バッド・ジーニアス 危険な天才たちのレビュー・感想・評価
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世界に蔓延る教育格差、揺れる心情以前に利用されていることを悲観せねば
世の中、カネかヒトか…そんなテーマはごまんとあるわけだが、「カンニング」からそんなことに気づかされるとは。世界で求められている「教育」とその狭間にある「格差」が、スリリングかつ大胆に展開される。
一見すると、カンニングなど笑い話に出来るような側面もある、そんな導入だとは思う。しかし、金持ちの欲望が絡むことで、金をも交じる取引へと姿を変えていく。そうなったものだから、これは命からがらのサスペンスだと植え付けられる。そんなふうに転がるもんだから、気持ち悪くも同情する自分がいる。しかも、スリルと悪しき発想は世界にゴロゴロと存在しており、この世に格差がある限り、平行線のままなのだろう。よって、勉強にも金が必要で、名誉は買って作るものという、世界の悲観を啓発するような映画でもある。その一方で、金持ちがただのヒールでしかなかったのは少し残念。友達を裏切るというより、いつ見切ってみせるのか?が描かれており、恩を仇でも返さない薄情な奴らだけに留まったことに、胸糞の悪さを覚える。それでも、映画を時間いっぱいに使いつつ、社会に意味を持たせた作品なので、ハラハラされっぱなしだった。
『ハッピー・オールド・イヤー』から観た私からすると、やっぱり起があっさりしてるな、と思う。いつの間に離陸しているような。ちょっと不思議に思う(笑)。途中で訪れるトラブルや災難を笑う様に観ていた自分は、自業自得で困っている奴に、ノートを貸すのも考えたくなる性だからなのだろう。カンニングがまかり通るのかを真義にかけた今作を面白いと思う一方、胸糞悪く映ったのは、そうした根底があるからに違いない。
あくまで青春映画なのが良い。
カンニングの皮を被った社会派青春もの
2021年1月30日@Netflix
2020年の年末に、『ハッピー・オールド・イヤー』を観て、チュティモン・ジョンジャルーンスックジンを知りました。
複雑な感情の演技ができる女優だなぁと印象的だったので、デビュー作の本作を鑑賞しました。
ストーリーがはっきりしていて、わかりやすい映画だったと思います。
グレースやパットの人物像は、よくある「金持ちの嫌な奴」という描き方ではなく、精神的に未熟だけど、どこかしら特技や魅力があって憎めない、高校生らしい人物像だと思いました。
リンとバンクは、裕福なグレースらと違って、常に格差の現実と向き合いながら生きている。ゆえに、彼女らの複雑な表現の演技に、観ている側も引き込まれました。
印象に残ったシーンは、
校内でのカンニングがバレて、授業料免除などが取消しになり、リンが家で泣いているシーンは、いくら天才でも、根は家族思いの普通の女子高生なのだなぁと思わされました。
映画での彼女の行動の原動力は家族なのだと最後まで観て思いました。
リンやバンクを取り巻く不条理さも印象的でした。
学校は親から金(賄賂)貰っても咎められないのに、リンがカンニングで金(賄賂)を貰うと咎められる。そんな大人の社会の不条理さに、リンがなす術なく押さえつけられる姿に、観ている側もやるせない気持ちになりました。
また、「STIC」事件の後、受験資格を失ったバンクや試験無効になったリンとは対照的に、なんの努力もしていない金持ちのパットらが、試験の成功を祝い、パーティーを開いているシーンは歯痒く感じました。
格差社会の中で、頭脳や努力だけで報われないリンとバンク、金だけで思い通りになるグレースやパットの対象的な立ち位置が痛いほど伝わりました。
ナタウット・プーンピリヤ監督が、インタビューでタイの教育・学校事情について、次のように語っています。
「現代のタイの教育システムの中では、子どもは勉強ができることが一番大事という価値観があります。でも実際は、子どもというのは勉強以外のほかの分野に情熱があったり、他の分野で才能があったりするかもしれないのに、そういったことは見落とされがちなのが今のタイの現実。なので両親も学校の先生も、勉強のできる子どもばかりに気をかけ、勉強のできない子は、その子なりに必死に親や先生に認められるようもがくように闘って頑張っています」
日本や韓国も学歴社会と言われますが、どこの国も同じような状況みたいです。
勉強ができない学生相手に、カンニングビジネスが流行することはいつの時代でもあることなのだと思います。しかし、その技術や方法は日々進化しており、本作は実際にあった事件をモチーフにしたという点で、現代のカンニングを見せる面白い映画だと思いました。
「スマホ」や「SNS」、「時差」を利用したカンニング法に、“今どき”感を感じました笑
4
80
バッド・ジーニアス
悪意なき悪意
カンニング映画。日本との文化の違いを実感させられました。
お金と学歴
「こっちが騙さなきゃ世間に騙される」
不正を働くうえで、これ以上説得力のある言葉なんてないのではないか。
「生まれながらの負け犬」と自覚し「人より努力しないとだめ」と言いながらその努力が不正を行うこと。なぜなら彼女にとって「不正とは何かを失うこと」だから。
欲しいものを手に入れるためには手段を択ばない。
いわゆる詐欺を働く人の心理ってこんな感じなのかもしれない。
最後、試験管からの追跡を逃れようと地下鉄駅構内を彷徨うシーンは多少冗長な気もしましたが、全体的にスリリングな緊張感を保ち、時折コミカルなシーンを織り交ぜながらテンポ良く映画は進みます。
主人公リンの罪の意識に苛まれながら、目的を達成しようとしたり仲間を助けようとしたり、揺れ動く彼女の心理がこのリン役の彼女の表情から如実に伝わってきて、「リン、がんばれ」なんて感情移入してしまいます。
実際にあったといわれるカンニング方法で、そこまでしたいの?カンニングまでして入学したあとどうなるの?
