武蔵 むさしのレビュー・感想・評価
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手作り感が伝わる本格時代劇、この不思議な取り合わせ
三上康雄監督が製作・脚本・編集も兼ねて、まるで自主映画のようなスタンスで取り上げた本格時代劇。先日タイミングよくTOKYO MXで放映された「蠢動」も鑑賞したが、台詞を研ぎ澄まし過剰な演出を排して、本格の殺陣をシンプルな和楽器の伴奏でじっくり、しかし迫力満点に魅せる作風は変わらない。
御多分に漏れず“武蔵vs小次郎”といえば「宮本武蔵 巌流島の決斗」の中村(萬屋)錦之介と高倉健のイメージだったが、史実によると佐々木小次郎の方が相当年上で、40歳以上年齢差があったとの説もあるとか。風格ある松平健の小次郎は、史実に忠実な起用でもあった。主演・細田善彦の入魂の演技、殺陣にも感服。さらなる飛躍を大いに期待する。目黒祐樹、若林豪もさすがの存在感だった。
「居眠り磐音」の今様のセンスを感じさせる娯楽活劇も悪くないが、「武蔵」のストイックさもまた格別だ。注目作ランキングで健闘しているのも嬉しい。
最近撮られた割に古臭い雰囲気
狙って古臭くしてるが、少しやり過ぎと感じるのは私だけだろうか。
しかも内容はともかく、冒頭でタイトル並みで大きく
「○○株式会社」には少々面食らった。
宗教かプロパガンダの込められた作品かと 少し身構えたが、
そうではなかったようだ。結局何だったのか。
本作品にはチョイ役にも多くの大物俳優が出ていて壮観でもある。
平成の時代劇の集大成 を感じさせる顔ぶれに驚き
吉川英治の新聞小説の影響が強すぎて、すっかり独り歩きの感が
ある宮本武蔵と佐々木小次郎のイメージだが、実際には本作品に
近いらしい。
とはいえ、仔細不明な両人。生誕日は互いに不明らしいが、
本作品では小次郎を50歳と(イメージを覆す)大胆な設定で斬新。
決闘の裏の目的と相まってなかなか楽しめた。
映画の最後の大事な締めに、戦国時代を描いた映画にありがちな
「これからは剣の時代ではない」
というセリフが出てくるのが、多少違和感があって、残念。
これは徳川時代を知っている今だから言えるのであって、
当時の人はいつ戦乱の世に戻ってもおかしくないと考えていた、
はずだと思う。
意外な展開、驚きの武蔵
武蔵と小次郎の対戦モノとはいえ、フィクションであることが最初からわかってはいるからさぁ何でも来い!といった構えで見ていたら。あらあらあら…
武蔵ネタの映画はとにかくチャンバラが無ければ話にならないわけだけれど、ここの武蔵はあくまでも「剣道家」人を「斬る」ことに堪らなく虚しさを覚えて山籠りまでしてしまう。
一方の小次郎はマツケンで、あまりにも年上の設定に驚くだけではなく、彼の台詞でも「民を守りたい」などという思わぬ展開。
だから、というわけなのか武蔵は漁船の櫂を削って作った特大の木刀を使い、小次郎の燕返しを峰打ちにして凌ぎ「斬らずに」勝負を決めた!…と思ったのに…
なんとも言えない虚しい展開になってしまった訳ですね。
全体が彩度を落とした白黒に近いトーンで撮影されており、雰囲気としてはとてもいいのだけれど、ロケがほとんど茨城県。巌流島も大洗海岸、ということであまり背景探しを面白がれなかったのが残念!
武蔵の立ち姿と殺陣がとても良かった。吉岡家の大人数との斬り合い「勝...
武蔵の立ち姿と殺陣がとても良かった。吉岡家の大人数との斬り合い「勝負はついた」と何度も叫び逃げながら斬りまくる場面が本当に凄かった。ここがピークで、これ以降は淡々としてくる。
語りが多い。
沢村大学(目黒祐樹)の説明的長台詞。鎖鎌野郎との戦闘シーンと、十字槍の僧との試合が入るが他はほぼ語り。宝蔵院の扱いが小さ過ぎ。
全体的にぶつ切りな感じ。
なんかいろいろ要求していたのでウザがられていた佐々木小次郎。
排除する為に武蔵との試合をセッティングしたみたいな話の流れ。
「武人なら場所は関係ない」という台詞が暗殺目的なのを匂わせる。
前半はとても良かったのだけれど、後半は薄め。
クソつまらない
撮って公開した事は凄いと思う。
だけど…なんだこれ?
