万引き家族のレビュー・感想・評価
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御涙頂戴の映画ではなくて、浅い考えで終わることを許さない映画だった...
御涙頂戴の映画ではなくて、浅い考えで終わることを許さない映画だった。
彼らは口では心で繋がっていると言う。でも、日常の所々にお金で繋がってる箇所がある。だから、彼らは自分たちはお金で繋がっていると思う。
しかし、犯罪が明るみになって離散して、お金のつながりなんてないのに、彼らは求め合う。彼らは気づいた。
はじめだって、お金になるからあきや祥太や凛が拾われたわけじゃない。拾っちゃったからお金に利用した。
彼らは愛に飢え、愛を見つけたんだ。
私たちは家族になる理由を探してるんじゃないか。血のつながりとか犯罪のつながりとか。
家族だって思えたら家族、それでいいじゃないか。
彼らは社会に容認される家族ではなかったけれど、彼らにとっては家族だった。だから、家族なんだ。
私は、「彼らは正しい」と言いたいんだと気づいた。
安藤サクラ。松岡茉優。
女優さんが素晴らしい。
時事的にも扱うテーマは重みを増している。
血の繋がりに意味あるの?家族ってなに?って。
丁寧に丁寧に扱われている。
今、観ておくべき女優
題名から「誰も知らない」や「そして父になる」のような主題でキツそうだと想像して、今回はパスかな?と思っていました。
でも今、観ておくべき女優の松岡茉優と安藤サクラが出演してたので劇場にいきましたよ。
是枝監督だなぁ。
安藤サクラさんと樹木希林さんとリリーフランキーさん
そのキャストでの映画だから観に行ってみようと思ったけれど
それを凌ぐくらい子役が良かった。
ああ、是枝監督作品だなぁ。
そしてやっぱりハッピーエンドでもなく
淡々と各々の(いい意味でも悪い意味でも)行かねば生きられない道へ進む。
現代の決して僅かではない、今も起こっているであろう社会問題も孕みつつ
でも決して生きることから逃げようとはしていない何とも複雑な繋がりの家族。
絶望してもなお生きていかねばならない人たちは、したたかである意味こわくて強くて弱くて、愛に飢えていて愛に溢れている。
5+1の家族の演技が神がかり的に素晴らしい
メインの登場人物である5+1の家族(ほぼこの6人しか登場しない)の演技が神がかり的に素晴らしい。表情、オーラ、関係性……作られたモノとは思えない実在の家族のようでした。
特に樹木希林の演技のスゴさには狂気すら感じる。モリのいる場所といいホントすごいな…
役者の演技でここまでスゴいと思った映画はなかなかありません。
逆に”演技がスゴい”というのを意識しすぎて”映画を観ている”って感覚が強まったかも。
結果”自然に物語に没頭した”より”この演技すごいな”って何度も思いながら見てた。これもまた良い映画との触れ合い方かと
登場人物の立ち位置、やるせない関係性、温かい光景、伏線の回収、そして「万引き家族」というタイトル……設定は考えれば考えるほど深みがある。
ただストーリのカタルシスや感動的な流れってのは弱かったかな?終わりもぼんやりだし……そういう意味ではヨーロッパで受けたのは納得。
リリー・フランキーのちょっと変な人の空気はすごい。
安藤サクラのモサっとしながら一筋縄じゃいかない深みのあるオーラもスゴい。
子供役……とくにお兄ちゃんは素晴らしい。
松岡茉優はかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい。
樹木希林はヤバい。
物語展開……ではなく設定とその見せ方、そして役者の演技の素晴らしさが強烈だった映画でした。
個人的に今年のベストにはならない。情が良くも悪くもつかない。
けど見ていて損はない映画だと思います。ほんと6人の演技は恐ろしいってレベル。
安藤サクラがすごい
全体的に救いようのない思考とそうなってしまった背景が容易に想像できるダメ男女。
なぜか子供を拾ってきては家族にしようとする、それは寂しさや築くことの出来なかったものを形作ろうとする作業なのだけど、やっぱり偽物は本物にはなれない、悲しい現実。
安藤サクラ、子役の二人、もちろんリリーさんも圧巻の演技でした。
泣くところは1個もなかったけど、ちょいちょいクスッとできて複雑な作品だったなーという印象。
時間が経つにつれて染み込んでくる。
父と二人で観ました。
鑑賞中、幸せな家族が崩れていく時、
ここからどうやってハッピーエンドに持っていくの?とハッピーエンドを願う私。
それは法の下ではありえない。
結果、通常訪れるであろう悲しい結末に。
帰り道、父に、ハッピーエンドがよかったよ。と言うと、
ハッピーエンドにはならない。って事を描いたんだろうと。
あのおかしな家族と、
それを世間一般の正しい言葉で責め立てた警察?の人。
どっちが滑稽に見えた?
