劇場公開日 2018年6月30日

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「パンク時代劇、ハチャメチャで候」パンク侍、斬られて候 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5パンク時代劇、ハチャメチャで候

2019年4月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

興奮

誇り高き侍道『MIFUNE』を先に見てしまったせいか、そのハチャメチャな時代劇に唖然呆然。
でも、元々リアリティーなんて求めてないし、そういう作品だと分かってたので、それはそれで別にいい。
ハッタリ&インチキ大合戦とブッ飛んだ登場人物が入り乱れ、一応は退屈せずに見れた。

とある小藩にふらりとやって来た自称“超人的剣客”の浪人・掛は、新興宗教団体“腹ふり党”の脅威を訴え、藩に取り入ろうとするが、家老・内藤にその魂胆を見破られる。
しかし内藤はそれを利用してライバル家老を失脚させるが、腹ふり党がとうの昔に壊滅していた事が判明。
今更、いい加減な浪人の嘘っぱちだなんて言えやしない。
そこで、腹ふり党の残党を探し出し、党復活をでっち上げる…!

見る前は話もいまいちよく分からなかったが、見てみるとそう訳の分からんもんでもない。
要は、嘘を付いたら、嘘がバレ、己の保身の為にその嘘を本当にしようとする。
一応は計画は上手くいったのだが、思わぬ事態に。

でっち上げで復活した腹ふり党はあっという間に信者と勢力を拡大。
藩に侵攻し、藩の大ピンチに!
藩が討伐の為に手を組んだのは、人の言葉を話す大猿・大臼(でうす)率いる猿軍団…!?

はい、もう、ハチャメチャを通り越して、何でもありです…。

とにかく、ブッ飛んだ強烈キャラのオンパレード。
事の発端の嘘の張本人で、剣の腕も嘘っぱちかと思いきや、確かに剣の腕は立つ主人公・掛を筆頭に、
腹黒家老、ミイラ取りがミイラになるすぐ気絶する腰抜け侍、自惚れで純情な隠密、信じられないほどのアホだが実は超能力者、顔を見て吹き出しちゃNGな元腹ふり党幹部、仕える謎の美女…。
もはや、キテレツさん、いらっしゃ~い!状態。
中でも特筆すべきはやはり、ナレーション兼の大猿・大臼。
登場するや否やシュールになるが、実は登場キャラの中で最も論理的で正論。
猿の方が人間よりまともという実に皮肉めいた設定。
綾野剛、北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、國村準、豊川悦司、永瀬正敏ら豪華な面々が怪演。

石井岳龍監督と宮藤官九郎脚本の下、ハイテンションとシュールな笑いと荒唐無稽な展開で話は突き進む。
アクション、CG、特殊メイクも駆使し、クライマックスは思ってた以上の大合戦。
綾野と北川のロマンスは蛇足的に感じたが、実は冒頭の伏線でラストにオチが…と言っても、すぐ分かったが。
バカと嘘と猿の大合戦だが、結構皮肉もピリリと効いている。
私利私欲の企みや、藩への不満から怪しい団体の教えに熱狂する民たち…。
酷評目立ち、大して期待しないで見たので、思いの外面白く見れたのだが、それも中盤過ぎ、ラストまで。

このハチャメチャ荒唐無稽が面白味なのだが、何だか支離滅裂、収拾つかずといった感じに。
どんどん意味不明、オチもまるで別ジャンルに。
途中まではそれなりに面白かったのに、着地に失敗、結局何をやりたかったんだ…?

何だか凄く、惜しいと言うか、残念と言うか、
タイトルに掛けて言うなら、
パンク時代劇、酷評されて候。

近大
CBさんのコメント
2020年5月8日

> 結局何をやりたかったんだ…?

同感…なのですが、だからこそパンクなのでしょうか…

CB