自主映画でももうちょいとマシなものを上げてくるんじゃないかと思う。
カツラ被って、衣装着て、刀振れば時代劇とでも思ってんだろうか?
外堀が全くもって頼りない。
予算がなかったんだろう事は絵を見りゃ分かる。だとすればやり方もあるだろう…。
高望みが過ぎた出来だった。
脚本がダメ
編集もダメ
照明も、音声もダメ
照明をいじった事もない奴があててるとしか思えない。バカにしてんのか?
やりたいって監督の気持ちは分かるのだが…1800円の値打ちは皆無だ。
残念ながら。
いくつか武蔵は見たものの、こんなにつまらない武蔵は初めてだった。
説明台詞が多すぎるし、その説明台詞が無駄な説明でもあった。
カットの余白が多すぎ、シーンも無駄が多すぎ。ブツ切れで流れてかないし、時間稼ぎでもしたかったのかと思う。
「月、星…二天」って何??
どんだけの付け足し感だよっ!w
なんて安直で安価な奥義開眼…まぁ、言ったもん勝ちだし開祖だし、こんなもんでも不思議はないが、武蔵のブランド感は地に落ちた。
あー、つまらない。
くだらない。
溜息と舌打ちに費やした2時間だった。
だいたいからして、やりきれなかった部分の埋め合わせで「新しい武蔵像」なんて文言を使ってるのかと疑ってしまう。
作品冒頭に「史実に沿ったオリジナルストーリー」とのテロップが入る。
こっからして怪しさ満載だ。
別にこの作品の専売特許じゃないし、言い訳にしか聞こえんわ。
史実に基づいた武蔵と小次郎
史実に基づいて、ドラマチックに仕上げられた時代劇。もう、観てるうちに段々緊張してしまい、なんか知らないうちに拳に力入ってました。
武蔵がどのように育てられ、何故に強くなっていったのかが分かりました。そして人を斬りたくて刀を振り回したのではなく、防衛本能から斬ってしまった‥その結果の死体の山を見て、発狂に近い状態に陥った苦悩もとても上手く表現されていたと思います。
一方、小次郎はお上の思惑に躍らされ、人生を追い詰められてしまった。多くを語らず、目で物云う…日本男児の真髄みたいなんが感じられました。
素敵な映画なのに、上映映画館が少なく、早々に打切られてしまうのが残念。
何が史実なのか…なんて事はどうでもよくて。
昭和の頃を連想させる映画❗
チャンバラには三味線
誰が主役かわからない
悪くない作品だったが、良くもなかった印象。予算の関係で、ここまで止まりなのかな?とも思うし。
主役の二人のセリフが、めちゃ少ない。
なんか目黒祐樹ばっかり喋ってた印象(笑)。
鎖がまの刺客が出てくるシーンが唐突過ぎて、そこからちょっとシラケてしまって残念だった。
ラストもなんか尻切れトンボみたいだったし……。
ひたすらリアリティを追求してたのかな?
