「狡猾かつ超強力なぼぎわん」来る うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)さんの映画レビュー(感想・評価)
狡猾かつ超強力なぼぎわん
田原(妻夫木聡)の因果が回って崩壊していく様はぼぎわん抜きでも、離婚する可能性高いと思ってしまう。
ウソのイクメン気取りで他人事のように育児ブログを更新し続ける姿は妻(黒木華)が呆れても仕方ない。
そりゃ、他に乗り換えられるだろう。
妻夫木聡演じる田原の様はホントにイライラするし、あんな何もしない夫が育児ブログとかチャンチャラ可笑しい。
夫婦って色んな事擦り合わせていかないと恋愛感情だけじゃ続かないのが解る。
1時間掛けて、田原が死ぬ過程と人間関係の狂いを説明される序盤はぼぎわんの影響力が凄まじく、容易に人が狂っていく様は気持ちが悪い。
田原はパーフェクトな父親では無かったが、妻の家庭環境も大概でその影響も目立つ状況に悲しくなる。
圧倒的なぼぎわんパワーに蹂躙されつくした田原家と対照的に
田原家に繋がった比嘉姉妹はいいキャラ立ちをしており、後半ぼぎわんとの対決に期待感が高まる。
死の匂いに惹かれる子どもと生に惹かれる怪物、誰もが1度くらいは覚えのあるネガティブな感覚に囚われる件はエグい。
そして比嘉琴子(姉)が儀式のために呼んだ仲間(霊能者)だが、沖縄のおばぁ達が交通事故でやられてしまった途端、別途で集まる仲間が異常を察知して命懸けの覚悟になるのはオーバーな演出ではあるが、ちょっとカッコ良かった。はては公権力に強い繋がりのあるユタの力は計り知れない。(オカルトな厄介事を解決したりして互恵関係があるのだろうか?)
霊能者逢坂(柴田理恵)は当て馬かと思ったがちゃんと出番があった。
作中、霊能者以外の人々がこぞって心が弱く田原夫婦、友人津田、野崎……ことごとくぼぎわんに取り込まれていく。
あまりにも凶悪なぼぎわんではあるが野崎の一言で正体がうっすらと見えると、ただお祓いするだけで良いのか?と考えてしまう。
大昔は虐待どころでは無い間引きを行っていた事と現代も虐待で子どもの命が失われる事態を実感すると、技術力や今の経済発展では解決しない事が解る。そりゃ、ぼぎわんが暴れるのも無理からぬ事だわ。
そしてぼぎわん自体のちからがあまりにも凄い。
建物ぶっ壊すレベルのパワー、且つ人間1人1人の心の裏側のキズを見逃さず、背中の咬みキズなど関係なく身体に侵入されたであろう描写は、過去にあった邦画ホラーと比べてもインパクトがある。
この凶悪、強大なぼぎわんを祓う為の儀式に様々な宗教を動員するのは、やり方を選ばない独特な手法なのか?どれかが効いたらそれで良しと言うことか?
ただし観るがわとしての怖さと言う点ではそれほどではない。登場人物のひ弱さに不安感を募らせて見続けてしまう作品。
誰にだって失くしたくないものがあるから、弱点も…。
子流しや流産、堕胎とネガティブなテーマが全編にあるため、ドロドロ感は否めず、その分観る人を選ぶので。
ラストはどうなったかが曖昧で次回作あるなら取り敢えず観てみたいとは思う。
個人的には黒木華が喫煙しているシーンに「吸うんだ?」と驚いた。色んな役がこなせるのはやはり凄いと言うことか?
勝手なイメージを黒木華に持っていた事を確認できた。
それにしても何だかんだで年1位で視聴している。そろそろBlu-rayでもDVDでも買うべきか…?それとも自分がぼぎわんに取り込まれているのか?