「本編との矛盾を引き起こしかねない迷作」劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか オリオンの矢 ossamaさんの映画レビュー(感想・評価)
本編との矛盾を引き起こしかねない迷作
昔から原作のファンです。アニメオリジナルの劇場版ということで、新しい一面が見えるかな?と期待しての視聴だったのですが…コレは酷くないですかね?
最初の方は、オラリオの外を旅するという原作ではなかなか無い展開で良かったです。しかし徐々に、シリアスパートに入ったあたりからはちょっと…。何というか、いつもダンまちで見るキャラじゃないというか、こんな展開になるか?みたいな違和感が…
例えば。
神を取り込んだモンスターとかいう未曾有の危機を一人知りながら、自前の小規模戦力のみをコッソリ投入したヘルメス。そのせいで本ボスから遠く離れたオラリオでザコ敵の駆除に駆り立てられたオラリオの第一級冒険者たち。頭脳派なのに策もなく突っ込むアスフィ。槍の必要性もベルが選ばれた必然性もイマイチ分からず、最後は結局ベルのナイフがトドメとなったアルテミス。そして、いつもは徹底して遠ざけようとする「汚れ役」を何の葛藤もなくベルに投げたヘルメスと、いつもに比べるとすんなりその役を受け入れたベルくんとヘスティア様。
何より気になったのが、本編では悪役のイヴィルスや、完全ダークサイド堕ちしたリューさんですら忌避した「神殺し」というタブーをあっさり主人公にさせてしまったこと。上記の闇勢力さんが神殺しに踏み込めなかったことも、これから先の展開で、誰かが神殺しに畏れを抱いたとしても、「でも劇場版でベルがやっちゃったじゃーん」となり陳腐化するわけです。
原作を尊重できないメディアミックスオリジナルって何ですか?ちゃんと制作サイドでコンセンサス取れてますか?本編に組み込まれても違和感のないストーリー、キャラクターにしようと努力しましたか?「アレは平行世界の出来事」とか言われないように設定を詰めましたか?
次に劇場版を作る機会があるならば、その時はちゃんと「ダンまちの劇場版」として違和感のないものにしてほしいと思います。