「トム・マッカーシーの脚本が良い化学反応を起こした」プーと大人になった僕 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
トム・マッカーシーの脚本が良い化学反応を起こした
「スポットライト 世紀のスクープ」、「WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々」、「ミリオンダラー・アーム」などの監督・脚本で知られるトム・マッカーシのシナリオが「プーさん」と良い化学反応を起こしている。
トム・マッカーシは、やりがいや破産の危機など、仕事に行き詰まった主人公が不思議な体験をすることで自分の本当の生きる道を見つけるような作品を多く手掛けている。
本作「プーと大人になった僕」もそんなストーリーだったはずだ。
フランチャイズビジネスの王様であるディズニーがビジネスの本質を突いたラストのテーマにハッとさせられる。ディズニーはもっとビジネス映画を作っても良いかもしれない。
寄宿学校、戦争、社蓄、と物見事に社会に揉みに揉まれている中年男性クリストファー・ロビンを演じたユアン・マクレガーもとても良かった。
そして何より、プーさんをはじめとする100エーカーの森の仲間たちが可愛いんです!ぬいぐるみ風のCGにしたのが大正解で、ユアン・マクレガーがプーさんを抱っこする時はおそらく本物のぬいぐるみを使っているのでしょう、リアリティと可愛いさが完璧に両立していた。ゴーファーが出てこないのは、ゴーファーがディズニーアニメ版のオリジナルキャラクターだったからでしょうかね。
突っ込みどころがないほどスキのない作品なのですが、プーさんたちがクリストファー・ロビン以外の人にも見えてしまうというのが、意外と大事な一線をさらっと越えるなぁと思いました。
途中までは、クリストファー・ロビンの頭の中で起きてる出来事(プーさんが出てきたのも彼がプーさんを思い出したからで、100エーカーの森の仲間たちが消えてしまったのは、彼がまだ思い出してなかったから)と思っていました。
最終的には大満足の作品で、100エーカーの森の仲間たちとの中盤のストーリーは、彼らの掛け合いなど本当に昔みたアニメ版くまのプーさんそのもので、ここだけでチケット代の価値はあると思いました。