万引き家族のレビュー・感想・評価
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是枝裕和の集大成
是枝裕和がこれまで描いてきたことを総動員した、まさに集大成となる大傑作。生きることは食べること、性的な描写にも嘘がない。家制度からドロップアウトした人達(スイミー)が作る擬似家族こそ豊かに映るという皮肉。ラストカット、彼女の視線の先にあるのは希望だと思いたい
語り口が兎に角上品。言葉には言外の意味があり、「傷跡」「数え歌」などの反復描写が「絆とは何か」を雄弁に語っている。役者の演技も素晴らしく、特に安藤サクラの泣き演技には圧倒された(とケイト・ブランシェットが言ってました)。細野晴臣のミニマルな音楽が緊張感を生む。ちゃんと「面白い」作品
是枝裕和はエロスの作家で黒沢清はタナトスの作家なんかな。知らんけど
『万引き家族』は殊更に問題提起をしてみせるような作品ではないことは観れば誰でもわかる。観ればな。是枝監督もインタビューでそう語っている。これはひとりの女の子に向けて語られたミクロな作品。でも観れば誰もに何か響くものがあるはず。観ればな
見えない花火を見上げる姿
人の物を盗んではいけません。
人を騙してはいけません。
人を殺してはいけません。
法治国家において至極あたりまえの理念。
しかし、それらを外れた部分でこそ結び付き合う絆があり、人々がいる。
得てして幸せな姿に見えるが、やはりいつかは破綻していくもの。
見ることの出来ない花火を皆で見上げる姿にそれが象徴しているような気がした。
いかなる理由があるにせよ、大人が万引のやり方を子供に教えるなんて事はあってはならない。
それらがあたりまえの事だと子供たちに思わせてはいけない。
祥太が治の行動に疑問を持ち始める姿を見て、少しほっとした。
真っ当な家族があたりまえに幸せだと、誰もが思える世の中になってほしい、という願いが込められているような作品だと思う。
しかし、メディアで「感動」等の言葉を使って賞賛するような映画では無いような気がする。
賛否が出てあたりまえ。そんなに甘いテーマでは無い。
それにしても安藤サクラはやっぱり良い!
何かに飢えている、愛情を知らないのか?心にわだかまりがあるのか? ...
何かに飢えている、愛情を知らないのか?心にわだかまりがあるのか?
お互いの溝を埋め合う様に、甘く優しくする事でバランスを保つ。
そんな家族ごっこの、向こう見ずで勢いのある楽しさに期待してはいけない。
血の繋がりに実感を持っていないからこそ、自分の人生に最低限の責任を持って生きていないと、人生を生き抜く事が出来ないだろう、痛切に感じた。
垣間見える少年の向上心に人間の資質を感じ、血の繋がり、環境だけじゃないだろうと強く言いたくなった。
74/
家族の定義とは
血縁だけが家族じゃない。全く同じではないが、自分の境遇一部被る部分もあったので心に沁みた。
子供にとって幸せは何なのか。肉親に恵まれない子供に、幸せを与える事は出来ないのか。だとしたら、親が居ない子供にどうしてやるのが一番幸せなのか。
この一家は日本の鏡像だ。肉親に愛を与えられない子供なんて無数にいる。一部でも心に思う点があるなら、絶対観るべき映画。
この作品はセリフで説明しない、凡ゆる解釈の余地を与え、我々に考える機会を与えてくれる。しかし自分の様に子供との関係を悩み、子を愛する親にとっては、描写の全てが試練の様に全身に叩き付けられる。
とにかく日本中の子供たちには、幸せになって欲しい。
映画の中だけの世界ではなく、日常に転がっている世界。
観た後は、魚の骨が喉に刺さって抜けないような感覚に陥った。しばらくは抜けなそうです。
でも、これはいわゆる映画の中でしかあり得ない様な世界ではなく、私たちの日常のどこにでも転がっているような世界だという事は、言わずもがな分かる事でしょう。
家族の年金を頼りに生きている為に、延命治療を続けてほぼ植物状態になっていても経管栄養で生きさせる。会話も出来ない状態の人に会いに来る家族は居ない。でも何故生きさせるか、それは治療費よりも高い年金が入ってくるから。そんな血の繋がった家族はたくさんいます。
生活保護を受給しながら朝からパチンコ屋に通い、仕事もしないのに衣食住に困らない人。受給を受ける為にわざと事故って怪我をするなど、不正受給を繰り返す人々も実際どのくらいの数がいるのかは把握さえしきれない。
虐待を受け亡くなる子供の数、年間50件以上。1週間に1人以上。そして、この映画のタイトルにもある『万引き』万引き被害額 日本は世界で2位。万引き被害額 4500億円以上。
これが日本の現実。。
この世界が無くなることはあるのでしょうか。
ひとりひとりの持ち味がすごい
キャストが豪華で、それぞれの演技力がすごい。
松岡茉優の体はった演技は第2の蒼井優を感じました。
ストーリーとしては余韻を残しながら終わるので、今後どうなったのかが気になるところ。
ただ、そこまで騒ぐほどの作品かどうかは、好みによるかな?
