30年後の同窓会のレビュー・感想・評価
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味わいある感動
サルのバーにドクがやってきて、二人はミューラー牧師のところに行く。三人はベトナム戦争の戦友で、30年ぶりの再会だった。ドクは妻に先立たれ、二日前に息子がイラクの戦地で命を落としたという。その亡骸を連れ帰る旅に、息子の戦友ワシントンとともに三人は旅に出る。当時を語り合う三人には、後悔していることがあり。
ベトナム戦争後真面目に暮らしていたドク、自堕落なサル、改心し牧師になったミューラー、とわかりやすい設定。公式とは違う死因だった息子の死と自分たちの後悔から、死の尊厳に気付いていくおっさんたち。上官も最初は嫌な感じだったが、熱意を持った良い人だったと気づきます。最後のオチに、とても味わいがある感動を覚えました。邦題が残念、原題が良いです。
戦争の名誉って何もないのですね。
戦場での出来事で、無事帰還できても生涯苦しめられたり、戦死者を迎える家族の不幸。
罪深い事ばかりですが、3人の叔父さん達がウィットに飛んで明るくイキイキしていた。
良い映画でした。
これはいい映画でした。
同部隊で死活をともにしたベトナム退役軍人3人が戦後30年を経て再会する。軍法裁判で服役した(この3人が遊びでモルヒネを使い果たしたせいで激しい痛みの中で死んだ兵士がいる:管理していたのはラリー)過去を負っているラリーは、息子をイラクで亡くしたばかり。その息子の遺骸を引き取りに行くにあたり2人に同行を依頼する。この3人によるロードムービーです。
ベトナムは、またイラクは前途ある若者が命を懸ける価値のあるところなのか。政府は嘘を付いて若者を戦地に赴かせたのか。彼らが死んでいくとき神はどこにいたのか。父親の服役を息子はどのように背負ったのか。バカ話のふんだんに入ったコメディタッチの映画の中に、重いテーマが語られています。
原作「Last Flag Flying」は「The Last Detail(さらば冬のかもめ)」の続編にあたるんですね。道理でいい話です。「さらば冬のかもめ」でジャック・ニコルスンが演じたバダスキーがこの映画ではバー店主のサルで、護送された新兵のメドウスがラリーになってるんですね(彼だけが服役しているというわけです)。ちょっと年回りは違いますが、くだらないジョークを言うサルと、なんだか煮え切らないラリーはちょっとキャラクターが出ていましたね。
映画化も非常にこなれた語り口で私たちに多くを問いかける、素晴らしい映画だと思いました。リンクレーターさすが。
言っても詮無きことですが邦題はひどい。適当過ぎて哀しくなる。
壊れない友情
何が目的の戦争だったのか?
今も昔も帰還した兵士は自分に問うている。
一緒に戦った仲間だけが知る真実。
真実に悩まされ続ける人生。
現実離れした境遇を生き抜いた仲間の友情は
ちょっとやそっとの事(時間)では壊れない。
携帯電話で繋がった友情に頬が緩みました。
「さらば冬のかもめ」
2003年、主人公(スティーヴ・カレル)は一人息子が中東で戦死、遺体を引き取るために、ベトナム戦争の戦友二人(ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーン)に付き添いを頼む。
建前は名誉の戦死だが、実際は違っていた。
建前で済まさない意気込みの三人だったが・・・。
他人を傷つけないためには建前も必要か。
邦題勝ち
一言「そういうこと、ね」。
◎よかった点◎
・同窓会といっても、「海兵隊時代の仲間」。
ベトナム時代の話と、主人公の息子が海兵隊で殉職した話。
30年経っても、海兵隊=戦争(今回は9.11)を取り巻く状況は変わってない。
その辺のモヤモヤ&焦燥感を、遠回しながら批判している。
・所々クスッとくるところもあり。
「息子の亡骸は、自分で埋葬したい」と主人公が言い張り。
亡骸を海兵隊から動かすには、「聖職者がいないと・・・」。
いるじゃん、牧師!ってね。
・3人がかつて「絶対墓場まで持っていく」と誓った、ベトナムでの話。
ずっと彼らの心に燻っていた同僚の死の真実を、その母親に打ち明けに行く場面。
母親は「息子は英雄でした」。真実をいうのが正しいのか否か。
難しいところ。
△いまいちな点△
・最初に書いた「同窓会物ではない」のが、正直肩透かし。
原題は「Last Flag Flying」。このFlag=星条旗。
最後のシーンは、この原題で納得する。
・悪くはないストーリーなんだけど。
ぼんやりな印象も否めない。この3人なら、もうちょっと何かできたような。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「深い言葉だな、“かつて“」
反戦
