イカリエ-XB1のレビュー・感想・評価
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ケンタウルス
生命探査をする目的で地球から飛び立ったイカリエ-XB1。1963年製作というから、とても興味深い。太陽系から最も近い恒星でもあるアルファ星ということで、将来的にも生命があると発見が期待されるハビタブルゾーンの惑星もあるのだ。考えてみれば、最近の宇宙SF作品と言えば必ず食糧危機と絡めたり、戦争が絡んだりするものが多いので、ここまで平和的な作品が作られていたなんて目から鱗。
そうした趣旨の作品ではあるけど、発見した宇宙船は20世紀の遺物であったり、核兵器を搭載していたおぞましいモノ。アウシュビッツや広島なども引き合いに出していて、戦争や核批判も訴えているのが凄い。
残念なのは途中眠たくなってしまうことだろうか。ダークスターに遭遇したことから乗組員が次々と眠ってしまったせいだろうか・・・病名をはっきりさせてほしい。ナルコレプシーとか。
ピカピカ輝く古典的SF
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60年近く前の作品の4kリマスター版、観ていて頭が混乱してくるほど画面がキレイ。
まるでつい最近撮影されたみたいに冴え冴えとクリアな画質。
そして繊細な陰影が美しい白黒画面、アングルがかっこいいし、スタイリッシュなセットデザインのお陰で今でもそこまでチープに見えない。これは劇場で観ればよかったなー。。
「ソラリス」は未見なので共通性はわからないけど、個人的に「ぼくの地球を守って」をすごく連想した。閉鎖された空間で巻き起こる人間同士の疑心暗鬼。
タイトルから何となく哲学的な内容かと構えてしまったけど、単に宇宙船の名前で王道の冒険ものだった。
90分に収まる呎でテンポはいいし、冒頭でミステリアスな中盤のシチュエーションを先取りするなんて、「ブレイキングバッド」の1話みたい。当時としてはかなり斬新な構成だったんじゃないだろうか。
あとは抽象的で不穏な音楽や効果音はやはりカッコいい。ダンスパーティで流れる一定の音域をカットした(?)未来のジャズみたいな曲も面白かった。
アップルウォッチ的なバイタルモニター装置や無重量空間を歩ける磁気ブーツなど小道具の扱い方もスマート。
透明のカトラリーとか、未来のリアリティを演出するための工夫が凝らされてることに感動してしまう。観られてよかった。
2001年宇宙の旅が遠くに透けて見える(^O^)
リマスターされたモノクロを、レンタルで鑑賞。きっとキューブリックはこれを見てクラークの原作の映像化の参考にしたのだろう。そうとしか思えない要素がいっぱいです(^o^)ダンオバノンやルーカスやスピルバーグも見ていたのかも?今のSF映画の元ネタがほとんど入ってます。こんなに昔にこの内容を産み出した原作者と監督は凄いの一言。展開がトロイと言うやからもいるがこれが本来の映画の語り方です。スマートホンでひっきりなしに画面とにらっめこしているとほんとに大事なものが見えなくなります。SNSをやめて昔の名作を観ましょう(*´ー`*)
社会主義テクノ?は格好イイ
ごだわりの舞台セット。音楽の先進性。しっかりした脚本。 きっと予算のない中でよくできてる。でも残念ながらこの作品に影響されて後に作った「2001年宇宙の旅」や「エイリアン」が映画史に残る傑作すぎて物足りない。
2001年宇宙の旅の原典
1963年のモノクロ映画。
古い作品ではあるが、美術のセンスや独特のBGMは今の視点から見ても楽しめた。
壁の幾何学模様状のパターンは後のスターウォーズに酷似。
8角形の通路や音声式AI、新生児誕生といった記号は、後に2001年宇宙の旅でブラッシュアップされていったのだろう。
荒唐無稽なスペースファンタジーをサイエンスフィクションに押し進めた作品として捉えると興味深い。
アバンのシーンをクライマックスにつなげる構成は今でこそよくある手法だが、当時は画期的だったに違いない。
光速航行中地球と大きく時間差が出るという設定。
数百年漂流していた人工衛星の謎解きなども興味深かった。
中盤、ある惑星の接近で登場人物全員が睡魔に襲われ次々と意識を消失していく。
この展開がとにかく長く、見ている視聴者までも睡魔に襲われること必須だ。
これが作者の意図かどうかはともかく、作品の中で起こっている現象に視聴者まで巻き込まれる体験が出来るのはこの映画くらいなものかもしれない。
音楽も
全然本質的な感想ではないのですが、怒らないでください。
こんなの「ネタバレ」と言えないと思うのでネタバレ印は付けませんでした . . . ピアノでポロンポロンとドビュッシーのよう感じのゆったりした曲を弾いている場面がありました。弾いている人によればオネゲルの曲だとのこと。フランス(スイス?)の作曲家です。いい曲だなぁと思って気になって調べてみたら、原曲は「ダヴィデ王」というオペラの序曲で、おどろおどろしく激しい曲。映画での雰囲気とは全然違います。
よくもまあ、そんなマイナーな曲、しかも編曲版を見つけてきて使ったなぁ。その曲が作る雰囲気が気に入りました。
本作がなければ2001年宇宙の旅も違ったものになったかも知れない
いや驚いた
このような幻のSF映画が観られるとは!