思考を持たないその日暮らしの人々
近年はこんな感じの家族がいるんだろーな、そのままを、大したストーリー展開なく、エピソードの回収もなく、深い理由も意味も示さないままダラダラ始まり終わる。登場人物が全員ほぼ何も考えてないので悲壮感がなく幸せそうなのは観ていて楽だったけど、観たからと言って特別な感想がない映画。役者さんはとても良いと思います。リリーフランキー、悪くはないけど、リリーフランキーじゃない方が個人的にはいいような気がする。
監督の前作も個人的には全くダメだったので全然期待せずハードルが低かったので普通に鑑賞しましたが、「賞を獲った!」と思って観に行くと「え~!?」ってなるだろうな。そんなわけで☆を減らしました。
もしかしたらいるかも知れない家族
他人でありながら、それぞれ事情があって繋がった家族は実際に実在するかも知れない。
せつなさと焦りとやるせなさが混ざった酸っぱいような映画だった。
妹を庇いこのままではいけないと感じたように思えた仮想の兄の思いが重かった。
この後のそれぞれを想像するとしあわせがわからなくなる。
内緒・嘘で固めた連中が、傷を舐め合いながら生きている表面的な絆
まず、カンヌの評価ですが、
市場規模では到底かなわない米国ハリウッドを意識して
「制作費用は安くても、ちょっと変わった作品」
を選定・評価した気がしました。
また、出品回数などの「カンヌ貢献度」を考慮しているのでしょう。
次に、日本での公開以来、「映画レビュー」の高得点!
全く、日本人は、「権威」に弱い!
さて、今回のテーマの、
「生みの親」より「育ての親」が重要、
「血縁関係」よりも「心の絆」が重要、
というテーマの作品は、これまでも、数多くありました。
また、今回は、「5歳児虐待死事件」がありましたので、
より考えさせられます。
しかしながら、私には、
「内緒・嘘で固めた連中が、傷を舐め合いながら生きている表面的な絆」
としか見えませんでした。
子供を虐待したり捨てる親よりは、まともですが、
決して自慢できる絆ではありません。
是枝作品だったら、
「第三の殺人」が、 パルムドールを受賞して欲しかった。。。
Michi
心に突き刺さり泣いた
知っているのに見ているのに一線を引いていたもの。分かってはいるし理解もしていたのに自分ではない第三者が何かをしているだろうと心のどこかで無知なふりをして見てこなかったもの…
突きつけてきます。
観た人が感じたこと全てが正解で間違った解釈なんてない。
私は絆という言葉が生ぬるく感じられた… だってここに出てくる登場人物たちは元々絆というものを知らない、または無くした盗まれた人達なんだもん
絆ってなんなんだろう
子供のいる景色
安藤サクラ、リリー・フランキー、樹木希林、松岡茉優、子役たち。皆さん素晴らしい。どう考えても異常な日常なのだけど、それがこの監督にかかると、しあわせな家庭生活に見えてくるから、不思議だ。
実の親から虐待された子供が、優しい見知らぬ他人と暮らし、楽しそうにしている。社会的には、実の親が責任を持ち育てるべきだが、盲目的にそれが普通だからということで、この子は本当に実の親と暮らすことが幸せなのだろうか。巷で話題の5歳児の虐待死事件があったせいで、よりリアリティを増して迫ってくる。
先日観た「フロリダ・プロジェクト」とも重なる。「フロリダ〜」では、6歳の少女が、若い母親と社会的に底辺の暮らしをたくましく、楽しんでいたが、あるきっかけでその生活が破綻していく話だが、子供の視点では、どちらも社会の常識的な生活が幸せだとは限らないという点で共通している。
子供はすべて楽しく生活して欲しいですね。
血縁だけでもだめ、母性父性だけでもだめ
家族がいかにして家族になるか、をずっと撮りつづけてきた是枝監督が、「母は産んだからって母になるのか」ってテーマもふまえて仕上げる新作、映画好きならとりあえず観に行くでしょ。
家族になるって
大人にとって、居心地良く受け入れてくれる場所、それが家族なのかな。でも子供には、自分が成長するまでの巣だっていく場所。子供を見送るバスに走りすがるリリー・フランキーが悲しい。海辺の家族を見つめる樹木希林、息子との面会シーンの安藤サクラも悲しい。家族に捨てられた、または家族を捨てた事のある大人が求める、家族ごっこの物語。
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