劇場公開日 2019年7月6日

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こはくのレビュー・感想・評価

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3.0役者陣はとてもよかったのだが

2019年7月28日
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鑑賞方法:映画館

 エンクミがとてもいい。若い頃バラエティ番組に出演しているときから雰囲気のある女優さんだったが、ここにきて成熟味を増してきた。特にハスキーな声がいい。普段着のリアルな艶めかしさがある。本作品では女のやさしさに加えて母性愛が全開だ。流石に旦那が監督している作品だけあって、この女優のよさがすべて出ている。周防正行監督と草刈民代と同じである。
 井浦新はこのところ映画でもテレビドラマでもよく見かける。達者な俳優で、最近では映画「止められるか、俺たちを」での若松孝二監督の役のエキセントリックな演技が秀逸だった。本作品では口数が少なく真面目に生きる男を好演。
 アキラ100%には驚いた。自分に自信がなくて虚栄心とハッタリだけで生きているダメ男をうまいこと表現できていた。意外に存在感もあるし、役者としてなかなか面白い。次回作があれば試金石になりそうだ。

 家族は近くて鬱陶しい存在である。鬱陶しさが限界まで高じると殺人事件に発展する。事実、日本国内の殺人事件の半数以上は親族の間で起きている。職場や学校で不愉快な出来事があっても帰宅して眠ればある程度は忘れることが出来る。しかし家庭にも問題があれば心が安まる暇がない。

 本作品は家族の絆を描いたドラマである。エンクミの台詞「比べちゃうよね」に兄弟の悲しみが集約されている。父親がいない兄弟は、父親のいる子供と自分たちを比べてしまう。そして父親がいないことのメリットとデメリットを子供なりにぼんやり理解してきたことが窺える。しかし損得を超えた部分で父親のいない淋しさを抱え続けてきた。
 子供の頃の淋しさは大人になってまで引き摺ることはない。しかし怒りや恨みの気持ちは何年経っても燻り続けることがある。SF作家の筒井康隆が、子供の頃に受けた理不尽な仕打ちを思い出して夜中に飛び起きて怒りに震えたことがあるといった意味の文章を書いていた。共感できる人は多いだろう。
 本作品で製作者が表現したかったものが何なのか、よく解らない。何十年かぶりに父親に遭ったら殴ってしまうかもしれないと、恨みを覚えていた兄はそう考えていたが、実際に年老いた父親を目にすると、恨みも怒りもどこかへ消え去ってしまう。そういうところを描きたかったのだろうか。
 しかしわだかまりはそんなに簡単に消えるものではない。複雑な気持ちのときは無表情になるはずだ。一方、父親とあまり関わらなかった弟は久しぶりに遭っても、こういう人なんだという感想はあっても涙は出ないだろう。登場人物はよく泣くが、観ているこちらはまったく泣けない。そういう映画の典型だった気がする。役者陣はとてもよかったのだが、製作者の思い入れが先行して、観ているこちらは置いてきぼりにされた感のある作品だった。

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耶馬英彦

3.5父を、そして母を思わずにはいられない

2019年7月28日
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鑑賞方法:映画館

長崎を舞台に井浦新と大橋彰(アキラ100%)が兄弟を演じた。

弟の亮太(井浦)が5歳のとき、必ず迎えにくると言って家を出た父は、35歳となった今も帰ることはなかった。町で見かけた父を一緒に探そうという兄の章一(大橋)の誘いをきっかけに、二人は父の足跡を追うこととなる。

亮太が自身を父に、そして妻を母に重ね合わせて両親の心情を思う映像が秀逸。妻を演じた遠藤久美子の優しさ、柔らかさも記憶に留めたい。

若い時に覚えた親に対する憎悪や嫌悪は時間とともに曖昧になり、更には自らの罪にすり替わる。そんなことをイメージしたことがある大人たちには結構染みる作品だろう。

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エロくそチキン

3.5家族探しは自分探し

2019年7月13日
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鑑賞方法:映画館

幼少の頃の父親の記憶がないということは、これほどまでに自分の「根っこ」を不透明にし不安にするものなのか。デラシネを生きることは虚妄か。

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こばりん

2.0当たり前にならなかった人

2019年7月7日
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難しい

幸せ

 5歳の頃に両親が離婚して依頼30年間父親と会っていない主人公が、兄が父親を見かけたと述べたことを切っ掛けに兄と二人で父親を捜す話。

父親の営んでいたガラス工房を継いだ次男の主人公と、無職実家暮らしで虚言癖のある兄。
離婚歴があり自身も離婚以来二人の息子達とは会っておらず、再婚した嫁との間に新たに子供が出来たというところから話が展開していく。

どこまで本当かどこまで本気かわからない兄貴に振り回されながら二人で父親を捜すけれど、何故父親に会いたいのか。
それまでもそういう思いはあったのか?

自分も若干の違いはあるものの育ったのは似た様な境遇なのにこれっぽっちも理解出来ない。
自分がドライ過ぎるのか?個人差とかはあるんだろうけど。
主人公の場合は自身も離婚と再婚や子供のこともあるから又違うのか?

雰囲気は良かったけど、その辺の感情や動機がもうちょい描かれていたらハマったかも知れないけれど、それが殆どないから良くわからず、ふ~んという感じしかなかった。

そういう意味では怪しげな店での「いたとして…」がビンゴかな。

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Bacchus

4.5家族であること

2019年7月6日
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生きていると、思い出したくないこともあれば、思い出そうとしても、なかなか思い出せないこともある。
生きていると、誰かに話しておきたいこともあれば、誰かに聞いて欲しくても、なかなか話し出せないこともある。

そして、たとえ家族であっても、それぞれ想いは違ったりするし、たとえ家族であっても誤解があったりもする。

だから、出来たら、たまには会って話してみたら良い。

思い出は、少しくすんだセピアがかったコハク色でも、会ってみたら、またキラキラし始めるかもしれないのだから。

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ワンコ

4.0愛情と我欲と素直になれなくて

2019年6月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

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atararui