万引き家族のレビュー・感想・評価
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陰翳礼讃
「鴨川で野犬が群れている・・」きっと飼い主に捨てられたのだろう。いたいけない子供への虐待、絶え無い「いじめ」、名のある企業の不正隠蔽、強欲な経営者・・・。日々、心痛めるニュースばかりに接しているので映画にまでして観る気になれなくてスルーしてきた。特に不幸な子を見るのは耐え難い。
本作の2年前にカンヌで同様のパルムドールを受賞した「わたしは、ダニエル・ブレイク」も貧困、社会的弱者を扱ったものだったが清貧を貫き、狡猾な社会制度への反骨のメッセージだった。是枝監督は同様な貧困、弱者でありながら、あえて汚すことで清らかさを際立たせる対極の演出で本質に迫っている。
前半の絡まった描写と後半の解しの構成、予想通り辛い前半だが細野さんの音楽で救われる気がした。役者からスタッフまで一級を集めている。
「家族とは、人の絆とは、生きることの矜持とは・・」持ち帰るものは人それぞれだろうが是枝監督のメッセージは間違いなく伝わっていくのではないだろうか。古い黒澤作品で「素晴らしき日曜日」という映画がある、戦後の焼け跡の中の貧しい恋人たちを追った名作だが時代は変わっても人間を見つめる温かく厳しいまなざしは日本映画の中に受け継がれていると実感させられた。
ありがとう
ひとつひとつのシーンの細やかな演出の施しようは枚挙にいとまない。吹き溜まりのように集まった家族であるが、構成する各人それぞれの距離感の違いが微妙に異なり、それが立体的な照らされる。構図の中心にいる、リリー・安藤の擬似夫婦と2人の擬似子供たち。それに対して微妙なバランスで配される樹木・松岡。特に半分居候然としている松岡茉優のキャラクターをここに放り込んだのは、驚異の一手で、絶妙な緊張感を全体に与えていたようにも思える。一過的な家族、しかし所詮は個人の集まり。永続的ではないからこそ貴重でもあり、人生を通り過ぎ、心に住まわせ、人は次へと向かう。
持たざる者はどう生きればいいのか
生まれてくる親は選べない。家庭は選べない。
まともに子育てしてくれてお金もそれなりにある親の元に生まれたらラッキー。でもそうじゃなかったら?
お金もない、知恵もない、家も暖かいご飯も愛情もない。常識もない。なし崩しで生まれた子どもをネグレクトする。感情にまかせて虐待する。その子どもが大きくなって、また同じような連鎖を生む。
もし自分がそんな環境で育たなくてよかったらラッキー。でも、見えないだけで、運悪くそんな親の元に生まれてしまった子どもやそのまま大人にならざるを得なかった元子どもはとてもたくさん存在している。
持たざる者はどうやって生きればいいんだろう。幸せという文字が吹いて飛んで行ってしまうその日暮らし。運よく大人になれたらいいよね。でも子どもにとっては今ある環境がすべて。大人にとってさえ、一度道を踏み外したら、セーフティネットからあぶれてしまったら今のこの日本の中でどうやって生きればいいの?
ないものは奪うしかない。弱かったら死ぬしかない。
寄せ集めの疑似家族の中で、みんなが欲しかったのは誰かと繋がっているという感覚。そして生きるためのお金。みんな本当の家族の中でそれは得られなかった。映画の中で流れる一つ一つのエピソードが印象的に全体像を描き出し、最後へと向かっていく。
見ていてしんどいのはそれが日々現実世界で起きるニュースの事件の一コマごとの、中身を辿っていったらきっと、そのうちのいくつかはこういう背景があるのではないかなと容易に想像できるから。
各役者さんたちの演技があまりに素晴らしすぎてあまりにリアルで心をもっていかれてしまいました。1週間ぐらい引きずりそうです。
あれもう終わり?
