「冤罪に人生を狂わされた人々の爽やかな笑顔」獄友 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
冤罪に人生を狂わされた人々の爽やかな笑顔
本作で描かれるのは、社会正義ではなく、日本の警察の自白偏重主義の問題や拷問の実態でもない。本作は、冤罪で長期間の獄中生活を強いられた人々の、その体験からくる血より濃い絆を描いた友情映画だ。
犯罪者のレッテルの苦しみ、獄中生活のつらさにこわばる瞬間はもちろんある。とりわけ袴田事件の袴田巌さんの出所直後の姿はショッキングだ。
しかし、それ以上にこの映画にははじけんばかりの笑顔があふれている。まるで青春映画を観ているかのような気分にさえなる。
足利事件の菅家利和さんも狭山事件の石川一雄さんも、みなとても良い笑顔を見せている。主要登場人物の一人、布川事件の桜井さんなどは、冤罪で獄中生活を強いられたからこそ、自分は真人間になれた、冤罪のおかげで人生を豊かに過ごすことができるようになったとさえ語る。
不運ではあったければど、不幸じゃないと彼らは言う。警察組織も社会も理不尽ではあるけれど、それでも人生は素晴らしいものにできると彼らは語りかける。感動した。
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