シネマ歌舞伎 楊貴妃のレビュー・感想・評価
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大陸文化への敬い
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あの世から楊貴妃を迎える使者役の市川中車は、粗削りな襲名当初に比べ、洗練された舞いと落ち着いた声色で、5年の精進を感じさせる。
この世に現れた楊貴妃は、対の扇を鳥か蝶の如くひらめかせ、華麗に舞い再び消える。
登場と退場時の簾の動きが、寸分の乱れなく美しい。
そして、京劇的な舞いからは、大陸文化への敬いを感じさせられた。
歌舞伎で馴染みの日本的な舞踊とは明らかに異なる優雅な舞い。
あらゆる芸術を取り込み自らの一部にしてしまう歌舞伎の恐ろしいほどの包容力と生命力。
舞い終り、使者に託す翡翠のかんざしは、
7月7日に必ず貴方の元に戻りますという約束の印。
冒頭でその事が語られ、より舞踊の意味が解る。
そして、劇中に流れる唄の字幕があることもシネマ歌舞伎の有り難いところだ。
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