昔の時代劇のような、大仰なドラマティックさが無い分、今風と言えば言えるけど……。
意義のある作品
これまで武蔵といえば、三船敏郎から木村拓哉まで、吉川英治原作の映像化が殆どでした。
そういう中で史実に沿った武蔵映画というのは初めてなので、意義があるのではないでしょうか。
何よりも佐々木小次郎が若い美剣士って設定ではないのが画期的です。これまでの映像作品には全くありませんでしたから。
三味線の音楽で畳み掛けながらの決闘シーンは非常に緊張感があり、実際の侍の真剣勝負はこんな感じだったのかなと感じました。
他の時代劇だと過剰なチャンバラ演出で、逆に興醒めしがちですが、全く無駄がありません。
本物の時代劇が観たい方にお勧めです。
ある女優がカメオ出演しているようなのですが、どこに出てたか分かりませんでした。←追記:パンフレットに記載ありました。
渋いハードボイルド剣豪時代劇
全く新たな武蔵像
劇場公開に先立つ完成披露上映会で観賞。
これまで数多く映画化されてきた剣豪・宮本武蔵ですが、本作は全く異なる視点と演出による新たな武蔵像と彼を取り巻く人間ドラマを、「剣の道」を緯糸にして見事に織り上げた、近年稀にみる本格正統派時代劇の秀作です。
何より剣戟を核とする時代劇の常識を根底から覆す、登場する男も女も悉く一人も悪人がいない人物設定。皆が挙って己の主義・信条に狂信的なまでに忠実に直向きに生き、それゆえに起きる軋轢に互いに妥協することがなく、徹底的に葛藤し相争う。従って勧善懲悪という関係は全く生じず、全ての剣戟は、各々の正義対正義の苛烈で、息苦しいまでの鋭利で凄惨な激突で、終始息を呑むばかりでした。
史実に沿って最後の勝者となった武蔵には、ただ虚無感だけが残ったのだろうと思います。
極限まで凝縮された台詞回しの少なさの上にBGMも殆ど無く、短いカットが次から次へと重畳され、否が応でも緊張感と緊迫感が昂揚させられます。三上監督の前作『蠢動』同様に、モノトーンのやや淡色の陰鬱な画調、青年・武蔵の不安と焦燥に包まれた心象風景の如き画調を背景にして、恰も真空状態かの如き異様に張り詰めた空気がスクリーンのみならず観客席にも漂っていました。宛ら息も出来ないくらいであり、背筋が直立に矯正され身構えさせられていました。
生死の狭間での、生身の肉体がぶつかり合う激しい剣と剣の応酬には、一寸の狂い、一呼吸の遅れで生死を分かつ、一瞬一瞬の劇的な迫力に溢れており、特に一乗寺下り松の吉岡一門との決闘シーンでの武蔵の剣には、鬼神の如き尋常でない速さと鋭さがあり、ヒーローの華麗さや快活さは微塵もなく、ただ生きるための狂気に満ちた必死の気迫と剛毅さが有るのみです。
目まぐるしく場面が移りながら、ストーリーは整然と、且つ非常にテンポよく進んで無理な展開は全くなく、一方で無駄なシーンもない、誠に稠密な構成。
更に台詞も徹底的に磨かれ削がれた珠玉の言葉で書かれており、またやや仰角でのカメラアングルも人物への畏怖の念を自然と醸し出しており、三上監督の台詞・所作の隅々にまで神経を張り巡らせた完成度の高い細心の仕事ぶりが実感出来ます。
歌舞伎十八番「勧進帳」の名場面、弁慶と富樫による山伏問答を擬えた、冒頭での佐々木小次郎と沢村大学との出会いでの厳粛にして小気味よい遣り取りが典型ですが、言葉少ない台詞が、殆ど全て象徴的で重厚な言い回しで尽くされており、その結果、日本語が本来有する優美で風雅な美しさと、その一方での激越で壮烈な険しさを強く認識させられます。
武蔵にとって闘いに勝つことは手段であったはずが、いつの間にか目的化し、名を揚げ立身出世する過程としての試合が、それ自身が、即ち試合に勝つことが武蔵にとって唯一の生きがいと化していく、自然に変わっていくその変貌ぶりには、人が本来持つ獣性が曝け出されて、畏怖を感じます。
斯様に本作のテーマは、武蔵を俎上に載せて、情熱と闘志に満ちた若者の野望と大志を貪り喰って、時代は蟠踞し、そして胎動する。一人の個は、大きな時代のうねりの中で翻弄され浪費されてしまうが、そのエネルギーの躍動こそが、時代を変革させていくということだと感じます。
時代劇をアクション映画と看做す私見によれば、本作は冒頭からエンドロールまで途切れることなく“動”たる殺陣と殺陣に至る“静”たる所作が目まぐるしく展開しており、言わば殺陣アクションの和製ジェットコースタームービーともいえます。
ともかく、2時間の上映中、これほど終始臍下丹田に力を入れ続けた映画は初めてです。
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