「原作への愛に溢れた作品です」アリータ バトル・エンジェル 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
原作への愛に溢れた作品です
素晴らしかった。
キャメロンとロドリゲス、この二人が組んでいるというだけで気になっていました、しかもそれが「銃夢」なのですから。
とはいえ最初はキャメロンといえどやはり不安でした。
が、劇場でトレーラーを見て考えが一変しました。これは期待して良いんじゃないかと。
そんな心持ちで公開初日、久しぶりにIMAX3Dにしてみました。
その映像たるや、それはまさしく「銃夢」の世界が広がっていたのです。
世界で賛否が語られた「大きめの目」も、わかっているからこそのデフォルト。スクリーンにいたのは紛れもない「ガリィ」でした。
コミック原作でよく見られる「改悪」もなく、観ていてストレスもありません。
それどころか本当に良くやってくれたと嬉しくなります。
モーターボールの心奪われるような再現度は正にその通りで、IMAX3Dにして良かったと心から思いました。
このスピード感溢れるアクションシーンは本当に見応えありますよ。
今までこれだけ原作に忠実はハリウッド作品があったでしょうか?日本のコミック原作では思い当たりません。
強いて言えばもっと観ていたかったですね。
物語はモーターボール編まで駆け抜けるので、原作組の人は物語の進行に圧縮感を感じるかもしれません。それぞれのキャラクターの掘り下げが、もう少しあったらとは感じました。
とはいえ、其々のエピソードはとてもバランス良く繋がっており、とても見応えがありました。
そういった意味でも原作ファンも、映画で初めての人も楽しめる作品と言えます。
キャメロンとロドリゲスだったからこそ出来たことでしょう、原作者もすっごい喜んでいると思いますよ。
気になった点があるとすれば音楽が実にハリウッド的だったので、もう少しサイバーパンクな世界感に合わせたものでも良かったのかなとは感じました。
アナウンスから15年位経ったのでしょうか?完成してみると待った甲斐がありました。
続編も決まっているようでモーターボール編をもう少し掘り下げるのか、いきなりザパン編なのか、そしてどこまで描くのか楽しみでしょうがりません。
作品全体に原作に対する愛が溢れ出ていて、それはエンドロールのクレジットでも見て取れるほど。実に素晴らしい作品でした。
この映像美には、強くIMAX3Dをお勧めします。
ちなみに「アリタ」は英語圏でのコミックタイトルです。
確か「ガリィ」が英語で「不毛」とかそんな意味でイメージが悪いからと、出版の際に変更したとか。
原作でも後半「アリタ」の名前は出るのですが、それは逆輸入で採用したみたいです。
それよりも、もともとこの映画の邦題も「アリタ」だったのですが、去年の春くらいに『アリータの方が英語の発音に近い』とかで「アリータ」ってタイトルに変更されたんですよね。「アリタ」のままが良いのにダメだなぁ…と感じたのを覚えています。
※20119年8月追記
公開当時のインタビューで、監督が続編の事を語っていたのでレビューに書きました。
ですが20世紀フォックスの手を離れ現在はディズニーが所有、続編はかなり厳しそうです。
しかし海外のファンがネットを通じて続編製作を求める運動を展開しているらしく、何とか動いてくれる事を祈っています。
「アリータ バトル・エンジェル」のファンが続編製作求める運動を展開
https://eiga.com/news/20190724/9/