「俺たちの誕生を喰わせてやるぜ~!」ヴェノム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
俺たちの誕生を喰わせてやるぜ~!
アメコミが映画界を大席巻の中、何もヒーローだけが活躍してる訳じゃない。
アンチな俺ちゃんが人気者になったり、悪党でチームを結成したりと、ヴィランにも活躍の場が。
そして、また一人。
ヴェノム。
スパイダーマンの敵キャラで、中でも屈指の人気キャラ。
アメコミにそれほど詳しくなくてもその名は知っていたし、単独作の企画も随分前からあった。
やっと、お目見え!
マーベル最凶ヴィランの一人と言われるだけあって、その暴れっぷりは痛快!
まだ寄生段階から触手のようなものを伸ばし、相手を鷲掴み!突き刺し!
そして、ポスターの強烈ビジュアルの姿を現してからは、凶悪パワーをさらに発揮。
相手を軽々と投げ飛ばし、ビルもよじ登り、ジャンプ力も驚異的。
極め付けは、牙と舌とよだれを惜しみなく見せて大口を開け、相手の頭をパクリッ!
まさしく、宇宙からやって来たモンスター!
演じたトム・ハーディの魅力も大きい。
『スパイダーマン3』で登場した時は、演じたトファー・グレイスが小柄で華も無ければヴェノム自体もインパクト薄だったが、元々大柄で筋肉質のヴェノムにタフなイメージのトムがぴったり。(昔、友達がヴェノムのイメージはシュワちゃんって言ってたっけ)
でも今回のトム、単なるタフ野郎ではない。
記者エディ。
在籍中は熱血漢で漢の色気も充分。
ある企業の悪事を暴こうとして失職し、人生も恋人も失ってからは、不甲斐ない惨めっぷり。
ヴェノムに寄生されてからは、精神異常&言動イカれた怪演。
ヴェノム化してからは、パワフルな熱演。
その巧みな演じ分けはさすが実力派でもある。
トムの魅力と演技も相まって、ヴェノムに寄生されてからやっと面白くなった。
そう、それまでの前半はとにかく平凡で退屈なのだ。
ストーリーも設定もあるある。
落ちぶれた主人公。元恋人。
悪徳企業の陰謀。ステレオタイプの悪人。
主人公は再起を図ろうとするが、事件に巻き込まれた事により、運命が大きく変わる…。
こんなの、5分もあればある程度話は出来上がる。
寄生されてからの中盤のカー・アクション、クライマックスのもう一体のヴェノム=ライオットとの壮絶バトルは迫力の見せ場充分だが、それでも難点が。
残虐なヴェノムだが、過激なバイオレンス描写を期待すると、割りとそうでもなく…。
エディとヴェノムの“会話”はユニークだが、もっとブラックなユーモアあっても…。
次第に“バディ”になっていく2人のドラマ性もお粗末。
それから、結局は強敵現れてそれと戦うという、ヴィランがヒーローになっちゃうラストの展開…。
これじゃあせっかくヴィランを主役にした意味が無い。それとも、元々ダーク・ヒーロー路線だったのかな…?
作品としては、面白味や個性は充分でも、まだそれらは発揮出来ずと言った感じ。
ヴェノム誕生~紹介編。
アメコミ映画って1作目は無難な作りでも、2作目から大化けする事も多い。
果たして、ヴェノムも…?
その時は“俺たち”で、アメコミ映画界を食い散らかしてやるぜ!
ヒロインのアンに、ミシェル・ウィリアムズ。
実力派の彼女の本領発揮とは残念ながら言えないが、この手の作品への出演は珍しく、何だか新鮮。
アンはコミックで女ヴェノム=シーヴェノム化し、ミシェルのアクション共々見れるかは…、お楽しみに。
マーベル・コミック作品なので、あのじいさんの出演やエンディング後のオマケ映像は勿論。
オマケ映像は2つあり、1つ目の方に出てきたキャラはまるで知らなかったが、後で調べてみたら、こりゃもう完全に続編やる気満々ね。
2つ目は蛇足であった。