グッド・ヴァイブレーションズのレビュー・感想・評価
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パンク、ベルファスト、生きる希望
パンクがベルファストの街に生きる希望をもたらしたということは分かる。
テリーが採算を考えずに突っ走るのには危なっかしさを感じた。
それはきっとこの後も変わらないからこそ、グッド・ヴァイブレーションズはオープンしたり閉店したりを繰り返したのだろう。
生きる理由
北アイルランドが紛争の真っ只中だった1970年代にベルファストでグッドヴァイブレーションズというレコード店を開き同名のレコード・レーベルを設立したテリー・フーリーという男の半生を描いたもの
北アイルランドのバンドや音楽、政治情勢や宗教、よく知らない事もたくさんあるけど、希望も持てないような紛争真っ只中の北アイルランドで音楽に生きる理由を見出し、信じた事にブレずにロックにPUNKに生きてた人たちがいたということ。
劇中THE UndertonesのTeenage Kicksが爆音で流れたシーンは興奮した。
平和だからこそライブや音楽が楽しめるんだ、なんて思っていたけど違った。
いつ爆破テロが起こり命が奪われるかわからないような場所でも音楽を生きる理由だと言い、音楽を愛し自分の人生を貫く生きざまは驚くほどすごかった。
パンクはわからないけど
情熱は伝わってきた。
奥さんとの出会いは漫画みたいだったけど(笑)
先日観た「ベルファスト」はまさにこの頃の紛争がテーマだった。
隣人から突然襲われる、というのは本当に日常的にあったようだ。
それにしても紛争ストリート?でレコード店を開くとか、怖いもの知らずというか、無茶苦茶で子供みたいなテリー。
どんな時代でも音楽には不思議な力があるらしい。
いつも全てを否定する父親だけど、暴漢に襲われて怪我をしたテリーに「本当の勝利は他人が決めることじゃない」とサラッと励ますかのようにかけた言葉が沁みた。
なんだかんだ言いながらも貫き通したことを否定しなかったのは良かったな。
身重の奥さんを放っておいたり、産院で赤ちゃんを抱かなかったりしたのはひどいなと思ったけど、奥さんの方が数倍大人で、大きな子供と思えば怒りもないのかな。
結局最後まで子供と接するテリーは見られなかった。
長引く紛争の中、ベルファストの若者は果たして音楽から希望を持てたのだろうか。
※マイアミ・ショウバンドの悲劇を知らなかったので、遅ればせながらネトフリで配信中の「リマスター:マイアミ・ショウバンド」も観てみようと思う
ベルファストに生きる。
1966年のアルスター義勇軍 (UVF)によるテロ行為の開始から、1998年のベルファスト合意までの間を「北アイルランド紛争」と、勝手に俺的に定義すると。映画の終わりにテロップで紹介された紛争による犠牲者数は3,000人。大凡30年間の間に3,000人の命が、あの、狭い狭い北アイルランドの中で奪われていただなんて、知りませんでした。本当の戦争だったんですね。
途中挿し込まれる当時のニュース映像と音声は衝撃です。メインストリートが「爆弾通り」と呼ばれ、イギリス正規軍が警察に替わって治安維持に就く、このベルファストの街で。どんなに小さい若者文化でも良い。みんなの心に希望の灯りをともし、この街につなぎ留め、他所の人々の目をこの街に向けさせる。そのためにレコード店を開き、パンクバンドのドーナツを作る。
「Good Vibrationsは生き方だ」
北アイルランドパンクのゴッドファーザー、 テリー・フーリーはステージ上で叫びます。俺の生き方だ、俺たちの生き方だ、と。何か、観終わってからジワジワ来てます、来てます、来てるって!逃げない男の、いや、逃げ方を知らなかった男の成功物語。
「成功ってヤツは、誰かが決めるもんじゃない」。選挙に12回落選した、マルクス主義の父親の言葉が、フーリーの背中を押す。パンクな生き方をするフーリーを、結局は理解し勇気づけ続けたのは、出会った最初の晩で恋に落ちた妻のルース。フーリーへの「愛」と、生き方への「共感」の合わせ技だもんね。強固。
I saw the light.
義眼の目にも、灯りは見えた。それが俺の成功だ。
ジワジワーーーーっと、良かった!
