劇場公開日 2018年11月30日

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「感動要素があればな〜」くるみ割り人形と秘密の王国 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0感動要素があればな〜

2018年12月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

評価の低い作品であることは承知の上で、それでもディズニー作品だからと、ちょっぴり期待しながら鑑賞してきました。率直な感想としては、思ったほど悪くなかったです。

ストーリーは表面的にはシンプルで、子どもでも理解できるものだったと思います。映像はもちろんきれいで、冒頭からワクワクしましたし、4つの王国の世界もメルヘンチックな雰囲気がよく出ていたと思います。ラストのアクションシーンも、大人にはややもの足りないかもしれませんが、子どもなら十分楽しめる仕上がりでした。全編通して出ずっぱりのマッケンジー・フォイも、「インターステラー」の頃より美しく成長して、ヒロインのクララをよく演じていました。

しかし、これだけいいところがあるのに、作品としてはやはりイマイチと言わざる得ないのが残念です。なぜなら、どの登場人物にも共感できず、端的に言って物語が薄っぺらいと感じたからです。

まず、4つの王国や過去のシーンがしっかり描かれていないため、マザー・ジンジャーやシュガー・プラムの思考や行動に共感できず、彼女たちの思いが心に響いてきませんでした。もちろんセリフで説明されているので理解はできます。でも、頭でわかっても、心でわからなければ、感動は生まれません。

それは、主人公クララについても同様です。クララの成長や父親との関係改善も、取ってつけたような印象で、まったく響いてきませんでした。母を失ったクララの悲しみ、やるせなさ、忘られぬ思慕の念など、どうしようもなくやり場のない感情が、クララにはあったと思います。それが、つい父親に向かってしまい、受け止めきれない父親との間に確執が生まれたのだと思います。そして、今回の冒険を通して、母の思いに触れたクララは、ひと回り大きく成長し、父親とのわだかまりもとけていったのでしょう。それらをセリフだけではなく、映像で納得させてほしかったです。

登場人物の背景をもう少し掘り下げ、このあたりの感動要素があれば、もっともっとすばらしい作品になったのではないかと思うと残念でなりません。

おじゃる