「最大級の敬意に値すると思います」生きてるだけで、愛。 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
最大級の敬意に値すると思います
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『いいな、ツナキはあたしと別れられて。あたしはあたしとは別れられないから』
『あたしはすぐに自分のことを見つけられてしまう』
正確ではないかもしれませんが、この二つの言葉だけで充分に文学作品だと思いました。原作を読んでないので、同じセリフがあるのかどうか分かりませんが、正にウオシュレットの水で脳天をかち割られた気分です。
この映画を思い出す時、勿論青いスカートや屋上のシーンは忘れないと思いますが、長い時間が経ったとき、頭の中に真っ先に浮かぶのはこの言葉で、あの屋上の洗濯ロープを背景に活字が浮かんでくるような気がします。
私は、躁鬱のことや過眠症のことは医学的なことも心理学的なことについても全くの素人なので、何も語る資格がありません。なので、もしそのようなことで苦しんでいる方々に接することがあったとしても、あのカフェの人達のように振る舞うこと以外に選択肢はないと思うし、あの振る舞い方以上に適切だと思える対応があるのでしょうか。
答えがないことが答え、という困難な映画、そして上質な文学作品にまで昇華させた監督やスタッフ、俳優、関係者すべての方に敬意を表します。
それにしても寧子さんは、トム・クルーズよりも走ってましたね。
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グレシャムの法則さんのコメント
2018年11月25日
家に帰ってからも、どこかで見覚えのあるような気がして落ち着かなかったのですが、やっと思い出しました。
フランス映画の『たかが世界の終わり』でもこの作品と同じようなイライラするやり取りがありました。そして、同情や親切とかの一般論が及ばない、絶望的に分かりあえないことがあるという人間世界の真実が見えてくるという意味で。