「人は罪悪感なしに倫理を逸脱できるか!?」エヴァ MPさんの映画レビュー(感想・評価)
人は罪悪感なしに倫理を逸脱できるか!?
他人の作品を盗作して名声を手に入れ、パトロンの娘と婚約中の新進作家、ベルトランは、所詮他力本願の小悪党。ベルトランを虜にする謎の女性、エヴァも、夫がいる身で娼婦をしているけっこうな悪党だが、レベルが違う。彼女には罪悪感というものがないのだ。イザベル・ユペールがそんなヒロインを、いつも通り、飄々と演じて圧倒的な存在感がある。つまり、ユペールのキャスティングこそが本作の肝で、果たして、人は罪悪感なしに倫理を激しく逸脱することはあり得るか?という痛烈なテーマが浮かび上がってくるというわけだ。本当に怖いのは、自らが自らを貶めていることに気づかないこと。そういうことは、生きていく上でけっこういっぱいあるのだ。1つの救いは、そんなエヴァも不安に駆られることを劇中で指摘している点。無自覚な悪女にも、罪悪感に苛まれる瞬間があることを。猛暑も忘れさせる戦慄を味わいたいなら、是非!
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