「こんな中途半端な映画に出させられた井浦新が気の毒で」こはく 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
こんな中途半端な映画に出させられた井浦新が気の毒で
先に、主な俳優陣はよかったと言っておこう。井浦新もアキラ100%もエンクミも、魅せる演技でした。
ただそれを帳消しにしても足りないほどに、つまらない映画でした。
まず、父を探し出す動機が薄いし、探し方もグダグダだし、最後も「それでいいのか?積年の恨みは会えば消えるのか?」だし、とにかく脚本がつまらなすぎる。
そのついでに書いていくが、
・作り立ての肉じゃがが全然作り立てに見えず、画面から冷めて見える。
・アーケードのシーン、老若男女の歩くスピードが皆同じの不思議(歩かされてる感ぷんぷん)、しかも田舎には似つかわしくない混雑(今やどこもシャッター通りですよ)。
・長男でもないのに名前に「太」がつくのはなにかの伏線かと、要らぬ想像だった。(実はお前は友人の子で私たちが引き取ったのよ、とか)。名付けセンスなし。
・妻が妊娠してから出産まで、皆の服装が同じせいで季節が移ろう感がまるでなく、あっさりと子供が産まれてしまったように思える。
・産科で待合室の父親を呼ぶときに、ふつうはフルネームでは呼ばない。
・経営者が借金を作って逃げたなら、その会社は他人の手に渡るはずで、ましてや息子が後を継ぐのは不自然。だいたい、迷惑をかけられた従業員が息子と仲良くやれるとは思えない。
・職人の石倉三郎が若い職人にアドバイスをする台詞、ただ眺めながら「ああ、そこそこ」とか、素人かよ!とツッコみをいれてしまった。
・弟は、その時5歳で父の記憶まるでないと言いながら、顔はわからずともだいたいの記憶があるし。
・緊急入院し、もう先がないはずの老母が、案外元気に笑顔で話す不自然。
・葬儀場で、ロビーで立つ喪主の脇を、まるでかかわりのない他人のようにそっけなく通って帰ろうとする参列者たち。
・茂木に行く時に乗っていった車は誰の?まさか兄は持ってないよね?産科にはタクシーで行ったよね?
・・・
思い出しただけでこれ。もっと思い出しましょうか?
最後の違和感は、二人の父親があの役者だってこと。そりゃ違和感感じるわ、兄弟役が実年齢では同い歳なのはまあいいとして、その二人と父親役はたったの10歳違いではないか。父親にしては・・おや?という感覚は間違いではないわけで。
長崎弁がなにしゃべっているかわからないのはまだ良しとしても、なんですかこの映画?ただの雰囲気先行映画。熱演の井浦新が痛々しく思える。ちゃんと作り込め、ヘタクソな制作陣よ。