終わり方が中途半端でモヤモヤが多くあまり感動は出来ませんでした。
ストーリー自体は面白く最初から惹き込まれました。
序盤中盤あまり人間関係についての描写がなく、予想しながら見るのもまたこの映画の楽しみ方だと思いました。
最後の方で明かされるおばあちゃんと亜紀の関係性。そして発覚するおばあちゃんの本当の狙いにとても胸が苦しくなりました。結局亜紀は客の男とはどうなったのか、帰る居場所はあるのか。どういう形であれ、亜紀にはつらい思いをした分幸せになってほしいと思いました。
リテラシーの判定に
この映画に冷評をつける人のレビューでもっとも多いのが、親が子どもに万引きさせるのは、いかんじゃないか、という倫理への非難です。
しかし、それは言うまでもないことかと思います。
滔滔と倫理を説かれ、ひょっとしたら映画レビューを通じて、自らの正義感を披露しているのでは?と思えるのものもありました。映画レビュー枠を利用して「私は万引きを許さないモラリストです」と主張するのは、いささか効率の悪い自己主張ではないでしょうか。
また、それを言うなら、根本的に、深作やタランティーノの映画を好きなら、暴力を肯定することになってしまう、かもしれません。
もちろん、映画をどう見ようと個人の自由です。
個人の自由ですので、言ってしまうと、万引き家族に倫理観を持ち出すのは、映画を見慣れていない人の意見だと思います。
もちろん、映画を見慣れている人は、映画を見慣れていない人に比べて、優れているわけでも偉いわけでもありません。ぜんぜん、どっちでもよいことです。
ただ、さまざまなレビューを読んだり、身の回りの意見を聞いて、この映画をDegradeする人は、どちらかといえば映画を見慣れていない人に多い、と思ったのです。
NewsWeekでこの映画の海外の高評価を説明するコラムを読んで、納得したことがあります。
それには、(海外においては)文芸映画を見る人種/層だけがこの映画を見たから(高評価だらけになった)、とありました。反して日本では、話題も手伝って、様々な層の人々、普段映画を見ない人も見たから、過度な酷評もあらわれた──という説明でした。
なるほどと思いました。
個人の自由ついでに言うなら、映画をレビューするばあい、映画を見慣れていることは、あるていど必要だと思います。見慣れている人が見れば、この映画への倫理批判は、お門違いですから。
つまり、これに倫理うんぬんする人は、カーレースの客席から、レーサーたちのスピード違反に腹を立てているようなもの、です。
万引きがメインではない
レビューに感想が思い浮かばないって方がいたけど、私もその一人。私も含め、そういう人は
幸せな日常を送ってきたのだと思う。
血が繋がっていなくても、
努力次第で、絆はできると描かれていたけど、その絆はものすごく脆く
すぐに壊れてしまうものなんだと感じた。
タイトルなし
出演者は強者揃い
気持ち悪いくらい演技が上手い
storyも上げて下げてと辛く
海のシーンは本当の家族のようでまた辛
柄本明が怒らず話しかける1シーンが
ずっと心に残りました
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是枝監督 受賞前雑誌インタビュー
「犯罪は社会が生むという考え方は、70年代ぐらいまでは一般的だった。少なくともそれが建前だった。その建前があったからこそ、マスメディアが報道することに価値があった。報じることで被害者に二次的制裁を加えるのではなく、私たち自身の問題としてとらえるために。でも、いつからか犯罪を教材として社会に属する一人ひとりが考えることをしなくなった」
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犯罪は駄目だけど
SNSの二次的制裁
それを煽るマスメディア
これがホント不快
この映画を観て
物事は一面だけではないこと
色々と考えさせられます😖
どの目線から見るかで社会は全く違って見える
つきことさんのレビューに触発されて、遅まきながら目黒シネマで鑑賞。
現代の家族とは?人と人が一緒に生きることとは何なのか?格差社会、家庭内暴力、児童虐待、高齢化社会…現代の日本が抱える社会問題を凝縮した形で見せながら、しかもどこか明るさや人の優しさ、親しみなども感じさせる秀作でした。
カンヌ映画祭や日本アカデミー賞で、この映画が高く評価されたことに、現代の都市が抱える問題の根深さを痛感するとともに、でもそれを直視しようとする「まっとうな人」がまだまだ多くいることに、一縷の望みを感じました。
ロードショーの時期はとっくに終わり、WOWOWでも放映されるというタイミングでしたが、目黒シネマは朝一の回でも満席でした。観に来ていた人は、60代ぐらいの人が多かったけど、その中に混じって20〜30代ぐらいの若者も何人かいたことが、印象的でした。
先日の池袋駅近くで起きた交通事故の加害者がいまだに逮捕されず、マスコミでも「さんづけ」で報道されていることに対して、ネット上で「上級国民は社会で優遇されてる」と騒ぎになっていると聞きます。こうした問題も、「物事を誰の立場から見るか」によって、見方が大きく変わる問題だと感じます。「万引き家族」は、世間一般から弾き出されてしまった弱い立場の人たちが、一般の社会規範から見たら「違法な行為」によって生計を立てていますが、「こうした人たちの目線から社会を見ると、こう見える」というのを徹底して描いており、しかも映画として高く評価されているという点がとても素晴らしいなと思いました。
日本映画らしい、大げさでないリアリティ重視の表現、役者さんたちの真に迫る熱演、とりわけ安藤サクラさんが終盤の警官による取り調べで心情を訴える場面の演技は、「演技」を越えて役になりきっているように感じました。
揺さぶられる
邦画界のトップランナー是枝裕和監督の新作。
都会の片隅にある、あばら家のような家にひしめき合う“家族”は家族というより“生き物の群れ”という感じで、芝居とは思えない生々しさと、どこか原風景的な印象がある。
そのへんはドキュメンタリー出身の是枝監督の手腕と、それを支えるリリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林、松岡茉優という実力派キャスト陣の演技力だから成せる技なのかも。
身内を虐待する血の繋がった家族と、犯罪でしか繋がれなかった擬似家族。
どちらも間違っていて、じゃぁどっちがマシなのか。
それを一体誰がジャッジするのか。
自分の中の色んな「何か」を揺さぶられる作品だった。
家族とは?