どう考えても後者だよなぁ。と。
おかしな人たちじゃないよ。
精一杯生きている人たちに見えた。と。
素晴らしい映画だったと父は絶賛していました。
私には難しく、胸に何かがつっかえたような苦しさがありますが、
汚くて一見めちゃくちゃなのに
涙が出そうなくらい幸せな家族の光景と、
安藤サクラ、リリーフランキー、樹木希林の演技が素晴らしく、
レビューを読んでたくさん見逃していたことがあったので、笑、
もう一度じっくり観たいと思います。
リリーフランキーの「僕にはそれくらいしか教えられる事がなくて」のセリフがとても潔くグッときました。
子どもにどう接したらいいか考えさせられます。
今度は主人と観たいです。
じーんとくるいい映画
スカッとはしないが、じーんとくる、そういう映画もある。
これを観て、「不幸が悪い」とか「みんな不遇な人生だからしょうがない」とか弁護する気になるわけでは、決してない。
そんなことではなく、今そこにある6人のつながりに没入しているだけ。6人がやっていることは、薦められないことばかり。それなのに、それら(やっていること)はすっかり背景となって、観客である俺の注目は、「互いに与え与えられるもの」に集まっていく。そしてそこから温かいものが、たしかに伝わってくる。これはやはり監督の力なのだろう。
遅れましたが、カンヌ映画祭パルムドール受賞おめでとうございます。
音楽はほとんどなく、登場人物とその相互の関係(つながり)に集中し続ける、あっという間の120分でした。
使うと軽くなってしまいそうな言葉なので、ここまで避けてきたが、やはりこれは「愛の物語」なのだと思う。
ちょっとよかったので、友人の言葉をここに記す。
「貧困もそうだが、家族の形が中心の映画だったな。
良いと言われる家族の形が人を苦しめることもあるし、奨められない家族の形だが、居場所になって救いとなる場合もある、ということだろうか。
古き良き家族の形をなにかと押し出しがちな文科省が、この映画を推奨している。「自分の主張とはあっていないが、良いものは良い」ということを今回は押し出しているのであれば、その考え方はいいぞ。もしそうであるなら、文科省もやるな。
印象に残った
各場面はとてもジーンとくるいい場面やセリフがたくさんあるし、クスッと笑えたところもあった。
しかし、全体的なストーリーや人物設定などが中途半端で、
盛り込み過ぎじゃないかな?と思ったところも。
集まった人々の各設定がストーリーが進むにつれてわかるようになるのだが、最後にドタバタと解説調になってしまい、やはりこの上映時間では、全部の説明が難しいだろうなと思いった。
俳優さんはちょい役でも上手な俳優、人気のある俳優を使い、手を抜かないで一つ一つのシーンはいい感じなのだが、
昨今のニュース報道もあり、現実はもっと切実で難しいんだろうなと思ってしまった。その日の夜、何かもっといい方法はないだろうかと悪酔いした。
ある夏の日々
夏の縁側で父ちゃんと母ちゃんと子供たち、ばあちゃんが花火見物に興じる。昔の日本の家族にはあった夏の一日。ところが彼らが見上げる夜空に花火は見えない。彼らの家はそびえ立つ巨大マンションの谷間にあるから。彼らが楽しそうに夜空を見上げる様を俯瞰で捉えたこのシーンが素晴らしい。良い映画には象徴的なシーンが必ずある。観客はそれを忘れない。
夏のシークエンスは他にもある。電車に乗って皆んなで海水浴。これも昔の日本の家族にあった夏の一日だろう。それから兄妹が蝉の抜け殻を取りに行って夕立に遭うところ。ずぶ濡れで家に帰ったら、父ちゃんと母ちゃんも濡れていた…
