「萌えキャラ化するヴェノムを受け入れられるか」ヴェノム 幸ぴこさんの映画レビュー(感想・評価)
萌えキャラ化するヴェノムを受け入れられるか
今をときめくトム・ハーディ演じるエディの身体に融合して(そういう説明はなかったけど)人間に触れ合い感性が似通ったのか人間に協力的に見て取れる行動をし始め、良くも悪くもmarvelヒーローっぽくなってゆくヴェノム。
スパイダーマンシリーズの極悪一直線なヴェノムをクールで魅力的だとしていたファンからすれば、この方向転換はヤメテ欲しかった…と思うかもしれない。そのくらいキャラの変貌ぶりが激しい。私は可愛くて好きですが。まあ『ジョークも交えてお喋りできるパラサイト』だよね。
宿主エディとコンビネーション?を発揮しながらチェイスを繰り広げるシーンはスパイダーマンと似たアクションシーンではあるけどシュールで面白かったし、ヴェノムの顔になる時の若干の恐怖シーンに胸躍る!ただシンビオート同士の対決は、グジャグジャした物がこねくり合うだけに見えて…つまり何が何だか分からなかった。
足りなかったのは、シンビオートと同化した事が原因でエディの心臓が酷く弱ってしかも恐らくヴェノムが器官を食べちゃっていたからにも関わらず、その解決に至るシークエンスが一切なかったこと。ヴェノムが慌てながら「オレが治す」とか言ってたのどうなったん……?ヴェノムを体内に取り込んでたらそのうちエディ死んじゃう疑惑なんだし、ここはラストまでにきちんと取り払って欲しかった。
あとはヴェノムが地球を気に入ったのは分かるんだけど、そこから先の目的が何故『自分だけが地球に残り人類を支配するなり食い続ける』とかではなく『人類と仲良く共存☆しかも無闇に人を食べないって約束もするよ!』になるのかが全く不明。途中からイキナリただの良いシンビオートって体になっちゃって、これでいいの?!という違和感が拭いきれず。脚本と展開については、無理矢理感が強くて今ひとつだと思う。そこが大味でも充分楽しめるってところがmarvelムービーの醍醐味ですな…。