「不思議な体験」アナイアレイション 全滅領域 MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な体験
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一言で面白いと言える作品ではない。だが、難解なストーリーに頭をフル回転させる作品でもない。描いているものはいたってシンプルだ。結果的には異星人との遭遇なのだが、劇中の台詞で、「目的も無いのかもしれない」と表現される。何故地球にやって来たのかは明かされず、何故エリアXと呼ばれる領域には進化した環境や生物が生息し、人体に影響を及ぼすのか。それらも推測でのみの情報しか与えられないのである。観客は目的や理由も明かされないまま、不気味に広がる領域(シマー)の未知数の進化に刮目せざるを得ない。
時折描かれる、過去の映像やその後の映像、ショッキングなシーンを挟み、より深くて独特な世界観に魅せられていく。
映像表現も上手く、普通のシーンでも、シマー内部にいるように感じさせられる。視覚効果のギミックが含まれているのだろうが、ネット配信の映画もバカに出来ないと思った瞬間でもある。
シマーの本体とも言える物体が落下した灯台付近には更に意味ありげな構造体が顔を出し、終盤の展開には恐怖を通り越して神秘的とも言える描写の数々が押し寄せる。
本作が80年代の作品だったら、「ブレードランナー」のように、複数の意見が交わされ、今でも論争の続く作品になっていそうだ。
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