劇場公開日 2019年5月25日

「手作り感が伝わる本格時代劇、この不思議な取り合わせ」武蔵 むさし AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0手作り感が伝わる本格時代劇、この不思議な取り合わせ

2019年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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三上康雄監督が製作・脚本・編集も兼ねて、まるで自主映画のようなスタンスで取り上げた本格時代劇。先日タイミングよくTOKYO MXで放映された「蠢動」も鑑賞したが、台詞を研ぎ澄まし過剰な演出を排して、本格の殺陣をシンプルな和楽器の伴奏でじっくり、しかし迫力満点に魅せる作風は変わらない。

御多分に漏れず“武蔵vs小次郎”といえば「宮本武蔵 巌流島の決斗」の中村(萬屋)錦之介と高倉健のイメージだったが、史実によると佐々木小次郎の方が相当年上で、40歳以上年齢差があったとの説もあるとか。風格ある松平健の小次郎は、史実に忠実な起用でもあった。主演・細田善彦の入魂の演技、殺陣にも感服。さらなる飛躍を大いに期待する。目黒祐樹、若林豪もさすがの存在感だった。

「居眠り磐音」の今様のセンスを感じさせる娯楽活劇も悪くないが、「武蔵」のストイックさもまた格別だ。注目作ランキングで健闘しているのも嬉しい。

高森 郁哉