家族というのは何を持って家族なのだろうか。
家族の意味を考えさせられた。。
結局は人が決めたものであって心が寄り添っていれば一緒にいてもいい。
ただし、世の中にはルールがあって一緒には入れないこともある。
あとお金が全てではないが暮らしていけるレベルないと幸せにはなれない。
難しい…
疑問がたくさん残る映画でした。
・しょうたがなぜわざと捕まったのか
・りんちゃんの最後のシーンは何を意味しているのか…
・お姉ちゃんはなぜお客さんを抱きしめて、語った?のか
私には難しくて理解することができませんでした。
しかし、血が繋がってないからこそある絆というものは作品を通して、感じ取ることができたと思います。
カンヌの人にはこの作品は日本社会の縮図と思われているらしいけど、そんな風に思われては困る。もっと酷いと思う。
カンヌ映画祭の最高賞を受賞したらしい。
今までの作品全部での受賞ということなんだろうけど、単品で見ると見劣りするような気がする。
名作風のシュチュエーション作って役者さんにそれなりの演技をさせて、時系列でずっと追っかけていくだけ。
説明的な部分が全くないし、思い出しシーンもないし、なんでこうなっているのか、どういう気持ちなのか、登場人物の関係性も不明で、あまりストーリー性や演出的なものがない。
ヨーロッパでは訳の分からない芸術映画がうける傾向にあるので、よくわからないところが感性で見る芸術映画っぽくていいのかもしれない。
今村昌平監督の『うなぎ』も見たけど、この作品と同じような感じの作品でよくわからなかった。
河瀬直美監督の『もがりの森』もカンヌで何かしらの賞とったような気がするけど、無視されてるような・・・あれは何だったんだろう?
設定はわからないのだけれど、全体的な映像の雰囲気はドキュメンタリータッチ。
でも出演者は有名な役者さんばかりだから、演技はうまいけれども何か浮いている。
欧米の人が見たら誰だかわからなくて、ドキュメンタリーみたいに見えるのだろうけど、日本人はそういうわけにはいかない。
カンヌの人にはこの作品は日本社会の縮図と思われているらしいけど、そんな風に思われては困る。
もっと酷いと思う。
本当はもっと救いようのないどうしようもない感じだと思う。
この映画見ながら、そのうち闇金ウシジマくんみたいな人が出てきてたいへんなことになると思っていたけど、結局出てこないで、なんだかいい話みたいになって終わった。
ウシジマくんが出てきたら、逆に本当っぽくなったかもしれない。
だいたい万引きの認識が基本的に間違っていると思う。
この映画みたいに生活が苦しくて万引きしているのなら盗人にも三分の理で、悪いけれどもなんとなくしょうがないかな?という感じになるけど、日本人は生活が苦しくて万引きする人などほとんどいない。
日本人の場合は老若男女問わず、なんでこの人がそんなことするの?みたいな、何かに取り憑かれてやってしまうような、病的な人が多い。
他のことも、設定がよくわからないのでなんとも言えないけど、そのままいったら本当に救いようのない悲惨なことになっていくような気がする。
この作品は日本の社会問題にひっかけてはいるけれど、別に掘り下げているわけではなく、実際はファンタジー的な映画だと思う。
何、あの終わり方。スッキリしない
前半何やらほっこりしながら見てたのに、後半から最後までイライラ、ムカムカしながら観てました。無駄な時間を過ごしました。
最後の終わり方にも 不満爆発です。もう見ることは無いな。
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