配信開始日 2018年3月12日

「難解領域」アナイアレイション 全滅領域 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0難解領域

2019年5月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

難しい

『エクス・マキナ』で斬新なSFビジュアルとセンスを見せ、一躍注目を集めたアレックス・ガーランド監督が、再び独創的なSF世界を創造。
日本ではNetflixで配信。気になってた作品だったので、レンタルで見れたのは嬉しい。

極秘任務に赴き、行方不明になっていた軍人の夫が、一年後に突然帰還。
妻で生物学者のレナは喜びも束の間、帰ってきた夫は別人のようで、瀕死の状態に。
二人は軍に身柄を拘束され、ある研究施設に連れて行かれる。
そこでレナは、夫が関わっていた極秘任務を知らされる。それは…

ある沿岸部に突如発生し、封鎖された謎の領域、“シマー”。
夫は調査隊としてシマー内に入り、隊で帰ってきたのは夫だけだった。
そこで、夫に何が起きたのか…?

それを突き止め、夫を救う方法はシマー内にあるかもしれないという一心から、レナは女性だけで編成された新たな調査隊に志願。
そこで彼女が見たものとは…!

やはり目を引くのは、シマーのビジュアル。
不思議な外壁もさることながら、摩訶不思議なその内部。
自然とファンタジーが融合したような、色彩豊かな世界。
パッと見美しいが、所々不気味さを感じる。
それは世界観だけではなく、生態系にも。

シマー内の動植物。
一見自然の既存のもののようであるが、細胞や構造はまるで違う。
シマー内での独自の進化か、異種交配か、それとも地球外のものなのか…?
調査隊に襲い来る“ワニ”のような生物、“クマ”のような生物。
この“クマ”があるシーンで発する“言葉”がゾッとさせる。
人型の植物は幻想的だが、薄気味悪い。
恐ろしくも、美しい。
美しくも、恐ろしい。
アレックス・ガーランドのビジュアル・センスは本作でも圧倒的に発揮されている。
ナタリー・ポートマンも熱演している。

さて、話の方は…
『X-ファイル』的超常現象SFミステリーと言うより、限定空間/極限状態に置かれたSFスリラー・タッチの人間模様と言った感じ。
女性だけの調査隊。レナを始め皆、訳アリ。
異常な光景/出来事を目の当たりにし、平常心で居られなくなる。
目を覆いたくなるようはグロ描写も。残された映像で、腹を切り開いたら…!
レナは、夫が前調査隊だった事を隠す。仲間割れや疑心暗鬼。
一人ずつ犠牲を出しながらも、さらに内部に進み、衝撃の事実に辿り着く。
一応そういう醍醐味はあるが、話は全体的に難解と言うか、哲学的と言うか、よく分からないと言うか…。
クライマックス・シーンはある意味、予想や想像を超えた。
それはそれで誰も見た事の無い世界、見た者しか語る事の出来ない世界。
斬新で鮮烈ではあったが…、
オチや話全体、つまりはどういう事だったのかと問われたら、正直返答に困る。

“難解領域”であった。

近大