「再現「無声映画」も楽しい。」カツベン! ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
再現「無声映画」も楽しい。
一種歴史物語を見るような面白さがあった。活動弁士(カツベン)という存在は知っていても、実際どんな様子だったのかは全く知らない。誰にでもわかるように、生き生きと当時を再現してくれた。一番印象的だったのは、弁士は単に映画の説明役位に考えていたのが、観客が映画を楽しめるのは、弁士の個性や力量にかかっていると言ってもいいくらい大きな存在であったことだ。きざで女性に人気の茂木と正統派の染谷の弁士対決は見ごたえがあった。弁士の本領を見せてくれた。
活動写真に関わる人たちの熱気も伝わってくる。弁士をはじめ、映写技師や楽隊に意気がある。館主夫婦の映画愛も面白く描かれている。何といっても観客の一体感が素晴らしい。活動写真が当時の庶民の娯楽として特別な存在だったことが分かる。
ストーリーは主人公の成長やラブロマンスをベースに、悪者たちの暗躍を絡ませたドタバタ喜劇である。難しそうな要素は極力なくしてひたすら軽く仕上げた。物足りなさも少し感じるが、それがこの映画の味わいでもあろう。
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