「あの映画を思い出した。」アナイアレイション 全滅領域 ΑΙΔΗΣさんの映画レビュー(感想・評価)
あの映画を思い出した。
この映画を観ていて、ある映画を途中で思い出した。
アンドレイ・タルコフスキー監督の「ストーカー」だ。
描く技法は違えど、とても近しいと感じた。
テーマももちろん違う。
ただこの空気感がとても近しい。似ているのではなく近しい。
哲学的なのに、無機質であり、その答えは映画の中にはなく、
それぞれ観た者の中に内包されるが、
それは、決して言葉では表せない感覚である。
それがこの2つの傑作に共通している。
例えるなら「愛」
「愛」という感情は、感覚的であり、言葉できちんと定義するには、言葉の表現方法が足りていない。
感覚的には理解出来ても、言葉できちんと説明出来ず、また個々によってその解釈も感覚も異なる。
「愛」は「愛」としか言いようがないし、そうとしか他の者に伝える事が出来ない。
「愛」は一例にすぎず、このような感覚は実に多い。
神の領域もそうだが、異星の生命体のそれは人間の脳では理解出来ない。
人間は、目的を持ち考え行動する。
その概念は、あくまで人間のものにすぎず、神も異星の生命体も、それさえ無いというか、人間と違うのではないだろうか?
事実、我が家には猫がいるが、ある程度の意思疎通が出来るにしても、その想いや考え方は、人間の既成概念の外にある。
ああ、人間とは、なんてちっぽけな存在なのだろうか?
はたして我々人間は、知的生物と言えるのだろうか?
この映画も「ストーカー」も観終わった後で、人間の限界を思い知らされる感覚に捉われて、脳裡から離れない。
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