しさに負けるような軟な男には見えないから、邪推すれば青年に責任者の地位を譲ろうとしたのかも・・、ことほど左様に真意不明。
タイトル、原題はIn den Gangen(通路で)、原作の日本語書名は「夜と灯りと(新潮社)」だからその辺から邦題の「希望の灯り」となったのだろうが、陳腐に思える。
原作者で脚本のクレメンス・マイヤーは自身も東ドイツ出身、東西統一で経済的に負け組となった東ドイツの労働者に視点を据えている、そういう意味では社会派の作家なのでしょう。自身も少年院に入り、タトゥーも入れ、建設現場や、警備員、フォークリフトの運転手として働いていたらしい、まるで主人公は彼の投影にも思えます。
無口な映像から受ける感情。
旧東ドイツの空気感は知らないが、
ちょっと暗くて寒くて堅い感じ。
そして無口なイメージ。
主人公は脛に傷を持つ青年クリスチャン。
表情は柔らかいが社交性があるわけではない。
スーパーマーケットの同僚たちは、
そんなクリスチャンを好青年として感じている。
国柄なのか土地柄なのかは知らないが、
あまり身の回りの深い所を話してこないし
詮索したりもしない。そういう人たち。
それが居心地の良さにもつながってくる。
無口な人ってのは、よく観察する。
それゆえ、表面的な会話よりずっと
その人の内面をよく知られる。感じられる。
しかも古参の従業員たちはみな
旧東ドイツ時代からの同僚で気心を知っている。
だからこそ、ブルーノが抱えていた闇を感じられなくて
深い悲しみに包まれてしまう。
映像表現からも、その人種性のようなものは
強く感じられる。
ドリーやパンは多用されず、
基本的にフィックスカット。(カメラは固定)
アングルは平面的で奥行きは出さない。
人物のカットは真正面から真後ろへの直線的な切り返し。
セリフ前後の間は、一般的な映画よりも長め。
この「間」が実に内容に合っている。
北野映画を思い起こさせる映像表現に近い。
だからこそ、観客は余計な映像情報を入れずに
登場人物の内面を読み解けられる。
無骨だが実に感情豊かな、
スーパーマーケット=家族のような温かい場所。
じんわり胸に染みわたる、とても柔らかい、いい映画でした。
これが日本のスーパーマーケット映画だったらどうだろう。
パートのおばちゃんの井戸端会議から始まる根も葉もない噂話。
表面的な仲の良さを装って、同僚を陥れる人間模様。
異性にほんの少し好意を持っただけで不倫話にまで膨らませる想像力。
そんな映画は見たくないなぁ。
孤独の闇、寒くてしかたない寂しさ
主人公は、無口で孤独な青年である。寂しさから、わずかでも暖かみを感じられる人とのつながりに全てを注ぎ込んでしまう。
一方、ブルーノは、孤独の闇に吸い込まれてしまったのだろう。あの酒の飲み方とタバコの吸い方には、鬼気迫るものがあった。
ともすると、自分も孤独の闇に落ちてしまいそうなことがあるから、みんなが寒さに震えながら誰かとの繋がりにすがっている姿が心に沁みた。
なんとも評価のしづらい
仕事場を延々と舞台にしてるのがちょっといい。そして、薄暗いけどあの倉庫みたいな店内が美しくみえる。なんか倉庫でバイトした記憶が蘇って親近感もおぼえた。人間関係や雰囲気も悪くない。
ただ、個人的にどうしてもダメだったのが主人公のキャラ。家勝手に入ってウロウロするシーンはほんとどん引き。。完全なる変質者。職場恋愛で悩みすぎるのもキモいしどういう男だよ、と笑 そういう設定なんで仕方ないが、そこでちょっと気持ちがはなれた。
良い点もありながら、個人的に合わない部分もあった、なんとも評価のしづらいということで平均かな。。
日常の中の小さな喜び
事件らしい事件も起こらない淡々とした物語。たまにはこんな映画も良いものだと思う。まるで実人生を映したかのようで、もしかしたら私も、今こんな生活をしているのかもしれないと、そんな気持ちにさせられる。
特に夜の映像が美しい。主人公の青年が家路に急ぐ横を、何台ものトラックが連なって走るシーンとかとても幻想的。無機質な環境の中に、必死に生きる人間達がいる。特に中年以降の人達には、ずしんとくるものがあるのではないだろうか。
淡々と
ちょっとキムラ緑子みたいなマリオンに惹かれるクリスティアン。
惹かれ方も近づき方も唐突だが、ま、いいでしょう(笑)
フォークリフト、操縦できたらカッコイイだろうなぁ。
淡々と進む映画。静かに鑑賞したい方へ。
理想の職場
刺青を微妙に隠して大型スーパーで働ける寛容さが羨ましい限り、初心者でフォークリフトを運転する不安定さは経験があればハラハラ、ドキドキしてしまう場面でもあり、深夜帯だからこそ?の周りの緩さが和める優しさを感じてしまう。
フォークリフトの練習場面で"Son Lux"の「Easy」が流れるが「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」の主題曲でもあり、映画のジャンルが違うだけで曲の雰囲気も変わってしまう不思議な感覚。
無口な主人公に訳ありな過去がありそうなのは上半身の刺青や昔の友人で何となく匂わせ、マリオンやブルーノに関しては描かない難しい事情が?
クリスティアンの存在感がギリギリに危うさを誤魔化しているような、挙動不審に思える表情を含めた不安定さ。
日常
ドイツのとあるスーパーマーケットで新規に働くことになった青年を中心とした日常が描かれています。
イベント的なものがないため、淡々とした印象が残ります。
そのため、尺が少し長いと感じました。
わたしにはタイトルにあるような希望は、感じ取れなかったのですが他の方はどうなんでしょうか?
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