と一般人なら思ってしまうのでしょうが、そこまでしたいほどの学歴社会で、ひとたび高学歴を手に入れれば
輝かしい未来が待っている、と若い人は刷り込まれているのでしょう。そのためだったらいくらでも払います、って程にね。
かと言ってそんな学歴社会を批判している映画というわけでもなく、親子愛や恋愛ものに発展することもなく
何かテーマを押し付けているような(いい意味で)メッセージ性を感じず、それぞれの登場人物のキャラクター設定もよくできていて、それ故に物語にのめり込みやすくて、カンニング行為をしている人たちに対して応援したくなる、純粋に楽しめる映画でした。
Bad Geniusというタイトルもこれしかない!というくらい的確です。
悪者に裁きを。
ひたすら胸くそ悪い映画。
一度落ちた沼、悪事を重ねるしかない。
バンクにああなって欲しくなかった。
グレース、パット、バンクにカンニング依頼したメガネの奴、最低。
頭悪いばかりか、他人を陥れ、悪事に引きずり込む最低野郎。
グレースとパット、メガネの3人がボコボコに殴られてゴミの山に置き去りにされ、人生をフイにすればいいのに。
持たざる者を追い詰め搾取する、金だけ持ってる人間のクズがクズに相応しい人生を送りますように
底まで堕ちないのも、良心が残ってるのも、
バンクであって欲しかった。
勉強ができただけでなく、カンニングさせない正義感を持ち合わせていた品行方正なのはバンクだったのに。
グレースのクズに引きずられたとはいえ、全てを始め、時差に気付いて沼から上がるチャンスを自ら捨てたリン
リンが「そうね、私次第よ」なんて言って、生まれ変わって罪を告白し正義の側に立つのはなんだかなぁとモヤモヤした。
映画自体はハラハラさせられ引き込まれるけど、
悪者があのまま大学行けて成功するのか?と思うとなんとも割り切れない。
それが世の中、といえばそうかもしれないけど、、
まさかこんなに引き込まれるとは
#バッド・ジーニアス 危険な天才たち
ジーニアスは2人だけ
タイ発クライムサスペンス。
クライムと言っても所謂カンニング。
主演陣は高校生。
「そんなカンニングするほど学力困ってないしー」
とか考えてたら、
自分も経験ありました(>_<)
全国統一模試みたいなので、先に中学の友人の高校が受けて、その問題を次の日に見せてもらいその週末の試験で、
全国トップ10(*'ω'*)
先生たちが騒めき、周りはやたら囃し立て、
ちょっとしたヒーローでした。
しかし、高一か高二の話なので、その後の受験には何も役に立ってなくて、一過性の虚しさしか残らなかった想い出(ToT)
今作で出てくるSTICも、受験資格の為の試験なので本試験はまだ先で、資格を得ても受験突破出来るかは怪しい所。本試験通らなければ虚しさしか残らない。
そもそもあんなにSTICを受ける生徒がいる事に驚きなんですけど。
カンニング計画が「プロジェクト」として拡大していく様子は、推進力があって惹き込まれる。
そしてラストの2人のジーニアス。
またどこかで合間見えるだろう。
10年後の彼らをまた観たい。
後悔するからやっちゃダメ笑
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