「100エーカーの森に、帰ろう」プーと大人になった僕 ヨモトラさんの映画レビュー(感想・評価)
100エーカーの森に、帰ろう
幼かった頃の優しい、ふわふわしたくまのぬいぐるみのような思い出は、大人になり、目の前の現実を知り続けることでより温かみが増す。それは美化ではない。年齢を重ね、人生の厳しさや、壁を目の当たりにするときこそ、「あの頃、楽しかったなぁ」なんて、懐かしさに触れたくなるものだ。本作でのクリストファー・ロビンは、大人になって忘れていた、「大切な人と一緒にいることの素晴らしさ」を、まだ純粋だった頃の親友、プーとの再会で思い出す事ができる。
「まっすぐ進むんだ、それなら霧でも迷わない」と言う大人になったクリストファー・ロビン、「僕は前に進む時、それまでいた場所を離れる」とプー。プーの小さなおつむと真っさらな心、親友への愛は、あの頃と何も変わっていない。人生に行き詰まったら、昔の仲間を思い出したり、あの頃の美しい思い出に浸ってみるのも良いかも。それこそ、何もしないで。きっと、最高の何かに繋がる。
肩肘張らない、ディズニーの素晴らしい仕事がぎゅっと詰まった一作。観ている人も、100エーカーの森や、あの桟橋に一緒に帰ることができる。
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