グッド・ヴァイブレーションズのレビュー・感想・評価
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紛争地域にこそ、音楽を‼︎
いつテロに遭遇するかもしれないベルファストの厳しい環境を舞台にした、パンクスを中心とした若者たちの有り余るエネルギーをビンビン感じられる良作。映画「ルードボーイ」と時代的にもオーバーラップしていると見えて、音楽史としても、とても面白かった。
映画公開当時は誰も予測できなかっただろうけど、ウクライナの人たちも、音楽の力で鬱憤を発散してほしい。
最高だった
アイルランド紛争渦を駆け抜けた、パンクムーブの物語。
チャートを駆け登ったバンドや楽曲が流れる訳でもなければ、主人公も少し丸い中年。舞台も紛争下のベルファストなので街も砕けているし影がある。
だけど実に輝きに満ちているんです。
実在した“ベルファストパンクのゴッドファーザー”テリー・フーリーがモデルで、とにかくその熱量がものすごい。
当時のフィルムも差し込まれるのですが、これが実に凄惨です。
幼少期の失明。宗教や政治思想による対立。
マイアミショーバンド事件も絡めるなど、常に先の見えない緊張下にありながらもまるで下を向かない。
それら全部“ロックとは全く関係ない”とばかりに突っ走るんですね。
レコード店を作り、パンクに夢中になり、レーベルまで立ち上げてしまう。
年齢や思想や立場も関係なく同じ音を愛する。
それはもう気持良いほどに、最初から最後までロックンロールなんです。
エンドロールではボウイを始めとした歌たちと、それと数々の写真がすごいマッチしてるんですよ。
何というか、10代の自分がうすうずして顔を出してくるようでした。
音楽、ロックンロール、パンクが好きな人には是非観てほしい作品です。
グッドヴァイブレーションズ それは生き方なんだ
70年代の北アイルランドの空気を吸った
本格的に音楽を聴き始めた1972年、ポール・マッカートニーの「アイルランドに平和を」によって北アイルランドの紛争を知った。カトリック住民と警察、そしてプロテスタント住民との争い。
今作は紛争が絶えない70年代の北アイルランドの首府ベルファストが舞台。以前は有名アーティストのライブが数多くあったようだが、時とともに音楽産業が衰退してしまった。
主人公のテリー・フーリーが開いたレコード店「グッド・バイブレーションズ」が実にいい感じ。音楽愛はワールドワイドだ。そして彼が後押しすることになるパンクバンドとの出会いが衝撃。それまで聴いてきた音楽とはまったく違うものだったろうに、激しいあの時代と融合し彼の中で爆発した。
そう、これは北アイルランドから音楽を発信しようとした男の物語だった。お金に恵まれず、「グッド・バイブレーションズ」は閉店と再開を繰り返したようだが、そこは紛れもなく聖地だった。
死と隣り合わせのパンクの威力
アイルランド紛争の中心地ベルファストでレコードショップをオープンし、パンクレーベルとしても影響力を持った男の物語。出てくるパンクバンドがカッコよくて、音楽映画としての面白さは間違いない。そこにアイルランド紛争という深刻な状況が横たわる。死と隣り合わせの社会では音楽は楽しむだけじゃないってことを考えさせられた。ただの音楽映画、青春映画ではない!
主人公テリーは無計画で破天荒でダメな人間なんだけど、不思議と周りに人が集まり、彼のことをサポートしていく。ラッキーなこともあって注目を浴びるようになったりする。熱い!
でも、自分のやりたいことに突き進んでしまい周りが見えなくなってしまう彼のことを「しょうがないな」と笑って受け止められるか、「ダメなやつじゃん!」と呆れてしまうかでこの映画の評価が分かれる気がする。
私はテリーのことをなんか憎めなかった。
アイルランド映画が描く「真摯な痛み」
渋谷ユーロライヴにて鑑賞。
根本的にはH・ウィリアムスでラストに歌う姿はアメリカのコテコテなロック歌手みたいでPUNKな風貌でも生き方でも無いが憎めない男。
アイルランドのあまりにも酷い情勢に左翼的なスキンヘッドなOiからPUNKSってかPUNKなキッズたち。
あまり魅力的には描かれていないようにも思う主人公に中途半端なPUNKバンドの出方に紛争などの過酷さが軽く感じられ深刻さが伝わらない。
まぁ初期PUNK好きは避けちゃダメな作品ではあるし音楽好きも含めて必見ではある。
RUDI/OUTCASTS/UNDERTONESかな一応。
ドキュメント映画「シェルショック・ロック」と合わせて鑑賞したらパーフェクト。
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