この夏の日々が彼ら家族にとっても観客にとっても宝石のように見える。
物語は冬から始まる。最初はこの奇妙な家族にイライラさせられる。皆んなグータラで家は汚い。汁飛ばしてメシ食うなよ、ばあちゃん。それでもスクリーンから目が離せない。俳優陣の演技の深さ、濃厚さに圧倒されるから。是枝監督はこのキャスト、家族に全幅の信頼を置いている。カメラは彼らを追うだけ。そして観客はこの家族を愛おしく思うようになる。
彼らにとっても観客にとっても幸福な夏の海岸でばあちゃんがボソッと云う。こんなのは長く続かないよ、と。実際ばあちゃんはその後死んでしまう。そしてこの家族は崩壊していく。やがて物語は秋から冬へ。
彼らは本当の家族でなかった。映画はいちばん下の娘だけが血縁ではないと知らせるだけで、父ちゃんも母ちゃんもばあちゃんも皆んな家族だと思わせて進行する。やがて彼ら各々の素性が明らかになっていく。
生きる術を多くは持たず、社会の隅に追いやられた家族の物語。生きるためには犯罪にすら手を出す。私が今年の傑作と思う「フロリダ・プロジェクト」も同じような境遇の母娘を描いていた。彼女たちは本当の母娘だったが。日本とアメリカで同じような傑作が生まれたのは偶然ではないだろう。タイトルから万引きをファミリービジネスにしているひと達の映画と思っている方も多いと思うが、そういう映画ではない。
リリー・フランキーの父ちゃんが、万引き以外子供たちに教えられる事が何もないと云うシーン、安藤サクラの母ちゃんがウチらじゃダメなんだよと子供たちを手放す事を告げるシーン。ここで涙腺が緩んでしまった。父ちゃんと息子の別れのシーンでは涙腺決壊。泣かせる映画じゃないんだが。あの父ちゃんと母ちゃんがいなくなってあの子たちはどうなるんだろう。
リリー・フランキーの父ちゃんの憎めないクズっぷり。安藤サクラの母ちゃんの母性、菩薩にすら見える。そしてあの子供たち。忘れがたい映画だ。
是枝風味
平日朝イチ上映の客席は中高年ばかり。
先輩に対して申し訳ないけど、今回も上映中に携帯を見る、メールの着信が鳴る、おしゃべりする、食べ物を音を立てて食べるというのは、決まって中高年のお客なのだ。
もちろんごくごく一部の人なんだけど、本当に腹立たしかった。
まあ、いいでしょう。
物語は比較的淡々と進む。
大袈裟な演出は皆無。
それでも深くメッセージを我々の胸に刻みつけて、驚くほどサラッと終わっていく。
世の中で皆が普通に持っていると思われているものさえ、悪事に手を染めなければ手に入れられない人々がいる。
弱い者同士、身を寄せ合わなければ生きていけない人々がいる。
そうして手に入れたものも、決して永遠ではない。
全てはかりそめである事を皆感じている。
それでもそこには確実に「居場所」があった。
建物に阻まれて見えない花火を全員で見上げる姿のなんと幸せそうなことか。
正しく生きるってどういう事だろう。
家族ってなんだろう。
あの不協和音の様な音楽もあいまって、目の前に展開されているものが正しいのかどうかさえ、分からなくなってしまう。
安藤サクラの圧倒的な演技。
若手人気女優でありながら、松岡茉優の思い切った役どころも素晴らしい。
子供達の演技もすごい。
一部、批判的なツイートとかしてる奴らがいるが、おそらく映画を見てないか、まったく物語を読み取る力のない人なんだろうなと納得した。
松浦慎一郎さん、凄い映画に出たんだね!
