「寧子に共感できるか否か」生きてるだけで、愛。 まろんさんの映画レビュー(感想・評価)
寧子に共感できるか否か
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バイト先のカフェバーでのウォシュレットの件は衝撃を受けた。前半から既に自分と重なる部分が多く、寧子に感情移入しながら見入っていたから、余計に。
長いこと社会から離れて生きてきた分、あのカフェバーのスタッフは寧子にとって、救われる場所になるかもしれなかった。「家族のようなもんだから」って奥さんの台詞に、どれだけ希望を見出しただろうか。だがその直後にあのウォシュレットの一件。ああ、やっぱり自分とこの人たちは別の世界の人間なんだ。とわかってしまった。「私はやっていけますかね?」「私は、ここでやっていけますかね?」と何度も聞いた。安心したかったのに、自らの手で崩してしまった。そんな自分が嫌になる…痛いほどわかる。ダイイングメッセージのように残されたウォシュレットの噴き出すトイレが、寧子の心情を描いているように思った。
趣里さん演じる寧子に共感できる人は特に心に刺さる映画だと思うが、ウォシュレットの件でスタッフ側の人たちの方が共感できる人たちには、理解しがたい映画だろうなと思った。
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