「4DX上映につき、いちおう地雷を踏んでみた…爆死である」劇場版 幼女戦記 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
4DX上映につき、いちおう地雷を踏んでみた…爆死である
常識的にはタイトルからして変態だ。
本来の2月公開をスルーしていたアニメ作品だが、4DX限定上映なので、いちおう地雷を踏んでみた。爆死である!なんとか否定したい本性に気づかされる・・・。
伝統的な妄想オタクの王道。"女児愛好のキャラクター × 戦争シミュレーション"という究極の取り合わせにクラクラする。
"かわい娘ちゃん"と"戦闘・兵器"の掛け合わせは、"セーラー服と機関銃"形式ともいうべき、萌えバリエーションである。
興味深いことに、この形式は、KADOKAWA(角川グループ)の専売特許のような様相で、「セーラー服と機関銃」はもちろん、驚異的な人気を博する、戦車×女子高生の「ガールズ&パンツァー」(2012~)や、日本の軍艦を少女に擬人化した「艦隊これくしょん -艦これ-」(2013~)、そして本作品のいずれもKADOKAWA関連作品だということが共通している。
主人公は、金髪で青い瞳の少女(幼女)、ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐。魔力を有する魔導師で、子供なのに豊富な戦争知識とリーダー資質を持ち合わせ、大人の兵士たちで構成される帝国軍大隊を率いて、最前線で大活躍し、次々と戦果を挙げる。
原作小説があってのTVシリーズの映画版で、設定がだいぶ省略されているので、あらかじめ設定を調べてから観たほうがいい。
戦争描写は、単なるアニメレベルではなく、軍事アドバイザーが監修する本気の戦争・戦術の考証や、兵器デザインの描写や音響再現までしっかりしている。
そういう意味で、本作を4DX上映する狙いは、見事に完遂している。むしろ4Dで観たほうがいい。作品終盤の戦争シーンの描写力や、火器のリアルな効果音など、その真意がよくわかる。
第一世界大戦と第二次世界大戦のヨーロッパが混ざったような世界観は、歴史を知っている人ほどハマりやすい知的な刺激もある。
そもそも、なぜわざわざ少女に戦争をさせたがるのか? 少女ターニャが、オトナに命令口調で指図するのは、実にサディスティックで、これに心地よさを感じる観客心理は"M"(マゾヒズム)以外の何物でもない。
リアルから逃避したい妄想オトナには、甘いワナがたくさん仕掛けられている。
(2019/4/5/ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)