それとパンクも染めた金髪も、あんまし得意じゃない俺でも、使われていた音楽は良いなって思いました。
素晴らしい作品
観て後悔は無い映画です。ただの音楽系の映画ではなく、北アイルランドのベルファストでの紛争の陰に、若者達がやり場の無い怒りや社会への不信感をパンクロックと言う形にしてエネルギーを放出する生き様を描いている。社会への抗議や自由主義思想、社会主義思想、愛国思想などではなく、それこそ右も左も中も関係ない自分達は自由なんだ、自由に生きたいんだと言う60年代〜70年代のベルファストの社会背景によって誕生した生き方=パンクロックと言う考え方。それは音楽での成功や社会に認められる事などを目的としたものではなく、いかに自分達らしく生きているかの証明のようなものである。
久しぶりにこういう作品が観れて感動した。以上。
2012年ベストムービー!⭐️✨
パンク・ロックあるいはブリティッシュ・ロックファン必見の、"ロック"ムービーです…
…この映画タイトル、ビーチ・ボーイズとは全く関係ありません(笑)
1970年代半ば、内戦に揺れる北アイルランドはベルファウストで、いかにロックが生き延び、再生したかの物語…ほぼ実話。
パンクでロックな物語に感激し、心震わされました!
自分の信じる生き方を最後まで貫くことは、なかなか難しいけど…
…主人公テリーが最後に歌うソニー・ボノの曲が美しく響く!
今年最も必見な1本!
正しいと思ったことを
シーンに合わせて往年のヒットソングを流すタイプの音楽映画の70'sアイリッシュパンク版。アイルランド紛争下で自分の好きなものを誰かに見つけてもらいたい子供たちの熱い目が最高。
Laugh at Me!
血の日曜日事件とも血の金曜日事件とも言われた虐殺事件があった70年代の北アイルランド。アルスター義勇軍(Ulster Volunteer Force、略称:UVF)なんて呼ばれる"IRA"に対抗してできたプロテスタント系ユニオニストの民兵組織が、"Fran & the Miami"という音楽グループを襲撃したことも出てくるが、それほど政治色だけを色濃く前面に出していないので、見やすい映画となっていると個人的には思うのだが.....。
ある日、バーでDJをしていたテリーは、一生の伴侶となるルースという女性に合うが、店の界隈が物騒になったためかだれも夜うろつかなくなったのが原因で、店が暇になり、その日のうちにバーのオーナーから首を言い渡されてしまう。
生活のためレコード店を立ち上げたテリー、そこでバンドに出会うきっかけを作ったのが、"S-S-R-U-C"という言葉。せっかく楽しんでノッテいたところに北アイルランド警察、通称:"RUC"が邪魔をしに来るとバンドのメンバーが叫び、それと同時に観客の若者も一斉に"RUC"に対して、"S-S-R-U-C"と叫ぶ。(SS:ドイツ軍親衛隊の略称)
レコード店だけでなく、バンドのプロモートやレコード作りに尽力していたテリーは、バンドを売り出そうとしてロンドンに行くが、レコード関係者は誰も彼を相手にしなかった。つまり彼は門前払い同然となってしまうが、しかし、BBC放送のラジオMCが救いの手を差し伸べる。(この映画BBC放送が作っています。)その時にかかったのが、Undertonesの"Teenage Kick"。そのことがきっかけにバンドもレコード店も順調にいっていたが...........
ドイツの記者からこう言われる。
The Godfather of Belfast Punk.
しかし、そんな有頂天になっていた彼が、奥さんのこともレコード店のことも一人で何もかもしていたことが、逆に何もかも回らなくなってしまい、おまけに酒浸りとなり最悪の結果になろうとしていたが!
ラストシーンでテリーが集まった聴衆に
When it comes to punk,
New York has the haircuts,
London has the trousers,
but Belfast has the reason!
Good Vibrations isn't a record shop.
It's a way of life!
近代ゴスペルソングの歌い手として知られるHank Williams の歌" I saw the light "やHank Williamsと思わせる人が夢に出てきたりするのは少し理解ができなかった部分もあったが(福音の意味か?)、いい感じで映画を終わっていたのでサクッと観ることができた。
最後にジョー・ストラマーの言葉で締めくくっている。
When punk rock ruled over Ulster, nobody ever had
more excitement and fun. Between the bombings
and shootings, the religious hatred and the settling
of old scores, punk gave everybody a chance to
LIVE for one glorious burning moment.
イギリス、ロンドンのタブロイド紙、London Evening Standard「この映画は、(北アイルランドの)ひどい時のアーカイブ映像が随所に出ていたが、仮に少し長くても元気づけられて目を離せないものだ。」旅行やエンタテイメント関係の情報サイトTime Out。簡潔にこの映画の批評をしている。「情熱的で、面白い、そして圧倒的に感じのいい神話を作っているコメディ。」
最後にステージでテリー役のリチャード・ドーマーがSonny Bono の"Laugh at Me"を歌う。とにかく渋い!!
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