30年ぶりに再会する男達の感動物語と思いきや、作品の根底にあるのはベトナム戦争で傷を受けた男達のその後でした。ベトナム戦争から死なずに戻ってきたとしても次は自分の息子が戦地に派遣され戦死する矛盾。戦争を止めない限りこの負のサイクルは回り続けます。この作品は心の奥にしまい込んだ記憶を辿り、静かに反戦を説いてきます。
あれからあれこれあったけど
戦地ですごしたあの時から、それぞれ別々の道で老けた3人が、悲しい出来事をきっかけに再会。
息子の死がなければ、懐かしい戦友との再会はなかったのだから、別れと出会いはほんとうに紙一重なのだと。
宗教や政治、軍といった、今のアメリカが抱える矛盾や問題をチクチクと皮肉り、海のこちら側の人間からすると、素直に笑えます。
ずっと、楽しいことばかりなわけじゃなかったけど、いろいろあって、これからもいろいろある、再生というよりもちょっと違う道いってみよかなと、継続していく物語と感じました。
愛する人が死んだところで、自分が生きている限り、人生は続く。
オヤジたちの再生に向けたロードムービーの佳作
大好きな「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイター監督作。
今作は30年ぶりに再会した男たちの再生に向けてのロードムービー。スティーブ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーンという三人の名優たちが、各々の個性をしっかりと刻んでいる。
彼らと同世代だからかもしれないが、やたら沁みまくった。そう、前作の「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」の異常なほどの同世代感で気づいたが、リンクレイターも私と同じ1960年生まれだった。
人生に見切りつけるのはまだ早いと…
ちなみに若い人が観るのは要注意。リンクレイターほど自分の目線で、そして同世代の目線で撮る人も珍しい。
「一人暮らし」と「孤独」は違う。
突き抜けるような感動とかはないのですが、見終わった後に、心が温まっているのを感じることができた映画でした。
主人公は、妻と息子を亡くして一人ぼっちになってしまったけど、孤独ではありませんでした。
アメリカ人って、こういう生活をしているんだな。
戦争の犠牲と常に背中合わせ。
私たちの国の「平和」や「愛国心」とは、きっとかけ離れたぐらいのシビアな感覚を持っているのだろうな。
演技がとってもナチュラルで、ニコニコ笑いながら見ることができました。
「真実」と「事実」は違う…
「真実」と「事実」は違う…と、打ちのめされた一本。
「記憶」と「記録」も、「思い」と「想い」も。
初老のダダ喋りがメインのブロマンスで抑えながら。
物凄く重いテーマをちゃんと考えさせられる作品に仕上げた名匠。
そしてそれを揺るぎなく支える演者の見事さ。
「サニー」の日本版に関わる映画関係者全てと、宣伝で観に行く今の日本の脳死観客全てに。
コレが映画というモノなんだよ、と観せたい(見るしか出来ないだろうが)作品。
ただ…童貞喪失が19歳ってのにはなぁ…
「貴方は『40歳の童貞男』でしょ?!」とね笑
easy go
人生というものは最高でならなくてはならない。
そんな考えで凝り固まった脳をブライアンクラインストンが笑い飛ばす。
なにがあるか分からない人生を何があろうと楽しんで行けよと背中を押された。
自分の過去を受け入れ、前に進もうとする姿を見て年を取るのが楽しみになった。
心のやさぐれをほぐしてくれる
ユーモアとシリアスがちょうどいい具合にバランスしていて、楽しめました。
主要3人の演技やキャラの違いも楽しめ、音楽の選曲も良かった。
派手なところのない落ち着いた作風で、言葉でまとめにくいですが、良い作品だと思います。
国や軍など、組織的なものに対しては厳しく批判しますが、人間個人に対しては暖かい。
性善説的で、許しもあり、ちょっと青臭くもあります。
気持ちが疲れていたり、やさぐれている時に観たい映画。
そして緩やかにポジティヴになれるような映画でした。
ディランの歌声が沁みます。
ベトナムの記憶
妻を癌で亡くし、唯一の拠り所だった息子がイラク戦争で出兵、その息子がバグダッドで亡くなった……そんなおっさんが主人公。
彼が息子の遺体を迎えに行くのに同行をお願いしたのは、30年以上ぶりに会う、ベトナム戦争における戦友たちだった。
静かで戦いのない『ランボー』とでもいうか。
数多くあったベトナム戦争批判映画が再び現れたというか。
下品な老人たちの、明るいトークから時々透けて見える、国家の過ちや嘘への憤り、その下で青春をすり減らした老人たちの愚痴と、自らが招き背負った罪への懺悔。
アメリカへの誇りと恨みが混在した、ベトナム戦争トラウマ世代の、哀愁漂う一編でした。
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