話には聞いていただけの伝説の映像を観ることができ感激した
チェコは当時は東側共産圏の国であるし、このような内容であるから日本で観ることは簡単には叶わなかったのだ
しかし米英では、チェコでの1963年公開のそれぞれ1年、2年遅れで公開されていたとのこと
そしてその影響が半端ないレベルで西側のSF映画に与えたことで有名な作品であった
果たして確かに後年の西側のSF映像作品に大きな影響を与えた作品であることが一目でわかった
特に美術は大変に優れており、その他にもモチーフが大量に引用元となっていることがわかる
例えば、2001年宇宙の旅
1968年公開、本作イギリス公開の3年後
八角形の断面をした宇宙船内の通路
メインコンピューターとの音声インタフェースの丸いライト
大きな円形の宇宙空間を望む窓
地球にいる家族とのビデオ通話
そして、別の高次の存在との接触で映画は終るところまで同じだ
そしてそれを機に人類が生まれ変わる象徴のアイコンまで同じだ
偶然の一致とは決して思えない
例えば、宇宙大作戦
1966年テレビ放映開始、本作の米国公開の2年後
円形のブリッジ、円周上に各機能の操作卓とその担当が配され前方の大型スクリーンに状況が投影される
その正面、ブリッジの中央に操舵用の操作卓がある
これはもちろんエンタープライズ号のブリッジ配置にそのまま取り入れされている
壁側の席が一段高くなっているところまで同じだ
艦内の様々な施設の美術はエンタープライズ号の転送室など様々な部分にほとんどそのまま流用されたという程のレベル
前半のエピソードはそのまま宇宙大作戦のパイロット版であった言えるおもむきだ
例えば宇宙家族ロビンソン
本作の米国公開の1年後1965年にテレビ放映された
ロボットのフライデーのつたない合成音声の話し方は本作のパトリックがご由来だったのだ
また、その銀色のボディの頭は透明な円形状のケースに金属のセンサーが納められており、一目でこれもパトリックが元ネタとわかる
目的地はアルファケンタウリで本作と同じだ
家族で行くか集団で行くかの違い
例えば、スターウォーズ
1977年公開、本作米国公開の13年後
宇宙船やデススター内部の壁面にみられる、光る縦のスリット状の幾何学パターンも本作由来だ
何故にそれほど迄の影響力があったのだろうか?
考えてみれば、ロボットの語源はチェコの作家カレル・チャペックが1920年に書いた戯曲の中の造語
つまりチェコはそれほどにレベルの高いSFの素養を持つ国であったのだ
チェコ映画については全くの無知であったが、調べてみると首都プラハにはヨーロッパ最大の撮影所があるという
1965年~1968年のアカデミー外国語映画賞では、4年連続でチェコ映画が受賞かノミネートを受けるなど、当時さまざまな国際映画祭や各国の映画賞で受賞するなど注目を浴びていたとのこと
もしかしたら本作がなければ、例に挙げたような作品は生まれなかったかもしれない
いや撮られたとしても、かなり違った物になっていたはずだ
それも悪い方向に
それほどSF映画の世界に大きな影響を与えた超重要な作品と言えるだろう
SF映画好きと自負するなら絶対に観なければならない作品だ
円谷プロ!?
みたいな古き良き日本の特撮モノのような暗く不穏な雰囲気にバルタン星人でも登場しそうで。
始まりから何かが起きている場面でのオープニングロールに期待させられ物語は打って変わり平穏な生活を描写し中盤からオープニングの場面に切り替わる当時としては斬新で今観ても斬新。
白黒の映像に船内のデザインや宇宙服にロボットなど全体的なLOOKが素晴らしくそこだけ観ていても飽きないし電子音楽のピコピコとダンスシーンの音楽とサントラがヤバい。
何かが起きるようで起こっているが起こっていないようで起こるかもしれないと緊張感は持続され眠気を誘う位な静かなシーンが多いがキャストが寝てしまった!?
色々なSF映画に影響を与えたらしいが個人的には円谷プロをロクに観たコトも無いのに頭に浮かんだ。
ダーク・スター
2163年に40人のクルーを乗せて地球外生命探査の為にアルファ・ケンタウリ系の惑星を目指す宇宙船イカリエで起こる話。
終始航行中の宇宙船の中でストーリーは転換するが、序盤から事が起こるまで約20分、特にストーリーに関係ないし宇宙船内とは思えない様なマッタリした日常が流れる。
昨今の作品の様には行かないけれど、ことが起きてからはテンポもなかなか、投げっぱなし感とご都合主義は否めないながら楽しめた。
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