「導入部は面白いものの、あっという間にホラーの全滅領域に突入」アナイアレイション 全滅領域 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
導入部は面白いものの、あっという間にホラーの全滅領域に突入
この映画、何だか見覚えがあると思ったら、何のことはない。前に一度見ていたのであるw
見たのを忘れるほど印象が希薄だったようだ。
導入部はなかなかいい。ある地域が突然、光に包まれ連絡不能となってしまい、それが徐々に拡大していく。兵士を調査に送るも1人を除いて未帰還。そして今度は女性だけの探査チームが送り込まれる。彼女たちはそれぞれいわくつきのメンバーらしいし、何となくワクワクさせられる展開ではないか。
ところが、領域に入ってからの展開がいま一つ。そこに足を踏み入れた後の記憶が次々に消えていくというのだから、徐々に醸成される恐怖感というものが生まれてこない。にもかかわらず隊員たちは「もう限界だ」とか言い出すのが不思議ではあるが…。
突然変異の動物たちに襲われても、彼らが死亡しても、彼女たちはさほど警戒しないし、それもあってかあまり怖くならない。
どうやら人が死ぬと妙な形で鮮やかな色彩の植物に変化していくらしい。それも含め、この領域ではすべての生物のDNAが混ぜ合わされ、変異していくということがわかる。
すると自分から進んで花咲く草木となる隊員も現れるという次第で、ここでもはやホラー要素は消滅している。
「ホラーの全滅領域」の後に残る関心は、隊員たちの最後と、このエイリアンらしきもののその後の展開だけ。最後まで見ると、ああ、侵略の第二段階はこのよくあるパターンか…ということで落ち着くのだが、それは怖くも面白くもない。恐らく前回見た時は、この瞬間にこの作品を忘れたのだろうw
そう感じたのは小生一人ではなかったようだ。wikiではこの作品完成後の顛末が、次のように記されている。
「テスト試写での反応が今ひとつだったため、デヴィッド・エリソン(製作総指揮)はより幅広い観客に受けるような作りに変更するよう求めてきた。しかし、ガーランド(監督)とスコット・ルーディン(製作)はその要求を拒絶した。両者の対立は埋めることができず、2017年12月7日には、両サイドの対立とパラマウントの経営方針の変更が原因で、本作の全世界配給権がネットフリックスに売却されることになった。ただ、パラマウントはアメリカ合衆国と中国の配給権を手放さなかった」
何だか、映画本体よりこっちの顛末の方が面白そうなのであったw