監督のメッセージが受け取りやすい映画でした。
何度も何度も唸る場面があった。
どのような終わりを迎えるのか楽しみだったが、想像以上のものだった。
「かぞく」という普遍的なテーマを映画にして、世間の広くに響かせるのは難しいことだと思うのに、カンヌの最高賞まで獲得したことが凄い。
この作品なら納得。
映画って、世界共通語なんだと思いました。
僕の好きな俳優 松浦慎一郎さんが出ていたので、ずっとずっと前から見に行こうと決めていました。
どこで出るのだろうと思ったら、なんと安藤サクラさんとの共演。
これは『百円の恋』以来の組み合わせ。
そのことも嬉しかった。
映画と現実の絆なのかも
この劇中の家族は、もちろん架空ではあるが一つ一つの要素が実際の事件を反映しているので、まるで現実の場面を覗いているようだった。
身につまされてつらい場面もあったが、目をそらす訳にいかない力がこの映画にはあった。
盗みはする、不正受給はする、しかも血のつながりも無い、とんでもないこの“家族”の元に親に虐待され逃げて来た女の子がやってくる。
厄介な事になったと最初は帰そうとするが、結局女の子は住み着く。この事が引き金となって、やがて家族は崩壊することになる。
終盤、高良健吾扮する捜査員(検事?)が女の子に「君たちの絆は本物じゃない」というようなことを言っていた。
(本当か?)と思った。絆がつながりという意味なら、太い細いはあるかも知れないが本物、偽物はないだろう。「本当の家族の絆が本物だ」というなら、実の親に虐待されたこの女の子をこの偽装家族は迷惑に思いながらも決して追い出さなかった。そして手を上げることもなかった。弱い者がさらに弱い者を叩く構図が、この貧しい家族には不思議とない。
リリー・フランキー扮する父は、取り調べで「なぜ子どもに万引きをやらせていたか?」の問いに「他に教えられるものが何もないんです…」と答えた。
(そうか、彼は父になりたかったんだ!)自分の唯一の技術を教えることで彼は父になった(気がした)のだ。それが端から見ればいかに愚かしく見えようとも彼は父になったんだ。
エンディングで男の子が乗るバスを名前を呼びながら追いかける偽父親。ちょっと見はベタに見えるこの場面が、深く切ない場面として胸に迫った。リリー・フランキーは素晴らしい。
結局親の元に戻った女の子は、また母娘とも虐待を受ける日々に。
母の顔の傷を案じて手をやって、母にキレられ「ごめんなさいは!?」と強要されるが、女の子は決して謝らない。昔はきっとすぐ謝ったのだろう。あの家族と生活したことで彼女も成長したのだろう。
アパートの廊下で一人遊ぶ女の子で唐突に終わるラストも映画的な大団円などにせずよかった。この映画は現実と続いている。
細野晴臣の音楽は、ドップラー効果を模したような不思議な音楽だったが、とてもこの映画に合っていた。
様々な音源(人)がやって来て、つかの間協和して、またそれぞれ遠ざかって行く。それがこの映画を体現しているように感じた。
つかの間の協和(特に海水浴のシーン)の何と美しく柔らかいことか。
観た後、時間が経つにつれどんどん気持ちが溢れ出す映画だった。
雰囲気映画
主人公もなく、人物設定の解説に終始したわりに回収しきれておらず、感動は予告編の期待感にも劣った。
視点と焦点ともにボヤッとしており、追求と粘りがなく、悪い意味でいかにもパルムドールらしい作品。
じっくり腰を据えて欲しい、たとえばちょい役の池松くんを主人公に別の話を作って欲しい。
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