「血が流れる以上、“あれ”の正体は…」来る maruさんの映画レビュー(感想・評価)
血が流れる以上、“あれ”の正体は…
クリックして本文を読む
血の量とか死に方とかが、映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』くらいしっかりと描いている。霊的な映画/邦画では少ないスプラッター的な要素がある。
子供が泣くシーンは観てられないくらい心が痛むし、妻夫木のダメ親父ぶりにも心底腹が立ったし、母親のカルマを見事になぞってしまった黒木華にもやるせない気持になった。…観ていて気持の悪くなるシーンは多々あるが、それだけ俳優陣の演技や演出が御見事だった。そのリアリティ(現実的)なシーンに反して、血の量が多かったこと(非現実性)が、映画としてのエンタテインメントのバランスを取っていたのかなーと。
ラスト、千紗が「オムライスのくに」の夢を見ている。千沙は、父親と母親に相手にされていない頃と同じ、“あれ”と遊んでいたころと同じように、半分は現実逃避の最中。『好きなものだけがある世界』を夢見ている。
事態が収束し、助けられた今もまだ、“こちら”には完全に戻ってきていない…というより、現在も「いつでも向うへ行ける状態」なのでは。と思った。「オムライスのくに」を考えなくなった時が本当の幸せなのかも。
丁寧に作られているなーと感じました。個人的にはちょっとタランティーノっぽかった。
血が流れる以上、“あれ”の正体は、基は人間なのだなーと感じた。
コメントする