「大人と子どもくらいの差」来る 威風さんの映画レビュー(感想・評価)
大人と子どもくらいの差
プロデューサーは日本の「エクソシスト」を創ると豪語していたが、勘違いしないでくれ。
あのマスターピース(The Exorsict)に必死に近づけようとした点は、登場人物全てに負い目やトラウマがあったこと。
でも中島監督はひとつ大きなファクターを見落とした。
人間の心の悪だけでは足りないのだ。
和製エクソシストになるには、岡田准一と松たかこに共通する孤独を強調しなければいけない。あのメリン神父やカラス神父の圧倒的孤独が、この映画の主要キャラクターに欠けてしまっている。
だから、今の社会問題にスポットを当てるような描き方で見せる人間の闇も、どこか説明臭いし、薄っぺらい。最後に得体の知れない邪悪と対決する主要人物たちの、この道しか選べない壮絶な覚悟と孤独をきちんと描けていたら、納得の人間ドラマに仕上がったはず。脚色は大胆さより、人間の普遍的な心理を追求する緻密な計算をすべきだったと思う。「嫌われ松子」「告白」で、見事な演出を見せつけた中島監督、今ひとつ、ドラマの闇に踏み込めなかったというのが正直な感想。警視庁だの、密教まがいの宗教儀式も、マンガちっくで残念。
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