こはくのレビュー・感想・評価
全26件中、21~26件目を表示
役者陣はとてもよかったのだが
エンクミがとてもいい。若い頃バラエティ番組に出演しているときから雰囲気のある女優さんだったが、ここにきて成熟味を増してきた。特にハスキーな声がいい。普段着のリアルな艶めかしさがある。本作品では女のやさしさに加えて母性愛が全開だ。流石に旦那が監督している作品だけあって、この女優のよさがすべて出ている。周防正行監督と草刈民代と同じである。
井浦新はこのところ映画でもテレビドラマでもよく見かける。達者な俳優で、最近では映画「止められるか、俺たちを」での若松孝二監督の役のエキセントリックな演技が秀逸だった。本作品では口数が少なく真面目に生きる男を好演。
アキラ100%には驚いた。自分に自信がなくて虚栄心とハッタリだけで生きているダメ男をうまいこと表現できていた。意外に存在感もあるし、役者としてなかなか面白い。次回作があれば試金石になりそうだ。
家族は近くて鬱陶しい存在である。鬱陶しさが限界まで高じると殺人事件に発展する。事実、日本国内の殺人事件の半数以上は親族の間で起きている。職場や学校で不愉快な出来事があっても帰宅して眠ればある程度は忘れることが出来る。しかし家庭にも問題があれば心が安まる暇がない。
本作品は家族の絆を描いたドラマである。エンクミの台詞「比べちゃうよね」に兄弟の悲しみが集約されている。父親がいない兄弟は、父親のいる子供と自分たちを比べてしまう。そして父親がいないことのメリットとデメリットを子供なりにぼんやり理解してきたことが窺える。しかし損得を超えた部分で父親のいない淋しさを抱え続けてきた。
子供の頃の淋しさは大人になってまで引き摺ることはない。しかし怒りや恨みの気持ちは何年経っても燻り続けることがある。SF作家の筒井康隆が、子供の頃に受けた理不尽な仕打ちを思い出して夜中に飛び起きて怒りに震えたことがあるといった意味の文章を書いていた。共感できる人は多いだろう。
本作品で製作者が表現したかったものが何なのか、よく解らない。何十年かぶりに父親に遭ったら殴ってしまうかもしれないと、恨みを覚えていた兄はそう考えていたが、実際に年老いた父親を目にすると、恨みも怒りもどこかへ消え去ってしまう。そういうところを描きたかったのだろうか。
しかしわだかまりはそんなに簡単に消えるものではない。複雑な気持ちのときは無表情になるはずだ。一方、父親とあまり関わらなかった弟は久しぶりに遭っても、こういう人なんだという感想はあっても涙は出ないだろう。登場人物はよく泣くが、観ているこちらはまったく泣けない。そういう映画の典型だった気がする。役者陣はとてもよかったのだが、製作者の思い入れが先行して、観ているこちらは置いてきぼりにされた感のある作品だった。
父を、そして母を思わずにはいられない
当たり前にならなかった人
5歳の頃に両親が離婚して依頼30年間父親と会っていない主人公が、兄が父親を見かけたと述べたことを切っ掛けに兄と二人で父親を捜す話。
父親の営んでいたガラス工房を継いだ次男の主人公と、無職実家暮らしで虚言癖のある兄。
離婚歴があり自身も離婚以来二人の息子達とは会っておらず、再婚した嫁との間に新たに子供が出来たというところから話が展開していく。
どこまで本当かどこまで本気かわからない兄貴に振り回されながら二人で父親を捜すけれど、何故父親に会いたいのか。
それまでもそういう思いはあったのか?
自分も若干の違いはあるものの育ったのは似た様な境遇なのにこれっぽっちも理解出来ない。
自分がドライ過ぎるのか?個人差とかはあるんだろうけど。
主人公の場合は自身も離婚と再婚や子供のこともあるから又違うのか?
雰囲気は良かったけど、その辺の感情や動機がもうちょい描かれていたらハマったかも知れないけれど、それが殆どないから良くわからず、ふ~んという感じしかなかった。
そういう意味では怪しげな店での「いたとして…」がビンゴかな。
家族であること
愛情と我欲と素直になれなくて
佐世保の映画を佐世保で観ました
大橋さんと横尾監督と井浦さんの舞台挨拶付 大橋さんの佐世保弁がネイティブすぎて(ご年配の方から習った?)監督から少し手直し(笑)が入ったとか
優しさの中の強さ、弱かった亮太が一歩前に進めたこと等のお話でした
オープニングで夕陽の中 波に揺られる
遠い昔に味わったようなどこか懐かしい感覚 こはく色に充てられ揺蕩う
愛情と我欲と素直さと
例えばごはんを掌で三角に結ぶように愛情と我欲と素直さを結ぶと人それぞれのカタチが出来上がる 軽く握っても強くてもその味わいは変わってくるし涙や汗で切なくもしょっぱくもなる
この3つのバランスを上手くとれない章一や亮太···私もそう
兄は出会えた父に素直に駆け寄れ弟はもじもじして駆け寄れない
どこか調子のいい兄との対比と掛け合いも見どころ
章一が壁ドンして亮太の目が点になるとこは面白かったな
今、通ってきたアーケードが映像の中にある訳で まさにここから直結してる『こはく』映画館に着くまでに耳にしてきた佐世保弁や地元の人々がそのまま映画の中に溢れていて現実から自然な流れでストーリーの中へと移動してました
ラストで章一から亮太!と呼ばれた時の表情はこれまでと同じように見えて違うんだと伝わりました
三人が会えた場面あってこそだけど何気ないこの場面が大切に思えたし好きです
家族について思うと不器用になる
心で作るおむすびはカタチ良く美味しく出来んといかんと?
そがんことなかばい と言ってもらえた作品です
△追記 6月30日
そして そのおむすびを差し出すこと
受け取ることができるということが
どれだけの安心に包まれ
いかに幸せなことであるのか
沁みました
全26件中、21~26件目を表示